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知的財産商業裁判所、人工知能(AI)の発明者適格性を否定



人工知能(Artificial Intelligence、以下「AI」という)を発明者として特許出願することが認められるか否かは、全世界共通に重要な課題となっているが、その法制度や実務見解は、国によって大きく異なるものである。南アフリカは、AIを発明者とする出願に特許を付与した最初の国となり、AI人工知能マシン「DABUS」(ダバス:Device for the Autonomous Bootstrapping of Unified Sentienceの略)を「発明者」として認めた。その後、オーストラリア連邦裁判所もAIを発明者として認める判決を下した。しかし、米国特許商標庁USPTO)は、DABUSは発明者とは認められないとして特許出願を却下した。連邦地方裁判所はその後もこの処分を支持した。 

台湾では、知的財産商業裁判所は110年(西暦2021年)度行専訴字第3号行政判決において、以下のように判断した。専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)及び専利関連規則に基づき、特許の発明者は「自然人」でなければならず、DABUSは「人工知能システム」(AI)であって、法律で定義されている「自然人」ではなく、本件特許出願には他の発明者もいないので、特許出願の要件を満たしていない。したがって、本件特許出願に対する智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当による不受理処分に違法なところはない。 

同裁判所は上記判決の理由中に以下のような見解を示した。専利法第5条第2項には、「専利出願権者とは、本法に別段の規定がある場合又は契約に別段の約定がある場合を除き、発明者、実用新案考案者、意匠創作者又はその譲受人若しくは相続人を指す。」と規定されている。創作は人間の精神的活動の成果の総称であり、創作内容と性質に応じて異なる種類の権利によって保護される可能性がある。科学技術及び産業技術の研究開発を奨励するために、個々の創作に実質的に貢献した者に対して、専利権の形で一定期間の独占的な権利を与えて創作の保護を図る。なお、発明者、実用新案考案者、意匠創作者又はその譲受人若しくは相続人のみが専利出願人になれることを明文で規定している。また、氏名表示権については、専利法施行規則第16条、第31条、第83条の規定により、願書に発明者、実用新案考案者、意匠創作者の氏名及び国籍を記載し、公開公報及び公告公報にはそれらの氏名を記載しなければならない。また、専利法逐条釈義における第5の「専利出願権」の定義については、「法人の研究開発は、自然人を通じて行われるものであるため、本法でいう発明者、実用新案考案者及び意匠創作者はいずれも自然人に限られるもの。」、「発明者とは実際に発明をなした者を指し、発明者の氏名表示権は人格権の一種であることから、発明者は自然人に限られ、かつ、発明者は特許請求の範囲に記載された技術的特徴に対して実質的に貢献した者でなければならない。いわゆる『実質的に貢献した者』とは、発明が完成に至るまで精神的創作を行う者をいい、それは発明又は実用新案考案が解決しようとする課題又は達成される効果について着想conception)し、さらにその着想の実現のために具体的な技術手段を提案しなければならない。」と解している。専利審査基準には、「発明者は自然人でなければならず、発明者が複数いる場合、全員を願書に記載しなければならない。」と記載されている。 

同裁判所は、台湾の現行の関連規制に従い、発明者は、特許請求の範囲に記載された技術的特徴に対して精神的創作を行い実質的に貢献した者だけではなく、「自然人」であることも必須であると具体的に述べた。本件訴訟の審理中に、裁判長は「出願の課題に入る前に、原告はまずDABUSが『人』であるか否かを定義しなければならない。」と説明して釈明を求めた。これに対して、特許出願人の訴訟代理人は、DABUS法律で定義されている自然人ではないと自認した。

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