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2022年専利審査基準の一部改訂


Jason Chuang/ 游舒涵

智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は、審査実務のニーズに迅速に対応し、審査の質を向上させるため、「専利特許、実用新案、意匠を含む審査基準」第2篇「特許出願の実体審査」第3章、第6章、第7章、第8章、第9章及び第14章の一部を改訂し、202271に適用した。今回の改訂のポイントは、以下のとおりである。

 
一、第3章「特許要件」の第5.7.2節「審査における留意事項」
 
出願人が同一の創作について同日に特許と実用新案登録を併願する(特許と実用新案の二重出願)場合、専利法第32条第3項では、「特許査定前に、実用新案権が当然消滅した又は取消が確定したときは、特許を付与しない」と規定されている。しかし、審査基準では、二重出願の場合において、特許出願の審査中、又は特許査定がされてから公告されるまでの間に、実用新案登録の無効審決がされたが、まだ確定していない場合の特許出願の審査のあり方については説明されていない。
 
今回の改訂では、本章の5.7.2「特許要件」に(5)(6)新設し、上記2つの状況下における特許出願の審査原則を定めた
 
新たに新設された(5)では、「特許出願の審査において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決がされたが、まだ確定していない場合同一の創作に関する特許出願の判断結果は、実用新案に対する判断結果と一致しなければならない。特許出願の審査は、原則として、当該実用新案の無効審判請求の行政救済手続が確定するまでは行わないものとする。ただし、個別案件の状況(例えば、特許出願に係る発明が特許要件を満たさないと判断するのに十分な事実、証拠がある場合)や事情変更(例えば、出願人が請求項を補正し、創作が同一でなくなった場合)によっては、審査官は、実用新案の無効審判の証拠を参酌した上で、特許出願の審査手続を進めることができる。」と記載されている。
 
新たに新設された(6)では、「特許査定後から公告日までの間に、実用新案登録を無効にすべき旨の審決がされたが、まだ確定していない場合、同一の創作に基づく実用新案登録出願と特許出願の審査結果は一致しなければならず、このとき、審査官は自ら特許出願の特許査定を取消し、改めて審査するものとする。審査原則は、前項と同様とする。」記載されている
 
二、第6章「補正」の第4.2.2節「認められる削除」
 
特許出願の審査において、引用文献から生じる新規性欠如、拡大先願による新規性喪失、先願主義違反を解消するために、従来技術と重複している部分を排除するネガティブな記載形式(disclaimer)を用いて特許請求の範囲を補正することができる。しかし、実務上、出願人は、国内出願の拒絶理由通知書を受領する前に特定の従来文献を知り、その従来技術と重複している部分を排除するために自発的に請求項を補正することを望む場合もある。今回の改訂で、上記のような状況における審査の原則は、以下のように規定された。
 
出願人が拒絶理由通知書の発行前に、自発的に従来技術と重複している部分排除するネガティブな記載形式を用いて特許請求の範囲を補正する場合、排除された部分が明細書、特許請求の範囲又は図面に開示されていないものである場合、排除しようとする従来技術及び排除理由を説明しなければならない。説明しなかった場合、新規事項の追加とみなされる。
 
三、第7章「審査意見通知書及び特許査定」の第3.1.2節「特許請求の範囲の縮減」
 
今回の改訂では、「引用又は従属された一部の請求項を削除し、残りの請求項を分けて記載する」場合を除き、新たな請求項の追加は、いずれも最終通知の補正制限にいう「特許請求の範囲の縮減」には該当しないことが新設された。
 
四、第9章「訂正」の第6節「審理における留意事項」
 
6章の内容に合わせ、従来技術と重複している部分排除するためにネガティブな記載形式を用いる特許請求の範囲の訂正に関する新たな審査原則が新設された。
 
五、第14章「生物関連発明」の第4.2.4節「寄託に関する留意事項」
 
専利法第27条第1項では、「生物材料又はその利用に係る発明を特許出願する場合、出願人は遅くとも出願日までに当該生物材料を特許主務官庁指定の国内寄託機関に寄託しなければならない。ただし、当該生物材料が、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に入手できるものである場合は、寄託する必要はない。」とされ、同条第2項では、出願人は出願日から4ヶ月以内に寄託証明書を提出しなければならないことも規定されている。
 
寄託証明書について、今回の改訂で本章の第4.2.4「寄託に関する留意事項」に(3)が新設され、出願人に対し生物材料の寄託の事実及び生存事実を証明するために寄託機関発行の証明書の提出を義務付けた。ブタペスト条約の締結国が認めた国際寄託機関が発行した証明書は、原則的に要件を満たしているが、出願人がその他の機関が発行した証明書を提出する場合は、それが当該寄託された生物材料の生存を証明できるかどうかに留意する必要がある。証明できない場合、智慧局は、出願日から4ヶ月(優先権主張の場合は最先の優先日から16ヶ月)以内に生存証明書を追加提出するよう出願人に通知し、期間内に未提出の場合、寄託しなかったものとみなす。ただし、このとき、智慧局は実体審査の際に理由を具体的に記載し、その理由に基づいて実施できないことを指摘し、出願人に応答の機会を与えた場合に限り、専利法第26条第1項を満たしていないとして、直ちに出願を拒絶査定することができる。
 
六、その他の改訂
 
法令条文に合わせるため、文言の調整、各章節内容の整合性及び誤記などの修正が行われた。
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