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著作権法の一部改正について


Cathy C. W. Ting/Sophia Chen

台湾政府は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership 、以下「CPTPP」というへの加盟に向けて、関連法律の見直しと改正を行なった。現行著作権法における非親告罪(すなわち公訴罪)の適用範囲は、海賊版光ディスクの複製・頒布に限定されているため、CPTPPの規定とは齟齬がある。また、侵害の情状が重大と認められる場合のみを非親告罪とするというCPTPPの規定に合わせるため、立法院(日本の国会に相当)は2022415日付で、著作権法の一部の改正案を三読(最終審議)にて可決し、総統は同年54日付で公布し、台湾の著作権関連法律をCPTPPの規定と一致させるようにした。今回の改正条文の施行日は、台湾のCPTPP加盟のスケジュールに合わせることから、行政院(内閣に相当)がこれを定めるものとする。その改正のポイント及び改正条文は以下のとおりである。
 
一、第100条を改正し、侵害の情状が重大と認められる違法なデジタル海賊版、頒布及び公衆送信行為を非親告罪の対象とすることに改め、並びに「侵害の情状が重大」とは、「他人が有償で提供している著作物を侵害する」、「原作のまま複製する」、「権利者に台湾ドル100万元以上の損害をもたらす」という3要件を満たすものを指すと規定した。改正後の第100条は以下のとおりである。
 
改正後の第100条:
本章の罪は、告訴を待って論ずる。ただし、次の各号のいずれかに該当し、有償で提供されている著作物を原作のまま全て利用することにより、著作財産権者に台湾ドル100万元以上の損害をもたらした場合はこの限りではない。
一、第91条第2項の罪を犯し、その複製物がデジタル形式である場合。
二、営利を目的として第91条の12項の著作財産権を侵害した複製物であることを明らかに知りながら頒布する罪を犯し、その頒布した複製物がデジタル形式である場合。
三、第92条の無断で公衆送信することにより他人の著作財産権を侵害する罪を犯した場合。
 
二、第100条の改正に伴い、現行著作権法第91条第3項、第91条の13項、第98条及び第98条の1などの海賊版光ディスクの複製、頒布に対する非親告罪の刑を加重する規定を削除し、一般の複製、頒布罪の刑事責任規定の適用に戻し、それに対応する没収規定を削除した。改正後の第91条及び第91条の1の条文は以下のとおりである。
 
(一)改正後の第91条:
無断で複製の方法により他人の著作財産権を侵害した者は、3年以下の懲役、拘留若しくは台湾ドル75万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
販売又は賃貸を意図し、無断で複製の方法により他人の著作財産権を侵害した者は、6ヶ月以上5年以下の懲役に処し、台湾ドル20万元以上200万元以下の罰金を併科することができる。
著作物を私的使用又は合理的な使用に供する場合は、著作権侵害には該当しない。
 
(二)改正後の第91条の1
無断で所有権を移転する方法により著作物の原作又はその複製物を頒布し、他人の著作財産権を侵害した者は、3年以下の懲役、拘留若しくは台湾ドル50万元以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
著作財産権を侵害する複製物であることを明らかに知りながら、これを頒布し、又は頒布を意図して公に陳列し若しくは所持した者は、3年以下の懲役に処し、又は台湾ドル7万元以上75万元以下の罰金を併科することができる。
前項の罪を犯した者がその物品の供給源を供述し、その結果、検挙できた場合、その刑を軽減することができる。
  
三、上記改正の施行日は、台湾のCPTPP加盟のスケジュールに合わせて、行政院が定めるものとする(改正条文第117条)。
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