ニューズレター
お知らせ:台湾特許出願の加速審査制度(AEP)の改正及び審査促進方法の紹介について
お知らせ:台湾特許出願の加速審査制度(AEP)の改正及び審査促進方法の紹介について
台湾特許庁は、台湾のグリーン・エネルギー産業の発展を促進し、グリーン関連特許の優位性向上を図るために、加速審査の申請要件を拡大することを決めました。要約しますと、加速審査は、下記の現在の申請要件1~3に加えて、『グリーン・エネルギー技術関連の発明』を申請要件(以下、申請要件4)に追加し、2014年1月1日より実施する予定となっています。また、出願が以下の申請要件1~4のいずれかを満たした場合、加速審査を申請することができます。
1. 対応外国出願が外国特許庁の審査を経てすでに許可されたもの。
2. 対応外国出願に対し米国、日本、欧州特許庁から拒絶理由通知書及び調査報告が発せられたが、まだ査定されていないもの。
3. 業としてその実施が必要であるもの。
4. グリーン・エネルギー技術関連の発明。
申請要件4については、特許出願の発明内容が以下の条件のいずれかに合致すれば、グリーン・エネルギー技術関連の発明として加速審査を申請することができます。
(1) 省エネ技術、新エネルギー、新エネルギー車両などの技術分野に関わるもの
(2) 減炭技術および省エネ資源の使用に関わる発明
具体的に、例えば、太陽エネルギー、風力エネルギー、バイオマスエネルギー、水エネルギー、地熱エネルギー、海洋エネルギー、水素エネルギー及び燃料電池、二酸化炭素の封印、廃棄物エネルギー、LED照明、グリーン・エネルギーの車などの技術は、いずれもグリーン・エネルギー技術に属しますが、グリーン・エネルギー技術はそれらに限られません。
出願人が、申請要件4により加速審査を申請する場合、その申請手続きと申請費用4,000台湾ドルは、現行の加速審査制度における「業としての実施」の申請要件と同様であり、出願人がそのほかに「特許出願の発明がグリーン・エネルギー技術関連である説明書類」のみを提出すればよいです。加速審査を申請しない場合に、最初の審査結果通知が約29カ月かかるのと比較すると、グリーン・エネルギー技術で加速審査を申請した案件では、提出した関連文書が揃えば、特許庁は約9カ月以内に審査結果通知を出すことができるようになります。
以上、台湾加速審査制度(AEP)の改正を簡単に紹介させていただきましたが、台湾には、加速審査(AEP)以外の審査促進の方法もありますので、以下に簡単に紹介させていただきます。
一、 優先審査の申請
本願の公開後、特許出願人でない者が業として本発明を実施している場合、台湾特許法第40条により、台湾特許庁に対し本願の優先審査を申請できます。
二、 台日PPHの申請
以下の要件にすべて合致するものであれば、台日PPHを申請することができます。
1. 優先権主張の基礎出願は、日本対応出願又は指定国が日本であるPCT出願である。
2. 当該優先権主張の基礎出願は、日本特許庁によって特許可能と判断された請求項を少なくとも1項又は複数含む。
3. 台湾出願の全ての請求項が、日本特許庁によって特許可能と判断された請求項と充分に対応する(対応していない場合は、台日PPHを請求する際に、クレームを補正することができます。)
また、PPHの申請は、台湾特許庁から初審査の「実体審査開始通知書」を受領し、かつ、審査意見通知書を受領していないものに限り可能です。
三、 対応外国出願の審査結果に関する書類の自発的提出
出願人が台湾出願の対応外国出願(米国、日本、欧州、PCTなど)の調査レポート又は審査意見書/審査結果を自発的に提出した場合、台湾出願の審査においてこれが参考とされ、結果的に審査が促進される可能性があります。
四、 速やかな審査を求める旨の書面の提出
前述方法一~三において提出できる関連書類がない場合、当所から台湾特許庁に対し、早急に審査するよう求める申請を書面にて提出することができます。
なお、前述方法三~四は、特許庁が正式に発表した制度ではないので、提出した書類が参考にされるか否かは、あくまでも審査官次第ですので、この点につき、ご了承ください。
以上のようにご説明いたしましたが、ご質問、お気づきの点、ご要望などがございましたら、お気軽に当所の陳俞錆弁理士(cherrychen@leeandli.com)又は林宗宏弁理士(chlin@leeandli.com)までお問い合わせください。
本年中は、ひとかたならぬお引き立てを賜わり、誠にありがとうございました。明年もかわらぬご厚誼のほどよろしくお願い申し上げます。