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お知らせ:台湾意匠審査基準の一部改訂について



お知らせ:台湾意匠審査基準の一部改訂について
台湾知的財産局では、既に世の中で広く用いられている新技術に対応するとともに、意匠制度をより活用しやすい方向へと改善するため、意匠審査の関連規定について検討が行われてきました。その結果として、意匠審査基準の一部内容の改訂が、2020929日に公布され、来る2020111日をもって施行される予定となっています。(原文へのリンクは、こちら)。この改訂内容には、画像意匠の保護対象の拡充や意匠分割規制の緩和等、意匠出願戦略にも影響をもたらす重要な革新が含まれているため、施行前にこの改訂の要点に焦点を当ててご紹介します。
一、画像意匠の保護対象を拡充
現行の審査基準では、画像意匠は、ディスプレイパネルその他の表示装置関連の物品に表示されるものであることが要件とされています。しかし、このような限定があれば、投影された画像やVRによる画像など、物品から離れた画像の権利が保護されません。また、多くの場合、画像意匠権の被疑侵害者は、例えばスマートフォン向けアプリ等コンピュータープログラム製品を提供する者であり、表示装置メーカーとは関係がないため、「コンピュータープログラム製品」を画像意匠の適用可能な物品としなければ、有効な権利行使が困難です。
この現状を解決すべく、改訂後の審査基準では、画像意匠が適用される「物品」の対象を拡充し、表示装置に表示されることを必要条件とせず、「コンピュータープログラム製品」にも適用できるよう改訂されました。
施行後は、より広範な物品の種類をカバーできるよう、従来どおり電子機器の種類を限定しないような「表示装置の画像(又はGUI)」を意匠名称とすることができるほか、「コンピュータープログラム製品の画像(又はGUI)」のような意匠名称とすることも可能となり、これにより権利行使の対象を適正化し、より的確かつ広い保護範囲を得ることができるようになります。
また、画像意匠の図面は、現行の審査基準では、表示装置における位置、大きさ、又は分布関係を限定しないときは、図1のように、部分意匠として破線で画像意匠を囲むこととされています。改訂後の審査基準では、表示装置に表示されることを必要としないため、図2のように、画像意匠を直接示した図面でよいこととなります。一方、画像意匠のうちの分離した一部のみについて意匠登録を受けようとする場合には、図3のように、当該一部を破線で囲んで部分意匠とすることも可能です。
ちなみに、現行・改訂後とも、画像が物品にあらかじめ組み込まれている必要はなく、通信を介して一時的にクラウド上から提供されるものも画像意匠の保護対象に該当します。
二、一意匠からの分割出願の規制を緩和
現行の審査基準では、意匠図面に開示されている意匠の一部の実線を点線に、または一部の点線を実線に補正することで、「意匠登録を受けようとする部分」を変更することが認められています。一方、一意匠から「意匠登録を受けようとする部分」の異なるものを分割出願することはできません。
台湾知的財産局は、この規定の適否を検討した結果、分割出願の可否も、補正及び出願変更と一致して「もとの意匠登録出願の明細書又は図面の開示範囲を超えているか」という基準で判断すべきであるとの結論に達し、審査基準を改訂しました。改訂後の審査基準では、一意匠から「意匠登録を受けようとする部分」の異なる意匠についての分割出願が認められました。その一例として、図4に示される分割出願が挙げられています。
三、建築物や内装を意匠の保護対象とできることを明記
2013年改訂の意匠審査基準では、意匠は固定形態の動産でなければならないという従来の規定が削除されたことにより、建築物や内装等も意匠登録できるようになりました。そのことをより明らかにするように、改訂後の審査基準では、「建築物や、橋梁、内装なども意匠登録の対象とする」ことが明確に規定されました。また、内装の意匠図面の開示方法に関して、図5のキッチンの内装の意匠の例が追加されました。
四、明細書及び図面の開示要件を緩和
現行の審査基準では、各図面間に同一、対称その他の事由(原則的には、「一般的な消費者が購入時又は使用時に注意を払わない」という事由に限られる)がある場合、その図面を省略して、省略した理由を意匠の説明に明記することができると規定されています。
それに対し、改訂後の審査基準では、実務上意見の食い違うことがあった「一般的な消費者が購入時又は使用時に注意を払わない」という事由が削除されるとともに、一部の図面が省略され意匠の一部が開示されていない場合、原則的に当該部分は「意匠登録を受けようとしない部分」とみなされ、省略の理由は意匠の説明に明記する必要はないとの規定が導入されました。
ただし、同一若しくは対称、又は省略された図面の内容が直接知り得るもの(例えば、極めて薄いものの厚さを示す図面)であるため図面を省略する場合は、省略された図面が「意匠登録を受けようとしない部分」ではないため、その理由を意匠の説明に明記しなければなりません。
なお、図面の開示要件は緩和されますが、提出した図面が「意匠登録を受けようとする部分」を充分に開示していなかったり、意匠の範囲を明確に特定できないものであったりする場合、実施可能要件を満たさないと判断される可能性があることに留意が必要です。
五、その他
1、現行の審査基準では、色彩を限定しない意匠出願の図面は、線図、グレースケールのコンピュータ・グラフィックス、又はモノクロ写真で表さなければなりません。改訂後の審査基準では、グレースケールのコンピュータ・グラフィックス又はモノクロ写真により表される場合、意匠の範囲をより明確にするために、「図面に示される白黒(グレースケール)の色彩は主張しない」とのような説明を記載してもよいと解説されています。
2、「技術的機能のみに基づいて表された物品の意匠」(物品の機能を確保するために不可欠な形状)の定義を明確にするよう、改訂後の審査基準には、「意匠に係る物品の形状が完全に技術的機能により決まり、視覚的外観を創作する余地が全くないものは、技術的機能のみに基づいて表された物品の意匠に該当する」という記載が盛り込まれました。
 
 
ご質問、お気づきの点、ご要望等ございましたら、弊所弁理士の郭家佑(kjy@leeandli.com)又は弁理士の李儀珊(yis@leeandli.com)までお気軽にお問い合わせください。
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