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「事業単位が実施する労働者の当直における注意事項」の適用停止後の雇用主への影響及び対応について



「事業単位が実施する労働者の当直における注意事項」の適用停止後の雇用主への影響及び対応について

作成者:余天琦/ 趙均豪

(日本業務部和訳)

内政部は、雇用主の通常労働時間外に労働者に当直業務を求めるニーズと労働者の健康及び福祉のバランスを取るため、当直の定義、手当及び報酬、代休等事項について、1985125日に「事業単位が実施する労働者の当直における注意事項(以下、「当直注意事項」という。)」を制定しました。この当直注意事項は、2019811日に労働部により改正され、その後202211日より適用が停止されています。

当直注意事項の当初の構造において、労働者の当直時間は通常労働時間と認められていませんでした。そのため、当直手当の支給額は労使間交渉が可能であり、労働者の通常の賃金及び法定残業代の計算基準に基づき支給する必要はなく、当直注意事項にも当該手当は1か月あたりの最低賃金額を240で除した後に当直時間数を乗じた金額を下回らないことが望ましいとしかありませんでした。しかし、当直注意事項の適用停止後、労働者の当直時間は、労働基準法に定める労働時間に含まれ、関連規定が適用されます。すなわち、雇用主が労働者に当直を要求する場合、通常労働時間と延長労働時間の上限規制に合致する必要があるほか、通常の労働時間を超える部分を延長労働時間数に含め残業代を支払う必要もあります。

しかし、労働基準法は「労働時間」について明文規定していないため、雇用主が通常労働時間外に従業員に手待や待機を要求する場合に、労働時間として対応する賃金を支給する必要があるかは、主務官庁の書簡解釈及び裁判所の実務見解に基づき判断し、労働者に当直を要求しただけですべて労働時間にあたると機械的に考えるべきではありません。台湾高等裁判所104(西暦2015)年重労上更()字第7号民事判決の見解を参照すると、裁判所は学説及び実務見解に基づき、労働に関する時間を、次の4つの態様に分けています。

1.         実際の労働時間
労働者が実際に業務に従事した時間をいいます。

2.         手待時間
労働者は実際には労務を提供していないものの、合理的予期において、相当高い確率で当該時間内に実際に労務を提供する必要があり、実際に労務を提供しないことが例外である場合をいいます。この場合、労働者はいつでも労務を提供できるよう、相当高い注意を払う必要があります。

3.         現場待機時間
労働者はいつでも労務を提供できる状態であるものの、実際には労務を提供していない場合をいいます。また、合理的予期において、通常は当該時間内に実際に労務を提供する必要がないため、実際に労務を提供することが例外にあたります。この場合、労働者がいつでもすぐに労務を提供できるようにするには、労働者の滞在場所を制限せざるを得ないと思われます。

4.         呼出待機時間
労働者は実際に労務を提供しておらず、また極めて高い確率で実際に労務を提供する必要もなく、実際に労務を提供することが極めて例外的である場合をいいます。この場合、労働者は、雇用主の要求に備え、労務を提供できるよう、連絡先を提供すれば足ります。また、雇用主から労務の提供を要求されてから、実際に労務を提供するまでの間に、一定の通勤時間が許容されるため、労働者は労務を提供できるよう準備しているとはいえ、活動の自由だけでなく、滞在場所についても、ほぼ制限を受けません。

上記説明において、休憩時間とは、労働者は労務を提供する義務を免れるだけでなく、基本的にいつでも労務を提供できるよう準備する義務もない時間を指し、労働時間には該当しません。

上記休憩時間を含む5つの態様は、労働者が労務を提供する程度の高い順に並んでいます。そのうち、現場待機時間と呼出待機時間について、いずれも基本的に従業員が労務を提供する必要がないものの、実務上多くの場合において現場待機時間はすべて労働時間と認められ、一方、呼出待機時間は労働者が労務を提供した時間のみが労働時間であるとされます。裁判所は、この2つの態様の実質的な差異について、従業員が当該時間に特定の場所で待機をする必要があるか否か、就労場所への通勤に十分な時間が許容されているか否か、又は雇用主の指示を受けたらいつでもすぐに就労場所で労務を提供する必要があるか否かによって判断しているように見受けられます。前記質問の答えに「はい」が多いほど、雇用主が労働者に当直を要求する時間が現場待機時間にあたる可能性が高くなり、雇用主は全時間数に対して賃金及び残業代を支給しなければなりません。一方、呼出待機時間であれば、雇用主は労働者が出勤の指示を受け実際に労務を提供した時間に対してのみ賃金及び残業代を支給すれば足ります。

上記情報についてご質問がございましたら、又はその他の関連法規についての情報をご希望でしたら、当事務所の朱百強弁護士(marrosju@leeandli.com)、林莉慈弁護士(litzulin@leeandli.com)までお問い合わせ頂ければ幸いです。
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