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専利法の一部改正案-専利救済制度の大改革



経済部智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)20201230日に専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)の一部改正案を公表した。今回の改正案では、専利出願及び無効審判の救済及び訴訟手続についていずれも大幅な変更が行われた。なかでも、専利出願の「再審査」制度の廃止、救済への審議制度の導入、訴願手続の省略が採られたほか、さらに専利の「複審」及び「争議」に係る訴訟について行政訴訟手続から民事訴訟手続に改めた。今回の改正案は、近年最大の専利法の改正案と言える。

 

今回の専利救済制度の改正ポイントは以下のとおりである。 

 

専利主務官庁は「複審及び争議審議会」を設置し、審議手続を強化する 

智慧局内に新たに「複審及び争議審議会」を設置する。「複審」又は「争議」(詳しくは後述参照)の審議については、3名又は5名の審議官からなる合議体でこれを行い、直接審理主義を採用し、さらに口頭審理、準備手続、審議計画のメカニズム、審議手続における適切な心証開示、審議の中間決定及び審議終結通知等のやり方を導入する。当該審議は本質的に専利権紛争に対する行政裁決手続である。 

専利出願手続において「複審」制度を導入し、再審査を廃止し、訴願階層を省略する 

今回の改正案は、4種類の専利「複審」を明文化している。1拒絶査定を不服とする拒絶査定「複審」。2、専利権存続期間の延長登録の出願。3、訂正。4、その他専利出願及びその他の手続に関する処分を不服とする「複審」。その中の第4号の「複審」は、前3号に掲げるもののほか、専利主務官庁による他の処分を不服とするものを指し、例えば、優先権主張の拒否、出願人不適格、実施許諾、質権設定の登録などの処分を不服とするものである。 

現行の専利法では、専利出願の審査は「初審査」と「再審査」に分けられる。今回の改正案により、再審査は廃止され、出願人が初審査の拒絶査定を不服とする場合、拒絶査定「複審」を請求しなければならない。その「複審」決定を不服とする場合、直接、知的財産及び商業裁判所へ訴訟を提起することができる。「複審」は専利主務官庁に係属するが、訴願に相当するため、訴願手続を経る必要はない。 

専利無効審判請求事件の審理への争議審議制度の導入

改正案では、争議案の種類は無効審判請求事件及び特許権存続期間の延長登録に対する無効審判請求事件の2種類に分けられ、複審及び争議審議会によって審理を行うと明確に規定されている。無効審判請求事件は口頭審議で行われ、かつ、公開で行わなければならない。ただし、専利主務官庁が必要と認めた場合は、当事者の合意により又は職権で書面審議とすることができる。 

専利の「複審」及び「争議」に係る訴訟について行政訴訟手続から民事訴訟手続に改める 

現行の民事・行政のダブルトラックの救済制度は複雑すぎて、訴訟提起者が困惑しやすいため、改正案は外国の立法例を参考にして、専利の「複審」及び「争議」の訴訟審判権は全て民事裁判所の管轄下に置かれ、専利主務官庁による審議結果を不服とする場合、訴願手続を経ずに、直接、知的財産及び商業裁判所へ訴訟を提起できる。  

ただし、上記改正案には、またいくつかの調整が行われる可能性が高いと思われる。専利権者や特許業界は、新制度をリアルタイムに把握し、専利法や関連制度の改革に留意を払う必要がある。

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