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税関による商標権益保護措置執行に関する実施規則の改訂案-2021年2月22日最新版



「税関による商標権益保護措置執行に関する実施規則」(以下「本規則」という)は、商標法第78条第2項の規定に基づき定められたもので、その目的は商標権の水際保護措置を着実に実施するため、税関が商標権の水際保護を実施する際に依拠できる具体的な規則を定めることにある。現代テクノロジーの発展に伴い、より柔軟な商標水際境保護措置を講じるため、本規則の主務官庁である台湾財政部関務署(日本の財務省関税局に相当、以下「関務署」という)は近年、本規則の改訂案を積極的に提出している。

 

 一、これまでの案と現行規則の条文対照表

 以下は2021222付の最新改訂案(以下「2021年版案」という)、2020123付の改訂案(以下「2020年版案」という)及び現行規則の条文対照表である。 

2021222

改訂條文()

2020123

改訂條文()

現行条文

 7条第2項第1

航空便輸入及び船便輸出入貨物の場合、商標権者は24時間以内に税関に出頭して権利侵害有無の認定を行うか、又は税関に権利侵害疑義貨物の写真ファイルを提供するよう申請した後、権利侵害有無の認定を行うかどうかを税関に通知しなければならない

航空便輸入及び船便輸出入貨物の場合、商標権者は24時間以内に税関に出頭して権利侵害有無の認定を行うか、又は税関に権利侵害疑義貨物の写真ファイルを提供するよう申請した後、権利侵害有無の認定を行うかどうかを税関に通知しなければならない

航空便輸入及び船便輸出入貨物の場合、商標権者は24時間以内に税関に出頭して権利侵害有無の認定を行わなければならない

7条第5

商標権者は第1項の通知を受けた後、税関に申請して提供された権利侵害疑義貨物の写真ファイルは、税関が取り締った案件で保存されている写真ファイルに限り、税関に出頭するかどうかを判断したり、自ら権利侵害有無の認定を行うかどうかを税関に通知したりするための参考として用いられるものである。

商標権者は第1項の通知を受けた後、税関に申請して提供された権利侵害疑義貨物の写真ファイルは、権利侵害有無の認定の判断の参考として用いられるものであり、権利侵害有無の認定の根拠としてはならない。

商標権者は第1項の通知を受けた後、権利侵害有無の認定のために税関に出頭するかどうかを判断する際の参考となるよう、権利侵害疑義貨物の写真ファイルを提供するよう税関に申請することができるただし、税関が提供した写真ファイルを、権利侵害有無の認定の根拠としてはならない。

9条第2

2.商標権者が第7条第 2 項第1号規定の期限内に権利侵害有無の認定を行わなかった。

2.商標権者が第7条第 2 項第1号規定の期限内に権利侵害有無の認定を行わなかった。

2.商標権者が第7条第 2 項第1号規定の期限内に税関に出頭して権利侵害有無の認定を行わなかった。

 

二、商標法による授権の明確性の問題

 関務署は、商標権者の税関への出頭(自ら税関に出頭する)に必要な費用、時間及び人件費等を軽減するため、2021年版案であれ2020年版案であれ、本規則第72項第1号には、いずれも商標権者は本号規定の期限内に税関に権利侵害疑義貨物の写真ファイルを提供するよう申請した後、権利侵害有無の認定を行うかどうかを税関に通知することを選択できるよう規制緩和が行われた。この改訂に合わせて、本規則第9条第2項の「税関に出頭して」との文言を削除する。

 その改訂理由は以下のとおり。テクノロジーの発展に伴い、写真を通して権利侵害の有無を判断することができる。また、米国、日本、ドイツ、韓国、インド及び中国等の国の法律を参考にすると、これらの国ではいずれも商標権者に自ら税関に出頭するよう強制的に要求することもない。24時間以内に税関に出頭して認定を行うことは、実務上、多くの場合、商標権者に負担をかけることになる。例えば、外国の商標代理人に連絡し、その後代理人から商標権者に連絡するために連絡のコスト等がかかるため、多くの場合、商標権者が積極的に権利を保護することを意図しているが、時間的プレッシャーのために諦めるしかないことになる

 ただし、本規則は商標法の授権に基づいて定められたものであり、商標法第75条第2項「税関が前項の通知を行うときは、期限を定めて、商標権者に税関に出頭して認定するよう求め、並びに権利侵害の事実証拠を提出させなければならない。同時に期限を定めて、輸出入者に権利侵害していないことを証明する書類を提出させなければならない」においては、すでに「税関に出頭して」という文言が明文化されているため、これは関連組織に本規則第7条第2項第1号の案が授権の明確性原則に違反する可能性があるという懸念を引き起こした。本規則の改訂案の趣旨は、よい方向にあるため、各主務官庁には互いに協議して関連法律の一連の措置又は改訂措置を提案することが望まれる。

 

 三、権利侵害疑義貨物の写真ファイルは、権利侵害有無の認定の参考とすることができる

 2021年版案の本規則7条第5を見てみると、関務署は「ただし、税関が提供した写真ファイルを、権利侵害有無の認定の根拠としてはならない」という文言を削除し、「税関が取り締った案件で保存されている写真ファイルに限り、税関に出頭するかどうかを判断したり、自ら権利侵害有無の認定を行うかどうかを税関に通知したりするための参考として用いられるものである。」という文言を新設した。

 2021年版案の改訂理由においては、「商標権者がこれらの写真ファイルを権利侵害報告書に取り入れて証拠として提出する場合、当該証拠が権利侵害認定報告書に対して生じた結果を自ら背負わなければならない。そのため、他の権利侵害証拠も併せて提出する必要があり、これにより総合的に認定すべきであり、これらの写真ファイルを権利侵害有無の認定の唯一の根拠として用いることは適切ではない」と明確に述べられた。以上のことから分かるように、税関から提供された写真は、侵害有無の判断の証拠として用いることができるが、ただ「唯一の」根拠として用いることができない。商品の写真は、元々商標権者が商標権侵害の有無を判断するための重要かつ効果的な根拠として用いられることがあり、法律でそれを証拠とすることを強制的に排除すると、あまりにも硬直しすぎるように思われ、かつ商標権者は権利侵害の主張を証明するために提出した証拠について、その結果を自分が背負うのは当然である。

 

四、行為主体不明確についての疑義

 2021年版案の本規則7条第2項第1に規定する「商標権者は又は税関に権利侵害疑義物品の写真ファイルを提供するよう申請した後、権利侵害有無の認定を行うかどうかを税関に通知しなければならない」という文言が長く、その行為主体が不明確となる可能性があるため、2021年版案の第7条第5項の文言を参照して、「商標権者は又は税関に権利侵害疑義物品の写真ファイルを提供するよう申請した後、権利侵害有無の認定を行うかどうかを税関に通知しなければならない」と改訂することを提案する。

  2021年版改訂案の進捗については、関務署が政府の各関連機関や民間の関連組織の意見を積極的に収集する等、法改訂の推進に努めている。本規則の最新版改訂案の公布・施行を期待している。

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