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商標法の一部改正について


Cathy C. W. Ting/Sophia Chen

台湾政府は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership 、以下「CPTPP」というへの加盟に向けて、関連法律の見直しと改正を行なった。現行商標法では、行為者が「明らかに知っていた」ことを民事及び刑事責任の主観的構成要件としており、また、CPTPPでは、商標を付した包装容器、タグ、又はラベルなどの模倣品を製造する予備行為に対して全て刑罰を科すことが求められているが、現行商標法では一般商標に対し民事責任しか課されていない。CPTPPの商標権侵害規定に合わせるため、立法院(日本の国会に相当)は2022415日付で、商標法の一部の改正案を三読(最終審議)にて可決し、総統は同年54日付で公布し、台湾の商標関連法律をCPTPPの規定と一致させるようにした。商標法第111条の規定により、本法改正の施行日は、行政院(内閣に相当)がこれを定めるものとする。その改正のポイント及び改正条文は以下のとおりである。
 
一、現行商標法では、行為者が「明らかに知っていた」ことを民事及び刑事責任の主観的構成要件としているが、「明らかに知っていた」要件が削除された後、民事上の責任(不法行為責任)は「故意又は過失」を要件とすることに戻り、刑事上の責任は「故意」を要件とすることになる。商標や団体商標を付したラベルなどを模倣する行為に対する刑罰の規定を新設し、商標を模倣したラベルや包装を輸入するなどの権利侵害を準備及び補助する行為に対しても刑事罰を科すことになる。
 
(一)改正後の第68条:
商標権者の同意を得ずに、次の各号のいずれかに該当する場合、商標権を侵害するものとする。
一、同一商品又は役務において、登録商標と同一の商標を使用した場合。
二、類似の商品又は役務において、登録商標と同一の商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。
三、同一又は類似の商品又は役務において、登録商標と類似の商標を使用し、関連する消費者に混同誤認生じさせるおそれがある場合。
登録商標と同一又は類似の商品又は役務への自ら又は他人の使用に供するため、商標権者の同意を得ずに、販売を目的として、登録商標と同一又は類似のものを付したラベル、タグ、包装容器、又は役務と関連する物品を製造、販売、所持、陳列、輸出又は輸入した場合も商標権を侵害するものとする。
 
(二)改正後の第95条:
商標権者又は団体商標権者の同意を得ずに、次の各号のいずれかに該当する場合、3年以下の懲役、拘留若しくは台湾ドル20万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一、同一の商品又は役務において、登録商標又は団体商標と同一の商標を使用した場合。
二、類似の商品又は役務において、登録商標又は団体商標と同一の商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。
三、同一又は類似の商品又は役務において、登録商標又は団体商標と類似の商標を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合。
登録商標又は団体商業と同一の商品又は役務への自ら又は他人の使用に供することを意図して、商標権者又は団体商標権者の同意を得ずに、販売を目的として、登録商標又は団体商標と同一又は類似のものを付したラベル、タグ、包装容器、又は役務と関連する物品を製造、販売、所持、陳列、輸出又は輸入した場合、1年以下の懲役、拘留若しくは台湾ドル5万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
前項の行為が電子メディア又はインターネットを通じて行われた場合も同様とする。
 
(三)改正後の第96条:
証明標章権者の同意を得ずに、同一又は類似の商品又は役務において、登録済の証明標章と同一又は類似の標章を使用し、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある場合、3年以下の懲役、拘留若しくは台湾ドル20万以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
登録済の証明商標と同一の商品又は役務への自ら又は他人の使用に供することを意図して、証明標章権者の同意を得ずに、販売を目的として、登録済の証明標章と同一又は類似のものを付したラベル、タグ、包装容器、又は役務に関する物品を製造、販売、所持、陳列、輸出又は輸入した場合、3年以下の懲役、拘留若しくは台湾ドル20万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
前項の行為が電子メディア又はインターネットを通じて行われた場合も同様とする。
 
(四)改正後の第97条:
他人がなした前2条第1項の商品を販売、又は販売を意図して所持、陳列、輸出又は輸入した場合は、1年以下の懲役、拘留若しくは台湾ドル5万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
前項の行為が電子メディア又はインターネットを通じて行われた場合も同様とする。
 
二、上述した現行商標法における「明らかに知っていた」要件の削除に合わせ、現行商標法第70条第3号の「明らかに知っていた」との文言を削除する。改正後の第70条は以下のとおりとなる。
 
改正後の第70条:
商標権者の同意を得ずに、次の各号のいずれかに該当する場合、商標権を侵害したものとみなす。
一、他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、同一又は類似の商標を使用して、当該商標の識別性又は信用を損なうおそれがある場合。
二、他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、当該著名商標中の文字を、自らの会社、商号、団体、ドメインネーム又はその他営業主体を表する名称とすることで、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある、又は当該商標の識別性又は信用を損なうおそれがある場合。
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