ニューズレター
台湾における特許要件の審査基準について
先般、進歩性(非自明性)の判断につき、特許関係者の間で高い関心を集めた米国KSR事件の米連邦最高裁判決(KSR v. Teleflex, Inc, Case No. 04-1350)を受け、米国特許商標局は2007年10月10日に進歩性の判断に関する新たな審査ガイドライン(MPEP)を公表しました。米国においては今後、かかる審査ガイドラインに基づき、進歩性認定の判断がより厳格化になることが予想されます。
一方、台湾においては、2007年7月30日に台湾知的財産局(日本特許庁相当)がKSR事件に関するプレスリリースを発表し、その中で、「台湾における進歩性の判断手法については、現行特許法とともに2004年7月1日から施行された特許要件の審査基準に、既にKSR事件の米連邦最高裁判決に近い審査基準が明確に規定されている」とした上で、さらに具体的に、当該審査基準第3.3節「進歩性の審査原則」及び第3.4節「進歩性の判断基準」に記載されていると述べています。
また、同プレスリリースは、例えば米国でのTSMテスト(教示、示唆、動機付け)以外の判断手法につき、台湾の当該審査基準には「関連従来技術に開示される内容とは、…形式上明確に記載されている内容、及び形式上は記載されていないものの実質的に示唆されている内容が含まれる。」との原則、及びKSR事件で重視された「通常知識(common sense)」についても、「通常知識とは、当該発明の属する技術分野において既に知られた普通知識を指しており、周知の情報又は通常使用されている情報及び教科書又は参考図書に記載されている情報、又は経験則で理解する事項を含む。」等の原則も明確に記載されていると述べています。
今般、当所はクライアントの皆様に、台湾審査基準における進歩性の判断手法について、より深くご理解いただければと考え、台湾「特許要件の審査基準」の日本語訳をお送りすることにいたしました。進歩性の判断手法のみならず、他の特許要件についても、ご参考としていただければ幸甚に存じます。
ご質問、お気づきの点、ご要望などございましたら、お気軽に林(chlin@leeandli.com)までお問い合わせください。
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