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台湾労働者労働災害保険及び保護法



台湾労働者労働災害保険及び保護法

作成者:余天琦/陳瑞敏

(日本業務部和訳)

 

「労働者労働災害保険及び保護法」が、202251日に施行されました。この新法では、現行の「労働保険に関する法律」における労働災害保険と「労働災害被害者保護法」の規定が統合され、保障範囲が拡大されています。以下にて主なポイントをご紹介いたします。

 

法改正ポイント1:被保険者の範囲拡大、過料限度額の引き上げ、非典型雇用労働者の保険加入方法の簡便化

(一)現行の労働保険に関する法律では、被用者が4人以下の雇用主は、任意に労働者を保険に加入させることができ、被用者が4人を超える雇用主は、労働者を保険に加入させなければならないとされていますが、雇用主が労働者の保険加入申請を行っていない場合、労働者への保険給付は保障されません。

新法では、登録事業者の雇用労働者の人数にかかわらず、被用者全員が強制加入被保険者であり、労働者が就業した日から保険の効力が生じ、また雇用主が加入手続を行っていなくても、労働者に業務上傷病が生じた場合は規定に基づき関連給付を受領することができると規定されています。

(二)新法は、65歳という現行の保険加入年齢上限を撤廃しました。また、強制加入被保険者の範囲を拡大し、たとえば、①ライセンス/免許等を保有する雇用主、適法に営業する露店事業者又は市場のテナント、または法に従い外国人ケアワーカー又はヘルパーを雇用する等の雇用主に雇用される労働者は、いずれも強制加入被保険者の範囲に含まれます。

(三)雇用主に法に従って保険加入手続を行うよう促すため、保険未加入の雇用主に対する過料額が従来より引き上げられ新台湾ドル(以下同じ。)210万元までとなり、また期限内の改善を命じられたが、期限内に改善しなかった場合、回数に応じて処罰されます。さらに、事業者の名称、責任者の氏名等を公表する名誉罰も実施されます。

(四)労働者が、保険未加入期間に業務上傷病が発生し保険給付を受領した場合、所轄官庁は後で違法な雇用主にその保険給付額分を追納させます。

(五)台湾で非典型雇用労働者が徐々に増加していることを考慮し、一時的又は短期的に個人の雇用者に雇用される労働者、実際の労働従事者(たとえば、建設現場の施工班リーダーに雇用される労働者)、15歳未満の就労者(たとえば子役)を特に保険加入対象に含め、ウェブサイト、コンビニエンスストアのマルチメディア端末等を通じた、簡便な保険加入措置を提供することで、個人の雇用主が所属労働者を労働災害保険に加入させ、又は実際の労働従事者が自ら労働災害保険に加入することができるようになります。

 

法改正ポイント2:保険料率の調整、保険加入標準報酬月額の上限・下限の引き上げ、保険給付及び補助の拡大

(一)保険料率調整のメカニズム

施行初期の労使双方の保険料負担を低減するため、新法は施行から3年間は現行の労働災害保険料率表に基づき保険料を計算し、4年目から精算結果に基づき料率を調整すると規定しています。

(二)保険加入標準報酬月額の上限・下限の引き上げ

保障水準引き上げのため保険加入標準報酬月額の等級を労働者の実際の賃金水準に近づけるため、保険の報酬月額等級の上限が現在の45,800元から72,800元に引き上げられ、下限が現在の11,100元から25,250元に引き上げられ、また随時基本賃金に連動して調整されます。

(三)各種保険給付及び手当・補助の増進

(1).     医療給付:全民健康保険の給付における特殊材料の自己負担差額が、給付範囲に含まれます。

(2).     傷病給付:傷病給付は、最初の2ヶ月間は被保険者の標準報酬月額の100%、3ヶ月目からは標準報酬月額の70%が発給され、発給期間は最長2年になります。

(3).     失能給付:失能年金は、勤続年数ではなく労働能力喪失の程度に応じて、被保険者の標準報酬月額の70%、50%及び20%が発給されます。

(4).     死亡給付:遺族年金は、勤続年数ではなく、被保険者の標準報酬月額に応じてその50%が発給され、年金支給要件に満たない遺族は、遺族一時金を受領することができます。また、被保険者は、同時に労働災害保険及びその他社会保険年金の給付を受領できるようになります。

(5).     失踪給付:被保険者の職業を問わず作業中に想定外の事故に遭い失踪した場合、失踪日から被保険者の標準報酬月額の70%を、生還日の前日、失踪から満1年となる日の前日又は死亡宣告の判審の確定を受け死亡したとされる日の前日まで、毎3ヶ月の期末に1回支払われます。

(6).     各種手当・補助措置:保険脱退後に職業病に罹患した被保険者には、医療補助、失能及び死亡に対する手当が提供され、保険未加入の労働災害被害者には、労働能力喪失及び死亡に対する補助が提供されます。また、介護を必要とする入院、又は生涯にわたり労働能力がないと評価され、日常生活において扶助を必要とする労働災害被害者に対しては、介護補助が提供されます。

 

法改正ポイント3:労災予防及び復帰対策の強化

労災予防及び復帰対策の強化が今回の立法の中核となっており、たとえば以下が挙げられます。

(一)認可を受けた業務上傷病の診断・治療医療機関、労働能力回復機関を通じて、専門スタッフにより傷病の診断・治療、リハビリテーション医療、労働能力回復、復帰計画の策定への協力等の労働災害被害者が職場復帰するまでワンストップサービスが提供されます。

(二)認可を受けた専門機関により、労働能力回復訓練が必要であると評価された場合、労働者は、最長180日の労働能力回復手当を受領できます。また、労使双方が積極的に回復作業に参加するためのインセンティブを高めるため、雇用主が労働災害被害者の職場復帰を支援する補助施設を設ける、事業者が労働災害被害者を雇用する等の場合も、補助又は雇用奨励手当を享受することができます。

(三)業務上傷病の通報ルートの多元化、財団法人労災予防及びリハビリセンター(中国語:財團法人職災預防及重建中心)の設立が規定されています。

(四)職業病鑑定制度の最適化のため、中央による鑑定の一本化を採用し、被保険者が認可医療機関で職業病と診断されたものの、保険給付に紛争がある場合も、鑑定を要求できます。

 

法改正ポイント4:労働災害被害者保護法の統合

新法は、労働災害被害者に対する権利利益の保障を完備できるよう、同時に現行の労働災害被害者保護法における、雇用主の労働災害被害者との異動協議義務、労働契約の終了、労働災害被害者の解雇手当、退職年金又は退職金、疾病休暇等に関する事項についても統合しています。

 

その他

202251日より、新法に別段の定めがある場合を除き、現行の労働保険に関する法律の労働災害保険についての規定及び労働災害被害者保護法は適用されません。また、新法の施行に合わせて、労働部は、労働者労働災害保険及び保護事項の推進を追加し、労働者労働災害保険を2022年労働監督検査の重点に含めています。

 

上記情報についてご質問がございましたら、又はその他の関連法規についての情報をご希望でしたら、当事務所の朱百強弁護士(marrosju@leeandli.com)、林莉慈弁護士(litzulin@leeandli.com)までお問い合わせ頂ければ幸いです。
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