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お知らせ:台湾の特許出願に対する情報提供制度の改正について
お知らせ:台湾の特許出願に対する情報提供制度の改正について
台湾の経済部智慧財産局(日本の特許庁に相当)は、専利法施行細則第39条に規定の特許出願に対する情報提供制度を改善するために、数回の公聴会を経て、「特許出願に対する第三者意見に関する作業要点」(以下「本要点」と略称)を公布し、2020年9月1日から実施する。(中国語原文へのリンクは、こちら)
本要点の主な改正項目、並びに全体の概略を以下にまとめる。
主な改正項目
1. 特許査定又は拒絶査定前であれば、未公開の案件に対しても、情報提供が可能となった。この改定は、主に特許と実用新案の併合出願(同一の発明について特許と実用新案を同日出願すること)を考慮したものである。
2. 情報提供に必要な書類として、「意見書(対象案件番号、情報提供者の身分、添付文書のリストを含む)」、「引用文献の書誌情報リスト」、「理由書」、及び「関連する証拠書類」と明確に規定した。
3. 「意見書(情報提供者の身分に関する資料を含む)」、「理由書」、及び「関連する証拠書類」を秘匿することは依然として可能であるが、「引用文献の書誌情報リスト」のみ秘匿することができず、必ず公開されるようになった。
4. オンラインで情報を提供できるようになった。
全体の概略
1. 目的(第1点)
専利法施行細則第39条の規定の趣旨実現のため、特許出願の査定前において特許出願人以外の何人(以下「第三者」と略称)も、当該発明に特許を付与すべきでないと認めるとき、本局に意見を陳述する(以下「第三者意見」と略称)ことの拠り所として、特に本要点を制定する。
2. 情報提供の期間(第2点)
第三者意見の提出は、特許出願の査定前にこれを行わなければならない。
3. 情報提供の理由(第3点)
第三者は、特許出願に、専利法第46条に規定されている特許を付与しない事由違反があるとして、本局に第三者意見を提出することができる。
4. 必要書類(第4点)
第三者が意見を提出する際、特許出願に対する第三者意見を所定の書類に記入し、当該特許出願番号を明記し、並びに引用文献の書誌情報リスト、理由書及び関連する証拠書類を添付しなければならない。
5. 電子提出が可能(第5点)
第三者は書面又は本局の電子出願システムにより意見を提出しなければならない。
6. 特許と実用新案の併合出願の特例(第6点)
実用新案の併願が伴う特許出願に対して意見を提出する場合、第4点に規定された明記すべき特許出願番号については、公告済みの対応する実用新案登録出願の出願番号を明記することができる。
7. 情報提供不受理の理由(第7点)
第三者意見を参酌した結果、その意見が具体的かつ明確なものでなく、その内容、理由又は証明書類を明らかに識別することができない、又は出願と関係のないものと認めた場合、本局では処理しなくてもよい。第三者意見が規定に従って提出されなかった、又は特許出願が取り下げられた、受理されなかった、若しくは査定された場合も同様である。
8. 出願人に対する通知(第8点)
特許出願が実体審査段階に入った後、本局は出願人に対し、第三者から意見が提出された旨を通知しなければならない。
9. 情報提供者に通知しない(第9点)
第三者意見が提出された後、本局は、その意見の処理状況及び特許出願の審査結果を第三者に通知する必要はない。
10. 引用文献の公開(第10点)
第三者意見により提供された引用文献の書誌情報リストは、特許出願が早期公開又は査定公告された後に、本局の特許公開情報照会システムにて公開される。
ご参考までに、「特許出願に対する第三者意見に関する作業要点」(2020年9月1日施行)の日本語訳を添付いたします。
ご不明な点などがございましたら、弊所弁理士の林宗宏(chlin@leeandli.com)までお問い合わせください。
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