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商標の先取り登録防止対策~中国での商標ポートフォリオを早く構築すべし!


Audrey Liao/Clair Y. W. Gao

一. 前言 

国際貿易の拡大に伴い、世界的に有名なブランドも各地の市場に参入しており、人口の多い中国が、有名ブランドの市場開拓にとって最も魅力な市場となっている。しかしながら、中国における悪意による商標の先取り登録の問題が絶えず発生している状況下で、企業が市場拡大、事業戦略を検討する際に無視することのできない課題となっている。 

米国の老舗のスポーツブランド、有名なソーシャルソフトウェア、世界クラスのコンピュータやスマホ、また、日本で有名な日用品ブランド等の会社であってもいずれも侵害を受けている。商標が先取り登録された後、商標の異議申立による救済手続を経て訴訟を起こしても、尚も敗訴との判決を受け、甚だしくは先取り登録された後に、中国でかえって商標権侵害として訴えられてしまった。その判決結果は、国外業者に国外で長年登録済みの商標を使用してはならないことを命じるだけでなく、さらに中国の先取り登録会社に経済的損失と合理的な費用を賠償するよう命じるものであった。長年商標の先取り登録に苦しんできた米国の老舗スポーツブランドは、最近、反不正当競争法により反撃し、商標登録の一部について無効を宣告することに成功したが、いまだに中国の先取り登録商標を全て排除することはできていない 

上記の例では、有名商標の中国における先取り登録の問題がかなり深刻であることを示している。企業が中国市場に進出しようとする場合、商標ポートフォリオの構築を最優先事項としなければならない。 

本文では、中国での商標登録の長所と短所、中国の悪意による商標の先取り登録の態様について説明する。 

二. 中国における商標登録と先取り登録の概況 

(一)  中国における商標の悪意による先取り登録の態様 

中国における商標の悪意による先取り登録の態様は主に2種類に分けられる。1つは「有名ブランドへのただ乗りと呼ばれる行為で、すなわち、有名ブランドと類似する商標を登録し、消費者にそれが著名商標が生産した商品であると誤認・混同させ、又はそれが著名商標とフランチャイズ、チェーン、協力関係のある企業が生産したものであると誤認させるものである。もう1つは、転売のための商標の登録だめで、登録商標をためている出願人は通常、利益を獲得するために著名商標を高額で販売している。 

(二)  中国における商標ポートフォリオの早期構築には多くの利点がある 

以上のことから、本文では、中国市場の開拓を目指す企業には、商標ポートフォリオの早期構築を行うことを強くお勧めする。その理由は2つある。1つ目は、中国の人口が多く、市場規模が巨大で、驚くべき消費力を持つことから、十分検討に値する市場である。中国での商標登録は台湾と同じく先願主義を採用しているため、一旦登録に成功すれば、商標は中国全土で保護される。2つ目は、商標登録出願の手数料がかなり安価で、かつ、登録商標は権利侵害を被った時に主張できる正当な権利がある。一旦、強固な商標ポートフォリオが構築されると、ブランドイメージ、マーケディング戦略の助けとなるだけでなく、法律面においてもより完全な保障が得られることとなる。これにより、会社が多くの時間と労力をかけて構築してきたブランドが、他人による先取り登録で一気に失うことを防ぐことができる。 

三. 結論とアドバイス 

 中国での商標登録の出願料は安価であり、かつただ乗りする者(フリーライダー)が多く存在し、さらに近年、知的財産権の保護が強化されるにつれて、悪意の商標先取り登録行為がますます深刻になってきた。商標出願が悪意の商標先取りに該当するか否かは裁判所が出願人の行為を総合的に判断するものであるが、「立証責任あるところに敗訴あり」という法諺に示されるように、商標権者であっても訴訟で敗訴するリスクがある。よって、中国市場への進出を目指す企業には、発展のため商標ポートフォリオを早く構築することをお勧めする。

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