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智慧財産局の商標登録又は専利権の取消しに関する確定判決に基づき下した新たな処分に対し、行政訴訟を提起してはならない



台湾知的財産裁判所が商標登録を取り消す判決を下した後、商標権者はこれを不服として上告したが、最高行政裁判所は同上告を棄却したことにより、上記判決が確定した。よって、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当)は知財裁判所の判決に基づき商標登録を取り消す新たな処分を下した。この新たな処分に対して、商標権者が訴願、更には行政訴訟を提起することができるか否かについての実務の見解は多岐に分かれている。知財裁判所105年(西暦2016年)度行商訴字第32号行政裁定では、2009415付の98年(西暦2009年)度高等行政裁判所法律座談会における多数決による見解を引用し、このような場合には、行政訴訟を提起してはならないとして、商標権者の訴えを却下する旨の裁定を下した。

 

2009415付の98年(西暦2009年)度高等行政裁判所法律座談会における提案4について、以下のような議論が交わされた。「乙は甲の係争専利(特許、実用新案、意匠を含む)に対して無効審判を請求し、無効理由は当該専利の進歩性が欠如しており、専利要件を満たしていないことであり、その証拠は従来技術Aである。経済部智慧財産局の審査を経て、証拠Aは、係争専利の請求項が進歩性を具えないことを証明するに足りないとして、無効審判請求が成り立たない旨の審決が下された。無効審判請求人乙はこれを不服として訴願を提起したものの、決定により棄却されたため、以下のような内容の判決を求める行政訴訟を提起した。1、訴願決定及び原処分を共に破棄する。2、被告(智慧財産局)は、○○専利無効審判請求事件について専利権を取り消す旨の審決を下すべきである。知財裁判所が裁定をもって甲を訴訟に参加させ審理した結果、証拠Aは、係争専利の請求項が進歩性を具えないことを証明するに足るとして、原告(無効審判請求人乙)による上述の請求の趣旨記載のとおり、全部勝訴の判決を下した。この判決に対して被告及び甲はいずれも不服なしで、判決が確定した。智慧財産局は、判決の趣旨に従い、改めて専利権を取り消す審決を下した場合、甲はまた当該審決を不服として訴願を提起したが、決定により棄却された。甲はなおも不服として、知財裁判所に訴願決定及び原処分を共に破棄するよう求める行政訴訟を提起した。新たな事実又は法律関係の変動が発生しない状況下で、知財裁判所は当該専利権の無効審決において、証拠Aは係争専利の請求項が進歩性を具えないことを証明するに足るものであることに対して実質的に審理しなければならないのか。」決議を経て採った多数説は、「本件において、甲が提起した訴訟類型は取消訴訟であり、乙がその専利無効審判の請求権に基づいて提起した訴訟類型は義務付け訴訟であるものの、乙が無効審判の請求権に基づいて提起した義務付け訴訟の訴訟物は甲の専利権の存否に係る法律関係である一方、甲による取消訴訟の訴訟物も甲の専利権の存否に係る法律関係であり、両訴の訴訟物はいずれも甲の専利権の存否に係る法律関係であるため、前後両訴の訴訟物は同一である。よって、前訴において、乙がその専利無効審判の請求権に基づいて提起した義務付け訴訟に対して、すでに甲に訴訟に参加するよう命じたため、行政訴訟法第47条の規定により、前訴判決は甲に対してもその効力を有し、甲は訴訟物が同一であり、確定判決の効力が及ぶ後訴に対して改めて行政訴訟を提起してはならない。よって、行政訴訟法第107条第1項第9号によって裁定をもって訴えを却下すべきである」との考えである。

 

知財裁判所は別途以下のような点を具体的に指摘した。行政訴訟法第107条第1項第9号において「原告の訴えは、次の各号のいずれかに該当する場合、行政裁判所は裁定をもって却下しなければならない。ただし、それが補正可能である場合には、審判長は、期間を指定して先ず補正を命じなければならない。......9、訴訟物は確定判決又は和解の効力が及ぶものである。......」と規定している。その「訴訟物は確定判決の効力が及ぶもの」とは、同一訴訟物について、裁判所がすでに実体審理を行って判決を下したことで、既判力が生じたときは、一事不再理の原則に基づき、同一訴訟物に対して、改めて裁判所に判断を求めることができないことを指す。「訴訟物の同一」とは、同じ当事者が、同一の法律関係に対して同じ請求をすることを指す。

 

本件原告が提起した訴訟類型は取消訴訟であり、参加人がその商標の異議申立権に基づいて提起した訴訟類型は義務付け訴訟であるものの、参加人が提起した義務付け訴訟の訴訟物は原告の係争商標権の存否に係る法律関係である一方、原告が提起した本件取消訴訟の訴訟物も係争商標権の存否に係る法律関係であり、両訴の訴訟物はいずれも係争商標の存否に係る法律関係であるため、前後両訴の訴訟物は同一である。よって、前訴において、参加人がその商標の異議申立権に基づいて提起した義務付け訴訟に対して、すでに原告に訴訟に参加するよう命じたため、行政訴訟法第47条の規定により、前訴判決は原告に対してもその効力を有し、原告は訴訟物が同一であり、確定判決の効力が及ぶ後訴に対して、新たな事実又は法律関係の変動が発生しない状況下で、改めて行政訴訟を提起してはならない。よって、行政訴訟法第107条第1項第9号によって裁定をもって本件訴えを却下すべきである。

 

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