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人工知能(AI)の発明者適格性について



人工知能(Artificial Intelligence、以下「AI」という)は、人間の思考や認知を模倣して学習と計算を行うことで、一定の研究開発成果の達成を含め、特定のタスクを遂行することができる。しかし、AIが特許の発明者になれるのかについては、近年、法曹界で盛んに議論されている。台湾の最高行政裁判所は、111年(西暦2022年)度上字第55号判決において、これを否定する見解を示した。
 
本事件において、出願人はAIを発明者として特許出願したため、経済部(日本の経済産業省に相当)智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は、出願人に発明者を自然人に補正するよう通知したが、当該出願人は期間内に補正しなかったことから、同局は「不受理」の処分を下した。出願人はこれを不服として訴願を提起し、経済部は出願人に不利な訴願決定を下したため、出願人は知的財産及び商業裁判所(以下「IPCC」という)に行政訴訟を提起した。
 
本事件に対して、IPCC110年(西暦2021)度行専訴字第3号第一審判決を下し、以下のような見解を示した。創作は、人間の精神的活動の成果の総称であり、その内容や性質に応じて、異なる種類の権利で保護される可能性がある。氏名表示権については、専利法(専利:特許、実用新案、意匠を含む)施行規則第16条、第31条及び第83条においても、願書に発明者、実用新案考案者、意匠創作者の氏名、国籍を記載し、公開公報及び公告公報にはこれらの氏名を記載することと規定されている。台湾の現行の関連規定によると、発明者は、特許請求の範囲の技術的特徴に対して精神的な創作を行い実質的に貢献した者であるだけでなく、自然人であることも必須である。また、AIは台湾の法律では「物」とみなされるため、権利の客体であって権利の主体とはなりえず、権利能力及び資格を享受することはない。
 
最高行政裁判所は、上記IPCCの見解を肯定し、さらに、以下のような見解を示した。発明者の氏名表示権は人格権の一種であることから、発明者は自然人でなければならず、これは専利法規の立法趣旨に合致するものである。発明者の欄に自然人でないと認められる記載がある場合、その出願書類は法定様式や手続きに従わないものであるが、補正できるものに属し、専利主務官庁は出願人に指定期間内に補正するよう通知しなければならず、期間内に補正しない、又は補正がまだ完全でない場合、専利法第17条により処理される。
 
この議題については、現在、最高行政裁判所とIPCCの見解が一致しているが、今後、AIの活用にブレークスルーが起きた場合、司法見解が変わるか否かは、やはり注目に値するものである。
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