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商標権侵害の判断の際に商標の専用権放棄を声明した部分を考慮すべき旨が最高裁にて判示される



最高裁判所109年度台上字第1758号民事判決では、商標権侵害行為排除事件について以下のような判示がなされた。

商標法第29条第3項に規定の専用権放棄の声明(中国語「声明不専用」)制度は、審査及び登録査定手続において、今後発生し得る商標権紛争を予め回避するための予防的行政措置に過ぎない。登録商標が特定事項について専用権放棄を声明するか否かは、当該事項が識別性を有するか否かを事後に判断するための唯一の根拠ではない。登録査定を経て登録公告された商標に識別性欠如のため専用権放棄を声明した部分が含まれていたとしても、商標権者が取得したのは、当該商標における専用権放棄を声明していない特定部分を単独で使用する権利ではなく、指定商品又は役務において商標全体を使用する権利である。商標の混同誤認のおそれの有無の判断は、消費者の視点から観察すべきであり、また、商品又は役務において消費者に示す商標はその図案全体であり、それが分割された後の各部分ではないことから、商標間において混同誤認のおそれがあるか否か、又は類似するか否かを判断する際には、商標図案全体を観察しなければならず、その中の識別性を有しない部分は、やはり商標の類否判断に影響を与える可能性がある。特にその専用権放棄を声明した部分については、商標権者が市場で実際に使用した結果、後天的識別性を取得している場合、もはや不登録事由にはならなくなる(同条第2項規定を参照)。もしそれが著名商標の顕著な部分になった場合、商標図案の全体を観察して類似するか否かを判断をする際に、著名商標に対する保護が一般の商標に比べより強化されている台湾の商標法、各国の法律又は国際条約の趣旨に合致させるため、当該顕著性のある要部を併せて参酌することができ、商標権者がこれを別件として商標登録出願する必要はない。 

 最高裁は当該事件の事実について、原審が職権により事実認定、証拠調査を行い、関連証拠を総合的に考慮した上で、被上告人が係争商標権者であり、当該商標は数字「101」と中国語、英語の「台北」、「TAIPEI」又は101建築物図形の組み合わせからなるもので、すでに著名商標となっているとした判断は正当として是認した。そのうち「101」は消費者によく知られた表徴で、係争商標の顕著な部分に属し、商標全体を観察すると、上告人が使用した商標の後ろにある中国語の「名品会」は、ブランド品の集まりという意味を伝えるに過ぎず、前半の太字の数字「101」の方が目立ち、消費者が商品又は役務の出所を識別するための主要部分となっており、それは係争商標の「101」部分と完全に同一で、わずかに字体が異なるのみで、全体的な外観、観念のいずれも極めて類似している。被上告人は専用権放棄を声明した「101」部分について単独で商標権を主張することはできないが、「101」はすでに係争商標の顕著な部分となり、商標図案を全体的に対比すると、被疑商標と係争商標は類似すると判断することができ、また、被疑商標が使用されているネットショッピング又は類似役務も係争商標の指定役務の範囲内にあり、両者の役務も類似し、関連消費者が普通の注意を払い、時間と場所を異にして両商標を隔離的に観察しても、出所が異なるものと区別することはできず、両者に関係企業、ライセンス関係、加盟又はその他類似する関係があると混同誤認を生じさせるおそれがある。上告人は実際に被疑ドメイン名及び被疑図案をSNSサイトに使用しており、販売した商品はいずれも係争商標が使用を指定する区分に属し、関連消費者に係争商標と関係があると誤認させることもあることから、被上告人が設立したサイトとの混同誤認が生じるおそれがある。上告人は係争商標が智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当)から著名商標であると認定されてから初めて被疑商標の登録出願及び被疑ドメイン名の登録申請を行っていたことから、善意によるものではないことが明らかであり、商標法第68条第3号、第70条第2号で規定する係争商標権の侵害及び侵害とみなす状況に該当する。 

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