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お知らせ:(台湾特許実務)スタートアップ企業に対する積極型特許審査制度の施行、及び全ての特許審査促進方法の紹介について



お知らせ:(台湾特許実務)スタートアップ企業に対する積極型特許審査制度の施行、及び全ての特許審査促進方法の紹介について
台湾特許庁は、スタートアップ企業の特許取得を促進するために、202111日から、「スタートアップ企業に対する積極型特許審査制度」の試行を開始すると発表した。以下に「スタートアップ企業に対する積極型特許審査制度」の概要を説明するとともに、現時点で台湾特許庁が実施している審査促進方法についてまとめる。
一、「スタートアップ企業に対する積極型特許審査制度」の概要
1.試行期間
202111日からの半年間を試行期間とし,試行件数は30件に限る。台湾特許庁は試行の状況に応じて、実施期間の延長や制度の修正について改めて検討するという。
2.適用出願人
スタートアップ企業は、特許出願の出願人として、この制度の適用を請求することができる。ここでスタートアップ企業とは、台湾法又は外国法に基づいた設立してから5年未満の企業を指す。即ち、出願日(優先権主張を伴う場合は、優先権日)当日の時点で、設立から5年未満の企業であれば、台湾または外国の企業を問わず、「スタートアップ企業に対する積極型特許審査制度」の適用を請求することが可能である。
3.適用出願
特許出願について、実体審査が開始される旨の通知書を受けた後、1回目の審査理由通知書を受けるまでの間に、特許出願人は出願人の名称と設立期日を記載した申請書を電子方式で提出することにより、この制度の適用を申請することができる。
出願人が外国の会社である場合、会社の設立期日を記載した証明書類とその中国語訳を提出しなければならない。
4.審査の流れ
(1)   台湾特許庁は、申請を受けてから1ヶ月以内に、「面接資料」を出願人に提供する。前記「面接資料」は、新規性や進歩性に関わる検索報告の他、特許を受けることができない理由を含むこともある。
(2)   台湾特許庁は、出願人が前記「面接資料」を受領した1ヶ月以内に、さらに「積極型面接」を行う。「積極型面接」において、審査官は、特許を受けることができない理由を通知するだけではなく、特許の取得を促進するために、積極的に補正のアドバイスを出願人に提供する。
(3)   「積極型面接」が行われてから1ヶ月以内に、出願人は意見書又は補正書を提出することができる。出願人がこの期間内に意見書又は補正書を提出しなければ、審査は続行されるが、一般的な審査手続きによって行われる。
したがって、「スタートアップ企業に対する積極型特許審査制度」の利用により、スタートアップ企業は、3ヶ月ほどで、一回の面接を行うことにより、特許権を取得することが可能となる。また、審査が格段に早いため、面接において出願人にとって不利な判断が示された場合、出願人は出願を取り下げることにより、出願の公開を避けてその技術内容を営業秘密として保護することも可能である。
二、台湾特許庁が実施している他の審査促進制度
前記「スタートアップ企業に対する積極型特許審査制度」の他、台湾特許庁は様々な審査促進制度を実施している。全ての制度を総合的に運用する必要性に鑑みて、以下に台湾特許庁が実施している全ての審査促進制度について簡単にまとめる。
1.加速審査制度(AEP)
特許出願が以下の申請要件14のいずれかを満たす場合、加速審査を申請することができる。
(1)   対応外国出願が外国特許庁の審査を経てすでに許可された。
(2)   対応外国出願に対し米国、日本、欧州特許庁から拒絶理由通知書及び調査報告が発せられたが、まだ査定されていない。
(3)   業としてその実施が必要である。
(4)   グリーン・エネルギー技術関連の発明に関わる。
申請要件(4)については、特許出願の発明内容が以下の条件のいずれかに合致すれば、グリーン・エネルギー技術関連の発明として加速審査を申請することができる。
(1)   省エネ技術、新エネルギー、新エネルギー車両などの技術分野に関わるもの
(2)     減炭技術および省エネ資源の使用に関わる発明
2.優先審査制度
出願の公開後、特許出願人でない者が業として発明を実施している場合、台湾特許法第40条により、台湾特許庁に対し優先審査を申請することができる。
3.日台特許審査ハイウエイ(Patent Prosecution Highway, PPH)制度
以下の要件にすべて合致するものであれば、日台PPHを申請することができる。
(1)   優先権主張の基礎出願が、日本対応出願又は指定国が日本を含むPCT出願である。
(2)   当該優先権主張の基礎出願は、日本特許庁によって特許可能と判断された請求項を少なくとも1項又は複数を含む。
(3)   台湾出願の全ての請求項が、日本特許庁によって特許可能と判断された請求項と十分に対応する(対応していない場合は、台日PPHを請求する際に、クレームを補正することができる。)
なお、PPHの申請は、台湾特許庁から初審査の「実体審査開始通知書」をすでに受領し、かつ、審査意見通知書を受領していないものに限り可能である。
4.連合面接制度
2013510日より改正施行された「関連特許出願における連合面接プログラム」により、出願人は、初審査段階における特許出願に対して連合面接を申請し、審査官が面接を通してグループ式の集中審査を行うことによって、出願の技術内容を迅速に理解し、特許出願の審査効率を高め、早期の権利化を図ることが可能である。
連合面接に関する実務上の注意事項を以下にまとめる。
(1)   申請要件
連合面接を申請できる関連特許出願は、次の要件全てに合致しなければならない。
l   同一出願人が提出した特許出願
l   技術的に関連する特許出願
l   実体審査請求済みであり、既に出願公開されている特許出願
l   国内優先権主張の基礎出願ではない特許出願
l   特許庁からの審査意見通知書を受けていない特許出願
(2)   費用
台湾現行の「特許手数料規則」により、面接の申請にかかる特許庁手数料は、毎回一件につき、1000台湾元であるが、「連合面接」に関しては、行う目的が一度の面接会議にて関連技術内容について解説・討論し、多数の出願の技術内容、及び請求項の範囲を審査官に有効に理解させることにあるので、出願人の申請の促進及び料金負担の軽減のために、手数料は無料となっている。
(3)   関連特許出願の件数
連合面接一度につき請求できる関連特許出願の件数については、原則的に、2件以上、10件を超えないことを原則とする。
10件以上の申請をする場合、基本的には、二つ以上のグループに分けて、グループ毎に連合面接の申請を別々に提出しなければならない。
(4)   連合面接の流れ
l   連合面接の申請
出願人は、連合面接の申請書、関連特許出願の案件リスト、関連特許出願の関連技術の説明表の書類を添付して連合面接を申請しなければならない。また、関連特許出願に関する先行技術の調査内容、文献資料(コピー)、外国対応出願の審査資料及び審査官が審査する際に有利となる書類などの資料を併せて提出することも可能である。
l   連合面接の時間と場所の通知
特許庁は、書類完備後から1ヶ月以内に出願人に連絡し、連合面接の時間と場所を取り決め、前記スケジュールを書面にて出願人に通知する。
l   連合面接の実施方式
連合面接を行う際には、原則として、主に出願人が関連特許出願の技術内容及び特許を受けるべき理由を説明し、事前に実物、書面資料、又は他のプレゼン資料を準備しなければならない。また、特許を受けるべき理由を説明する際に、外国対応出願の審査資料及び審査官が審査する際に有利となる書類などの資料を示し、できる限り先行技術との差異、又は関連特許出願の対応方針(例えば、クレームの補正方針)を審査官に説明することも有益である。
また、連合面接にかかる時間は、関連特許出願の件数、及び技術内容によって異なるが関連特許出願の件数が10件以下の場合、平均面接時間は、おおよそ23時間(34/1時間)となる。
l   審査結果の通知
原則として、連合面接後から3ヶ月以内、又は、出願人が連合面接における指示に従って指定期限内に応答書又は補正書を提出してから3ヶ月以内に、審査意見通知書又は査定書が発行される。
l   注意点
連合面接一度につき請求した件数が多すぎる場合、以下の状況起こる可能性がある。
l   面接の回数が多くなる、又は時間が長くなる。
l   審査意見通知書の発行時期が集中するため、出願人は同時に大量の審査意見を処理しなければならない。
上記の状況を回避するためには、出願人が関連特許出願をグループ分けする際に、特許管理にかかるマンパワー及び効率を考量して、広い範囲の関連特許出願をより適切な規模のグループに分け、関連特許出願における連合面接制度を有効に活用することが重要である。
5.対応外国出願の審査結果に関する書類の自発的提出
出願人が台湾出願の対応外国出願(米国、日本、欧州、PCTなど)の調査レポート又は審査意見書/審査結果を自発的に提出した場合、台湾出願の審査においてこれが参考とされ、結果的に審査が促進される可能性がある。
 
以上のようにご説明いたしましたが、ご質問、お気づきの点、ご要望などがございましたら、お気軽に当所の林宗宏弁理士(chlin@leeandli.com)までお問い合わせください。
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