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商標法上の使用は、必ずしも営利を目的とした商業取引には限らない



 商標法第5条第1項及び第2において、それぞれ「商標の使用とは、販売を目的として、ならびに次に掲げる各号のいずれかに該当し、関連する消費者にそれが商標であると認識させることができることをいう。1.商標を商品又はその包装容器に用いる。2.前号の商品を所持、展示、販売、輸出又は輸入する。3.提供する役務と関連する物品に商標を用いる。4.商標を商品又は役務と関連する商業文書又は広告に用いる。」、「前項各号の状況は、デジタルマルチメディア、電子メディア、インターネット又はその他の媒介物の方式で行う場合も同様である。」と規定されている。本条にいう「販売を目的とした使用」が一体「有償」の営利行為に限られるのかどうかは、商標実務において重要な論争となっている。最高行政裁判所109年(西暦2020年)度判字第670号判決は、商標法第5条第1項における「商標使用」の定義に規定される「販売目的」は、「営利を目的とした商業取引」には限らないことを明らかにした。
 
 最高行政裁判所は、商標法第5の商標の使用について、同院105年(西暦2016年)度判字第394号判決において以下のような見解が示されたと指摘した。「販売目的」の規定は、1972年商標法の「市場販売」及び1983の商標法の「国内又は海外市場への販売」に由来し、1993年に「販売目的」に改正された。初期の「市場販売」又は「国内又は海外市場への販売」という用語の解釈では幅が狭すぎるが、改正後の「販売目的」という用語は、各種取引過程における使用態様を広く包含するものとなっている。「販売目的」とは、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights、通称TRIPS協定)」第16条第1項にいう取引過程(in the course of trade)の概念と類似しているものである。よって、「販売目的」の意味は実際には「取引過程(in the course of trade)」と同じであり、行為の主観的な取引意図ではなく、客観的な取引状態に基づき判断すべきである。行為が「販売を目的とした」商標の使用にあたるかどうかは、やはり具体的事例の行為に基づいて客観的に判断されるべきであり、現在の実務においても、「販売目的」イコール「取引過程」という見解が採用されている。商標法第5条第1項は、商標の使用に関して、「販売を目的とする」旨だけを規定しているが、「販売」行為は「営利を目的とした商業取引」に限ることを規定していない。「商業取引過程における使用」という文言で解釈するならば、「商業」は商標使用の形態の一例に過ぎず、「商業」という文言にとらわれ、営利行為に限って商標の使用にあたると認定してはならない。よって、商標使用の認定は有償、無償を問わず、さらに営利行為に限らず取引過程に重点を置くべきである。例を挙げると、実務上では、ハーバード大学、台湾大学、財団法人台湾佛教慈濟(Tzu Chi)慈善事業基金会等の非営利団体の名称が登録商標として使用されていることがよく見受けられる。
 
 最高行政裁判所はまた、役務における商標の使用の意味に対して、商品における商標の使用と異なる見解を示した。その見解は以下のとおり。役務における商標の使用とは、他人に役務を提供するために、商標をその提供する役務の営業上の関連物品に使用したり、商標をその役務と関連する商業文書又は広告に使用したり、デジタルマルチメディア、電子メディア、インターネット又はその他の媒介物等の方式を利用してその役務の販売促進を行うことを指す。また、商標として役務に使用するというのは、他人に実際に労務又は活動を提供し、かつ自分の商品を販売するために提供する必要な関連役務とは異なるものでなければならない。もし商標とする名称又は標識が提供する役務は専ら自己の事物又は商品のためのものであり、一般不特定の多数人に対し提供する役務ではない場合、当該商標の名称又は標識を使用した事実があったとしても、合法的な使用とは認められない。
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