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定款に規定がない場合でも一定の条件を満たした場合にテレビ会議による株主総会の開催を可能にするための改正会社法が施行される。



定款に規定がない場合でも一定の条件を満たした場合にテレビ会議による株主総会の開催を可能にするための改正会社法が施行される。

 

 改正前の会社法の規定

 

台湾の会社法では、株式会社は、大まかに分けると以下の3つに分類することができます。

公開会社

非公開会社(非閉鎖会社)

非公開会社(閉鎖会社)

 

台湾においては、「非公開会社」と「閉鎖会社」は全く意味が異なるので注意が必要です。「閉鎖会社」は2015年に創設された類型で比較的新しく、現在でも上場していない会社の多くは、となっています。

 

取締役会、株主総会などをテレビ会議や書面決議により開催することができるかは、会社の類型によって異なります。概要は以下のとおりです。

 

 

公開会社

非公開会社

(非閉鎖会社)

非公開会社

(閉鎖会社)

取締役会

 

 

 

・テレビ会議

・書面決議

株主総会

 

 

 

・テレビ会議

・書面又は電子的方式による議決権行使

(株主総会自体は開催する)

・書面決議

(実際には株主総会を開催しないものの、開催したものとみなされる)

 

ただし、取締役会を書面決議で行う場合や、株主総会をテレビ会議や書面決議で行う場合は、定款にその旨の定めがあることが必要です。定款を変更するためには、株主総会決議が必要ですので、まずはテレビ会議によらずに株主総会を開催する必要があります。

 

 

 コロナの影響等

 

昨年5月に台湾では新型コロナウイルスの感染拡大に伴い警戒レベルが第3級に引き上げられましたが、ちょうど定時株主総会の開催が集中する時期に重なってしまいました。政府による防疫措置として集会人数が制限されたため、多くの会社が6月末までに定時株主総会を開催することが難しくなりました。そこで、非公開発行会社については、経済部が発布したQAガイドラインにより、所轄官庁への開催延期の申請は不要とし、公開発行会社については、金融監督管理委員会の公告により、株主総会の開催の一時延期及びテレビ会議により補助する方法での開催を認めるとの緊急対応措置が取られました。

 

会社法と企業の運営及び株主の権利とは密接に関係しています。

改正前の会社法では、前述のとおり、非公開発行会社は、定款に規定していなければ、テレビ会議によって株主総会を開催することはできず、公開発行会社に至っては、テレビ会議の方法による株主総会の開催は一切不可能となっていました。

しかし、デジタル科学技術の進歩に伴い、株主がテレビ会議方法で株主総会へ参加することへの需要が日に日に高まっており、またテレビ会議に使用する設備や技術も向上してきました。

また、今回の新型コロナウイルスのような感染症の拡大等、将来予期せぬ事態が生じた場合に、実際の集会による株主総会を開催することが難しくなり、定款の変更が間に合わない場面が想定されます。そこで、経済部(日本の経済産業省に相当)は、これらを考慮して、テレビ会議の方法による株主総会の開催を柔軟に許可すべきと考え、改正案が作成されました。

この会社法改正案は昨年12月中旬に立法院(日本の国会に相当)で可決され、1229日に公布、31日に施行されました。

 

 改正のポイント

 

今回の改正のポイントは以下のとおりです。

 

1.        非公開発行会社は、天災、事変又はその他不可抗力の状況がある場合、所轄官庁の公告に従い、一定期間内は、定款に規定がなくとも、テレビ会議の方法によって株主総会を開催できる。

改正法第172条の21項では、「天災、事変又はその他不可抗力の状況がある場合、所轄官庁は、会社が一定期間内は定款に規定していなくてもテレビ会議又はその公告された方法によって株主総会を開催することができる旨公告できる」との但書が追加されました。今後、会社はより柔軟な運営が可能となり、株主の株主総会へ参加する権利も一層保障されることになります。

 

2.        公開発行会社もテレビ会議による株主総会の開催が可能とする。

実務上、公開発行会社のテレビ会議方法による株主総会開催への規制を緩和するよう求める声が多い一方で、公開発行会社の株主の数が多く、テレビ会議方法による開催を許可することで影響が及ぶ範囲も広いことから、株主の権利・利益を保障する措置も設ける必要があると考えられました。そこで、改正法第172条の23項では、公開発行会社のテレビ会議の方法による株主総会の開催を認める一方で、公開発行会社が合致すべき条件、作業手続及びその他遵守すべき事項について、証券取引所轄官庁が別途規定した場合、それに従わなければならないと規定しています。

 

改正後の規定の概要は以下のようになります。

 

 

公開会社

非公開会社

(非閉鎖会社)

非公開会社

(閉鎖会社)

取締役会

 

 

 

・テレビ会議

・書面決議

株主総会

 

 

 

・テレビ会議

(ただし、証券取引所轄官庁が今後規定する条件等に合致する必要あり)

 

 

・書面又は電子的方式による議決権行使

(株主総会自体は開催する)

・書面決議

(実際には株主総会を開催しないものの、開催したものとみなされる)

テレビ会議方式は、天災等の場合で所轄官庁から公告がなされたときは、定款の定めなしでも可能

 

なお、上場会社の場合には、今後制定される見込みの証券取引所轄官庁の規則についても注意する必要があります。

 

上記情報についてご質問がございましたら、当事務所の朱百強弁護士(marrosju@leeandli.com)、林莉慈弁護士(litzulin@leeandli.com)までお問い合わせ頂ければ幸いです。

 

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