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5G時代のAI、ARとロボット


Audrey Liao/Clair Y. W. Gao/Jacky Lee

一. 前言 

20年後の世界を想像したことがあるでしょか?」 

世界がミレニアムを迎え、携帯電話の歴史の中で最も象徴的なノキア製3310が発売されたばかりの頃、20年後の世界が既に2G(第2世代移動通信システム)から5G(第5世代移動通信システム)に劇的に進化を遂げたとは、誰も想像できなかったことだろう。製造業も労働集約型から次第にオートメーション化、スマート化してきているが、スマート化のカギは、今最も熱い人工知能(Artificial Intelligence、以下「AI」という)の発展に頼っている。 

科学技術の発展が急速に進む中で知的財産権をどのように活用して市場を開拓し保護するのかについて、以下に5GAI及びロボットの発展に焦点を当てて商標ポートフォリオ構築の基本理念と方針を説明していく。 

二. 5G世代のポートフォリオ戦略 

(一) 5Gは、第5世代移動通信システムとも呼ばれ、現在最先端の通信技術である。5Gネットワーク自体が高周波数帯を利用することから、周波数伝送距離が短く信号のカバー範囲が比較的狭い。このため、高密度のネットワークシステムの構築が極めて必要とされており、このネットワークシステムには、ネットワーク設備の構築、電信伝送、ネットワークセキュリティ等の商品と役務が含まれる。 

(二) 従来の商標ポートフォリオの考え方は、通常、当該商品又は役務に「直接」関連する区分にのみ着目し、今後、商標登録に係る指定商品や指定役務から直接派生できる応用分野については、まったく考えることはなかったので、それが本来、商標権者が利益を得られるはずの分野で他人がその商標利益をじわじわ侵食し、ひいては類似商標を先取り登録した事態になっている。このような状況においても、やはり商標の行政救済手続により異議申立又は無効審判請求できるが、商標登録の段階であらかじめ商標のポートフォリオを構築できれば、行政訴訟手続に費やす時間を大幅に節約できる。以下では、商標ポートフォリオ構築の一助となるよう、5G関連サービスに係る商品及び役務についてご紹介する。 

三. AIAR、ロボットについて 

(一) 遠隔診療(テレメディシン)から精密医療(プレシジョンメディシンprecision medicineまで 

これまで、患者が自ら医療機関に通院する必要がないよう、一部の病院や診療所ではビデオ専用端末を用いて簡易的な遠隔問診サービスを提供しており、患者の振り分けを有効的に達成できるだけでなく、患者の通院にかかる労力や時間を省くこともでき、また、ちょっと病気になったらすぐに救急に駆け込む必要もなくなった。現在では「精密医療」の考え方が提唱されるにつれ、誤診や治療の遅れの可能性を減らすことになり、これも遠隔医療サービスのアピールポイントとなっている。5Gネットワークの高速伝送の特性を通して、より迅速に医療設備が収集した患者個人の病理症状、血液データ、薬物反応を安全なAIクラウドプラットフォームにアップロードできる。その後、医療スタッフによる評価のために、AIアルゴリズムにより当該患者への最適な治療法を分析して提案する。これは、患者に効果のある治療を提供し、その再診回数を減らすのに役立つ可能性がある。 

では、遠隔診療及び精密医療サービスを経営・開拓しようとする業者にとって、その商標ポートフォリオを構築する際に、どのような商品と役務の区分を考慮しなければならないだろうか。先ず、遠隔診療はビデオ機器、ネットワーク通信技術及び医療専門サービスにより構成されるものであり、その商標登録に係る指定商品・指定役務については、コンピュータハードウエア、ネットワークサーバ等の商品、医療器具、医療用補助品等の商品、遠隔医療役務等が含まれる。また、精準医療は5GAI技術を結合し、患者のためにカスタマイズされた治療法も提案される。その商標登録に係る指定商品・指定役務については、コンピュータソフトウエア、ネットワークサーバ等の商品、医療器具、医療用補助品等の商品、電信伝送サービス及びコンピュータデータ処理サービス等が含まれる。 

近年、遠隔診療と精密医療を統合した医療用スマートロボットの開発を提案した業者もある。このようなロボットは、本来の単に付加価値のある医療サービスを提供するということから外れて、さらに患者ケア、寄り添う分野にまで発展してきている。外観はただのロボットに過ぎないが、日々の医師の指示に基づくリマインダー及びタイムリーな治療法の分析報告を通して、患者はロボットと依頼関係を構築し、患者へ寄り添ったケアを行うと言うニーズに応えられるようになる。このようなロボットについて、前述した商品と役務の区分以外に、ロボットの商品区分にも留意すべきである。 

(二) スマートロボットによって建てられたスマートホーム 

高度で専門的な医療ロボットに比べて、さらに多くのメーカー、業者が5GAIの技術を組み合わせたスマートホームロボットを発売している。 

スマートホームロボットの種類は、そのサービスの顧客層と目標により違いがある。例えば、高齢化社会の到来に伴い、人々の家事能力も加齢とともに低下してきている。スマートホームロボットは高齢者の生活習慣を学習しながら炊事、掃除等の生活支援を提供することにより、高齢者の一定の生活の質(QOLquality of life)を保つことができる。また、子どもを育て両親が壮年期を迎える家庭にとって、教育用インタラクティブ機能をより重視し、スマートロボットを通して遠隔教育サービスを提供するニーズが高まる。現行の商標登録出願システムでは、このような商品に関連する可能性のある商品又は役務には、目標とニーズにより、5Gネットワークに係る商品及び役務、洗浄機器商品、ロボット商品、空気洗浄器、教育及び家事管理等の商品又は役務が含まれる。 

(三) オフラインからオンラインへ臨場感あふれるリモートショッピングとリモート内見 

5G時代において、ARAugmented Reality:拡張現実)/VRVirtual Reality:仮想現実)のアプリケーションサービスの活用により、デジタル情報と現実世界をとを結合し、完全に仮想化された映像がキャリアーに映し出されることで、消費者は自ら現場に行かずとも現実(実体験)に近い体験が得られるものになる。このような技術には大量のコンピューティングアルゴリズムと高速ネットワークが必要で、5GAIの発展がこの技術の良好な発展につながることから、AR/VRアプリケーションサービスは現在最も注目度の高い産業となっている。 

また、VRによって創造された完全なる仮想世界はゲーム分野によく応用されているのに比べて、ARはデジタル情報と現実世界とを結合させるものであることから、消費者のリモートショッピング、旅行等の分野でのニーズに応えることができる。現行の商標登録出願システムでは、上述した技術及びサービスに関連する可能性のある商品又は役務には、5Gネットワークに係る商品又は役務、ウェアラブル電子デバイス商品、及びコンピュータープログラミング、コンピュータデータ処理等の役務が含まれる。この産業のパイオニアを目指し持続的な発展を遂げるためには、上述した商標のポートフォリオ構築が不可欠である。 

(四) ポストコロナ時代における非接触型サービスと無人店舗 

台湾ではコロナ前から早くも「無人店舗」という形態の店舗が既に稼働しており、無人店舗で提供する販売、飲食サービスはいずれもセルフ式を採用しており、決済は顔認証と電子チケットを組み合わせた方法で決裁手続きを完成させている。上記の動作を実行するために、「マルチセンサーテクノロジー」と「AIによる行動認識技術」が必須であり、これらの情報の連結にも5Gネットワークの支援が欠かせない。このような非接触型サービスの無人店舗は既に次世代のホットな話題となっている。現行の商標登録出願システムでは、このようなサービス形態に関連する可能性のある商品又は役務の範囲は極めて広いが、少なくとも5Gネットワークに係る商品又は役務、総合的商品の小売り役務、コンピュータープログラミング、コンピュータデータ処理等の役務が含まれる。 

四. 結論 

本文の紹介と分析によると、以下の結論が得られる。メーカー又は業者が5GネットワークとAIから派生したスマートシティ、スマートホーム、自動運転車、ひいてはスマートロボット等の産業の発展を望む場合、商標ポートフォリオを構築する際に、現行の商標登録出願システムにおける5Gネットワーク及びAIに関連する商品又は役務の区分を重視しなければならない。商標ポートフォリオを構築するための鍵は、産業構造とコアコンセプトをしっかりと把握することにあり、産業動向と技術の発展を徹底的に理解してこそ、商標登録の商品と役務の区分を適切に指定して企業の強固な商標網を構築できる。

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