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商標ポートフォリオ─「Web3.0」時代における商標保護


Audrey Liao/Clair Y. W. Gao

一、はじめに
 
ブロックチェーン技術により、様々な仮想通貨やNFTNon-Fungible Token非代替性トークン)が登場し取引されるようになり、メタバースという仮想世界はすでに今後の主流となり、OpenAI社が開発した人工知能(AI)チャットボット「ChatGPT」は、さらに現実世界の多くの業界を席巻するAIブームの波を形成している。Web3.0ウェブスリー)革新のもと、ブロックチェーン、ビッグデータ、バーチャル・リアリティ(VR)、AIなどの技術は現実から仮想へと広がる世界を再構築することになる。未来の仮想世界における様々なビジネスチャンスに対応するため、商標によるブランドの保護も現実世界から仮想世界に移行していくだろう。
 
二、商標のポートフォリオ戦略
 
以下は、Web3.0時代におけるAI、ブロックチェーン、仮想通貨/NFT、仮想世界メタバースなどの各方面について、仮想世界での最適な商標ポートフォリオを構築するために、このWeb3.0の波の中で商標保護に考慮すべき指定商品・指定役務について解析していく。
 
(一)AI
 
AIとは、コンピュータプログラムの実現を通じて人間の知能をシミュレートする技術で、基本的にはソフトウエアベースのアルゴリズム、又は人間の思考、認知アーキテクチャ、ニューラルネットワークに似たモードで動作するあらゆるシステムのことを指す。
 
かつて、AIはブームを巻き起こした「ロボット」商品分野では、商標保護の対象は、「工業分野の工業用ロボット」や「医療用の手術ロボットとナノロボット」、さらには一般大衆が直接利用でき、愛着を持てる「娯楽用ロボット、教育支援用ロボット」といった商品区分にまで及ぶ可能性がある。
 
最近、現実世界を席巻している「ChatGPT」は、ビッグデータの収集、学習、コンピューティングを駆使して、人との対話や、さらなるデータの編集が可能となった。台湾の智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)が公表した商標出願情報によると、OpenAI社が「ChatGPT」商標の使用を指定した商品・役務は、ダウンロード可能なソフトウエア(商品)とダウンロード不可のソフトウエア(役務)の両方を兼ねるものであった。具体的には、「人間の音声やテキストを人工的に生成するための『ダウンロード可能』なソフトウエア」などの商品と、「人間の音声やテキストを人工的に生成するためのオンライン『ダウンロード不可』のソフトウエアの提供」などの役務である。
 
AI開発サービスを提供するAI開発機関や企業にとっては、商標登録出願の際に、「AIコンサルティング、AI技術分野の研究、コンピュータプログラム及びソフトウエアの研究、設計及び開発」などの役務項目を指定する必要がある。
 
(二)ブロックチェーン・仮想通貨/NFT
 
ブロックチェーンとは、暗号学やコンセンサス(合意形成)アルゴリズムなどの技術により、大量の取引記録をブロックと呼ばれる塊にまとめ、それらを連鎖(チェーン)させて保管するピア・ツー・ピア(P2Pネットワークシステムである。現在、ブロックチェーン技術の最も代表的な応用例は、ビットコインなどの仮想通貨である。「非代替性トークン(NFT)」もまたデジタル暗号通貨の一種で、それぞれのトークンは、画像、音声ファイル、動画、ゲームアイテム、SNSの投稿文、又はあらゆるデジタル形式の創作物など、ユニークなデジタルデータを表すことができる。NFTは、上記デジタルファイルの所有権を示す証明書である。
 
テクノロジーの急速な進展及び普及に伴い、最新の商品・役務国際分類表(ニース分類)第12版によると、ブロックチェーン技術や仮想通貨/NFTに関連する商品・役務は以下のとおりである。商品部分には、「非代替性トークン(NFTsで認証されたダウンロード可能なデジタルファイル、ブロックチェーン技術を用いた暗号資産取引を管理するためのダウンロード可能なコンピュータソフトウエア、暗号資産の受け取りと支出のためのダウンロード可能な暗号化キー」が含まれる可能性がある。また、役務部分には、「仮想通貨の金融取引、仮想通貨の電子移転、暗号資産の電子移転、暗号資産の金融取引、ブロックチェーン技術を用いた電子資金移動」及び「ブロックチェーン技術を用いたユーザー認証役務、暗号資産の採掘/暗号通貨のマイニング」などの役務が含まれる可能性がある。
 
(三)仮想世界「メタバース」
 
メタバースは、社会的なつながりに焦点を当てた3次元の仮想世界のネットワークである。この仮想環境では、VR(バーチャル・リアリティ)ゴーグル、AR(オーグメンテッド・リアリティ)ゴーグル、携帯電話、パソコン、電子ゲーム機などを通じて、人工な仮想世界にアクセスすることができる。
 
その中で、最もビジネスチャンスがあるのは、仮想世界に存在する様々な仮想商品や役務であり、基本的には「ダウンロード可能なソフトウエアプログラム」及び「ダウンロード不可の仮想イメージファイル又はソフトウエア」である。具体的には、「ダウンロード可能な仮想商品ソフトウエア」といった商品や、「オンラインでダウンロード不可の仮想商品画像ファイルの提供、オンラインでダウンロード不可の仮想商品ソフトウエアの提供」といった役務である。もちろん、マーケティングやエンターテイメントに係る商標出願の場合、「仮想商品の小売役務」や「様々な仮想映像を利用できるオンラインゲームエンターテインメント役務の提供」もまた欠かせない。
 
また、最新の商品・役務国際分類表(ニース分類)第12版では、「仮想キーボードを投影する装置」、「オンライン仮想ツアーの提供」及び「クラウドコンピューティングによる仮想コンピュータシステムの提供」など、メタバースという仮想世界向けの商品・役務の区分が新設された。
 
三、まとめ
 
Web3.0の様々な新技術は依然として開発者の絶え間ない研究開発と改良、ブレークスルーの中にあるため、商標の使用を指定される商品・役務もこれらの新技術の研究開発に伴い絶えず再定義されるだろう。多くの国の商標出願実務では、商標の指定商品・指定役務に一定の名称の使用を要求しておらず、出願人は各指定商品・指定役務についてそれぞれ定義し、描写することができるが、指定商品・指定役務の定義が不明確で、区分に誤りがある場合、商標出願の審査過程に遅延や障害が発生したり、さらには商標登録取得後に商品・役務の記載ミスにより正しい商品・役務の項目が保護されなかったりすることを避けるために、やはり商標出願前に指定商品・指定役務について、専門の商標代理人に相談することをお勧めする。そうすれば、商標の保護範囲が明確になり、次世代ネットワークにおける商標ポートフォリオに素早く対応できるように事前の備えを行うことができる。

 

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