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技術提携から派生した技術の権利帰属をめぐる紛争



専利(特許、実用新案、意匠を含む)技術提携の際に、専利権者は派生技術の権利帰属を確保するため、提携契約に関連条項を入れることがよくあるが、実務上、権利帰属をめぐる紛争が依然多発している。知的財産商業裁判所が20211223日付けで下した110年(西暦2021年)度民専上字第2号民事判決に係る事件はその一例である。

 

本件において、原告甲は、専利Aの専利権者であると主張し、被告乙が代表を務める丙社との間で提携契約を締結した。係争契約において、双方は、甲が丙社に対して専利Aの技術を提供し、丙社が順調に約定製品を生産、量産することに協力し、丙社独自で販売責任をもち、販売量に応じて一定額のロイヤリティを対価として原告甲に支払う旨約定した。

 

原告甲は、丙社が係争提携契約に基づく義務を履行しないとして当該契約を解除したが、被告乙が専利Aの技術的特徴を模倣し、他人の名義でその他の専利(すなわち係争専利12)を出願したことを発見したことから、係争提携契約に基づき、係争専利12の専利権の帰属の確認及び原告甲への移転登録を請求して訴えを提起した。

 

同裁判所は、係争提携契約の内容を確認した上で、原告甲は係争専利12の権利帰属を主張してはならないと判示した。その理由は以下のとおり。係争提携契約第1条には「定義:製品の専利番号:添付(A)(すなわち専利Aを記載した内容)のとおりで、添付(A)から派生したいかなる専利の変更、改良も本契約の専利範囲に属するものとする。特定の製品の添付(A)から派生した実用新案も本契約の専利範囲に属するものとする」とされているが、この条項は専利権の範囲に関する合意であり、派生専利権の権利帰属については、明確な定めが設けられておらず、係争提携契約のその他の条項の文言を参酌しても、派生専利の権利帰属に関する定めが設けられていない。また、係争提携契約の当事者は被告ではなく、原告甲と丙社であるため、原告甲が係争提携契約に基づいて主張できるか否かも疑問である。

 

原告甲は、係争専利に基づいて製造された製品が鑑定対比により、専利Aのいくつかの請求項の専利権の範囲に入っていることを立証し、これに基づき係争専利は専利Aの派生専利であると主張した。しかしながら同裁判所は、原告が提起し請求したのは、専利権侵害訴訟ではなく専利権確認訴訟であるため、この部分の主張は係争専利権の帰属とは関係がないとして最終的に原告甲の請求を棄却した。この判決は控訴審(第二審)でも維持された。

 

よって、専利権者が実施許諾を与えた専利技術から派生した技術の権利帰属を主張できるよう、提携契約において適用主体を明確に定めなければならず、また、後日の解釈の不一致や紛争を避けるために、権利の帰属の定めも明確にしなければならない。

 

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