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お知らせ:専利法のグレースピリオドに関する改正
お知らせ:グレースピリオドに関する専利法改正
専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)におけるグレースピリオド(新規性喪失の例外規定の適用期間)に関する規定の改正は、2016年12月30日に立法院(日本の国会に相当)の第三読会で可決され、総統により2017年1月18日に公布された後、行政院(日本の内閣に相当)が2017年5月1日からの施行を決定しました。
今回の改正で、グレースピリオドに係る要件が緩和されたことにより、出願前に公開された発明に対する専利法の保護範囲が拡大されます。今回の改正ポイントは、主に以下のとおりです。
一、 グレースピリオドの延長
出願前に公開された特許発明又は実用新案の考案について、出願準備のために十分な時間を与えるため、グレースピリオドが6ヶ月から12ヶ月に延長されました。
当該改正により、現行法下であれば適用されない2016年5月1日から2016年10月31日までに公開された特許発明又は実用新案の考案に対しても、改正法が施行される2017年5月1日以降、グレースピリオドが適用されるようになり、新規性喪失の例外規定の適用を主張できるようになりました。
なお、意匠登録出願のグレースピリオドは現行の6ヶ月のままです。
二、 新規性喪失の例外規定の適用事由の緩和
改正法では、現行法においてグレースピリオドの適用事由とされていた「実験で公開された」「刊行物に発表された」「政府が主催する展覧会又は政府の認可を受けた展覧会で展示された」「出願人の意図に反して漏洩した」との四つの制限が緩和され、「その公開が出願人の行為に起因するもの」であっても「出願人の意に反して公開されたもの」であっても、グレースピリオドが適用され、保護の範囲が大幅に拡大されました。
また、公開(特許)公報での掲載に対しては適用されないことが明文規定されていますが、公報に誤って掲載された、又は出願人の意に反して他人により掲載された場合は、当該公報を従来技術として引用することはできません。
三、 グレースピリオドを主張する場合は、出願と同時に行わなければならないとする規定の削除
出願人がグレースピリオドの適用を主張しようとする場合、現行の専利法では、出願時に公開の事実及びその事実が生じた年月日を願書に明記し、かつ、特許庁が定めた期間内に当該事実を証明する書類を提出しなければならないと規定されていますが、改正法では、グレースピリオドの適用の主張をしなかったことにより不利益を受けることのないよう、「出願と同時にグレースピリオドの適用を主張しなければならない」とする規定が削除されました。
弊所では、台湾出願の優先権の期限日が2017年5月1日以降の場合、要件が緩和された改正グレースピリオド規定の適用を受けられるよう、出願を2017年5月1日以降に行うことをお勧めいたします。
弊所にて、今回の改正に係る条文の新旧対照表及び改正後の専利法の日本語訳を作成いたしましたので、添付いたします。ご参考としていただければ幸いに存じます。
ご質問などがございましたら、弊所弁理士の歐姿漣(tlo@leeandli.com)までお問い合わせください。