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2023年度労働検査方針の公表について



2023年度労働検査方針の公表について

 

2022621日に、2023年度労働検査方針が労働部(労働省に相当)から公表されました。労働検査方針は、労働検査法、労働基準法、職業安全衛生法及び労働者職業災害保険及び保護法に基づき、毎年労働部から公表されているものです。労働基準法を遵守しなければならないのは当然ですが、労働関係の重要法令は労働基準法だけではないので、労働検査方針の内容を理解することは、経営者にとっても有用であると考えられます。

2023年度労働検査方針では、近年台湾で発生した労災事故等を受けて、映像撮影及び大型イベント舞台架設等作業における安全、職場の夜間作業における被害予防およびデリバリー作業における災害予防等の検査項目が新たに追加されました。以下にてその概要を紹介致します。

 

1 基本方針:リスク格付けに応じた検査の実施

 

 本指針では、労働条件に関する法令の遵守度が好ましくない事業者に対して、優先的に検査を実施するとされています。

具体的には、事業者について「リスク格付け」を行い、事業者を「優良事業者」「高リスク事業者」「中小事業者」に分け、これに応じて労働検査等を実施するとされています。

「優良事業者」については、法定の検査機関による検査に代えて、事業者への訪問調査によって事業者の自主管理システムを監督することが想定されています。

一方、「高リスク事業者」に対しては、所轄の政府機関が優先的に検査を行い、さらに改善を支援することが想定されています。

「中小企業者」に対しては、教育訓練、見学、相談などを支援し、かつ、安全衛生促進団体や大手企業との連携などの方法を通じて、安全衛生条件の向上を図ることが想定されています。

 

2 優先的に検査すべき事業者の選定

 

優先的に検査すべき事業者については、以下に列挙する基準に従って、(1)検査を実施すべき事業者、(2)優先して重点検査(中国語:「專案檢」)を実施すべき事業者、及び(3)特別検査の対象事業者を選定するとされています。

 

(1)検査を実施すべき事業者

 

労働条件

・労働条件が労働法令に違反するという届出、苦情、告発があった場合

・マスメディアによって労働法令違反があるとの報道があった場合

重点検査又はその他の検査で法令違反が発覚した場合において、情状が重大である事業者、又は期限までに改善されなかった場合

職業安全衛生

・死亡又は重傷者を伴う労働災害があり、改善状況のフォローアップが必要である場合

・年度防災重点指導の対象者で、職業安全衛生施設の改善に協力しない場合

・危険な機械又は設備の検査申請をした場合

・労働検査法26条の規定に従い、危険作業場所の審査又は検査の申請をした場合

規定に従い労働者健康業務担当医療人員を設置していない又は労働者の心身健康保護を実施していない場合

・安全衛生の状況が労働法令に違反するという届出、苦情、告発があった場合

・マスメディアによって労働法令違反があるとの報道があった場合

 

(2)優先して重点検査を実施すべき事業者

 

労働条件

・労働条件が労働法令に違反するという届出、苦情、告発が多い、又はマスメディアによって労働法令違反があるとの報道があり、かつ影響が広範である業界

・労働部が労働環境情勢及び民意を参酌して、政策的に労働条件重点検査を実施するとされた対象及び規模に該当する場合

職業安全衛生

・火災、爆発予防

・大型建設工事の安全(汚水下水道新設工事を含む)

・屋上又は高所での作業における墜落、転落、踏抜き及び激突による危害の予防

・はさまれ、巻き込まれ、切断などの労働能力を喪失させうる災害の予防

発がん物質、生殖細胞に突然変異をもたらす物質もしくは生殖毒性物質及び急毒性、高腐食性の化学品(特定の化学物質、有機溶剤、結晶型遊離二酸化ケイ素及び鉛等を含む)等の化学的要素、及び騒音、高温、異常気圧等の物理的要素による職業病の予防に関する重点調査

・下水道、暗渠、マンホール、給水塔、下水処理腐敗槽、生(消)化槽、発酵槽、温泉水槽、汚水処理槽、船倉、反応槽及び貯蔵槽の内部での作業における狭所災害予防に関する重点調査

機械設備機具の供給元の管理及び市場検査

高温下の屋外作業による熱病被害の予防

生物的要素の被害予防

高リスク事業者における移民労働者への被害防止

労働者の心身健康保護

 

上記のうち、国連2030持続可能な開発目標における労働災害の予防の青写真に照らし、発がん性があり、生殖細胞に突然変異をもたらす一部の重金属又は化学薬剤を使用する業界に対する労働検査が来年度より強化されることになりました。

 

(3)特別検査の対象の事業者

 

特別検査

3年以内に同一事業者または同一の作業場所において、死亡者または重症者を伴う労働災害が2件以上発生した場合

・平時から100人以上労働者を雇用している事業者又は丁類危険作業場所において、1年以内に職業安全衛生施設が法令の規定に適合していないことを理由として、業務停止改善通知又は過料処分を3回以上受けた場合

1年以内に機械、設備及び器具の安全防護施設の不良によって労働者の能力に障害が生じ、その程度が労働者保険条例能力喪失基準の第1級から第9級に該当する者が2名以上生じた事業者

・工場の定期的補修、大改修及び化学設備の補修等の施工によって、火災爆発等が発生し労働者に重大な危害を与えるおそれがある場合

・一年以内にその作業場所の有害な化学品、気体、蒸気及び粉塵等職業上の原因によって、労働者の疾病、死亡が生じた場合

 

(4)防災検査の範囲を拡大し、年度検査において、既に全ての事業者を検査対象として含めている労働検査機構を除き、その他の検査機構は、上記の優先して検査を実施すべき対象のうち、25%以上が新規又は5年以内に労働検査を実施していない事業者に対して実施すること。

 

(5)その他所轄官庁又は労働検査機構が必要と認めた場合。

 

3 監督、検査の重点事項

 

(1)労働条件事項及びその他の労働法令

 

労働条件等

  労働者カードの備置及び保管

  労働者の出勤記録

  労働者の給与リスト

  通常労働時間(フレックスタイムによる労働時間を含む)、延長労働時間(休息日を含む)、定例休日(中国語:例假)、休暇(原住民族の祭日を含む)等の給与の給付に関する規定。

  通常労働時間(フレックスタイムによる労働時間を含む)、延長労働時間(休息日を含む)に関する規定

  定例休日及び休暇(原住民族の祭日を含む)に関連する規定

  給与の定期的、全額直接給付及び基本給与を下回ることができないこと、及び違約金又は損害賠償を差し引くことができないことに関する規定

  労働者の退職(準備金)及び未払給与立替基金の積立不足の処理(納付)

  退職金及び解雇手当の給付に関する規定

  児童、少年労働者(15歳以上16歳未満の労働者)、女性労働者及び技術訓練生の保護に関する規定

  職業災害の補償に関する規定

  就業規則の届出

  労使会議の開催

  性別就業平等法に規定している性別、性的指向差別の禁止、セクシャルハラスメントの防止及び就労平等措置の促進等に関する事項。

  労働者福利金の拠出等に関する事項。

  労働保険、労働者災害補償保険、就労保険への加入及び標準報酬月額に関する事項。

  就業服務(就職支援サービス)における就業差別、解雇届け及び違法雇用、違法労働等外国人の監督に関する事項。

 

(2) 労働安全衛生事項

 

労働安全衛生事項としては、一般労働検査と特定項目検査に分けてそれぞれ検査項目が記載されています。その大半は危険な作業場所や作業、物質等に関するものです。

特に2023年度版になって始めて追加された項目としては「映像撮影及び大型イベント舞台架設等作業の安全検査」、「職場夜間作業被害予防検査」、「デリバリー作業災害予防検査」があります。

映像撮影及び大型イベント舞台架設等作業の安全検査」は、2022年にドラマ撮影現場でカメラマン等作業員が渓谷で足を滑らせ命を落とすという労災事故が生じたのを受けて追加されたものです。管轄区における映像撮影、大型遊園地、コンサート、年越しイベント及び祝賀行事等イベントの際、撮影現場の設営、舞台架設、セット組み立て、道具の運搬及びイベント実施等作業において、爆発、火災、墜落、感電、物体落下または倒壊、水難等災害防止措置を取っているかが検査の重点とされます。

職場夜間作業被害予防検査」は、夜勤のコンビニ店員が攻撃される事故が多発していることから追加されたものです。夜間作業に従事する労働者について、労働者の安全を第一に優先しなければなりません。また、職場の夜間作業安全衛生手引きの推奨事項に従い、各作業場所でリスク評価を行い、緊急対応処理手続きを検討し、適切な人材を配置し、労働者の関連教育訓練を実施しなければなりません。安全衛生教育訓練及びよく見られる災害関連予防措置が検査の重点とされます。

デリバリー作業災害予防検査」については、労働部が発布した関連手引きに従い、デリバリー作業危害防止計画を制定し、執行しているか、また安全衛生教育訓練を実施し、人身保険及び財産保険等保障の提供、合理的な任務の振り分け、危害告知、ヘルメットの準備、反射標示、高・低気温による被害予防及び緊急用連絡通信設備等必要な安全衛生防護施設の有無が検査の重点とされます。

また、2022年に起きたコンクリート工場での建物解体作業中の事故を受けて、類似の事故の再発防止のため、「大型構造物解体作業等」も精密検査が必要な対象に追加されました。

 

上記情報についてご質問がございましたら、当事務所の朱百強弁護士(marrosju@leeandli.com)、林莉慈弁護士(litzulin@leeandli.com)までお問い合わせ頂ければ幸いです。
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