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専利査定の公告前に侵害品を小売店で販売するため引き渡す場合、侵害について故意又は過失があるか



 最高裁判所は、最近、113年(西暦2024年)度台上字第620号判決(判決日:2024117日)において、事実審に対し、上記争点についてその取捨判断を論じるよう求めた。

 

 本件は、専利権者(すなわち一審原告)(専利:特許、実用新案、意匠を含む)が、皮革製品会社Aが製造し、アパレル小売業者B A及びBは一審の共同被告)が販売した皮革ベルト(以下「係争製品」という)が、その所有する皮革ベルト構造に関する考案の実用新案権(以下「係争実用新案権」という)を侵害していると主張し、皮革製品会社A及び小売業者Bに対して、連帯して損害賠償を請求した事案である。本件の審理過程で、知的財産及び商業裁判所(以下「IPCC」という)は、一審判決において、係争製品は係争実用新案権の技術的範囲に属さず、係争実用新案権を侵害していないと判断した一方で、二審判決は、一審判決を覆し、係争製品が係争実用新案権を侵害していることを認め、皮革製品会社A 及び小売業者Bが連帯してその損害を賠償する責任を負うとした。

 

皮革製品会社A は、一審において、係争製品が販売のため小売業者Bに引き渡された時点では、係争実用新案権はまだ登録査定・公告されておらず、係争製品に権利侵害のおそれがあることを知る由もなかったため、係争実用新案権侵害に故意又は過失がない旨の抗弁を主張した。また、二審において、小売業者Bは、単なる小売業者にすぎず、加工製造能力がなく、係争製品が実用新案権を侵害するか否かを判断するためには、工具を用いて分解する必要があり、また実用新案権者から警告書を受け取った後、販売を中止し、皮革製品会社Aに問い合わせたため、係争実用新案権侵害に主観上故意又は過失がないと主張した。最高裁は、上記113年(西暦2024年)度台上字第620号判決において、専利権者がその専利権侵害に対して損害賠償を請求するには、行為者の主観的な故意又は過失が必要であると強調した。故意とは、行為者が専利権侵害を構成する事実を認識し、かつその発生を意図しているか、又はその発生を予見し、かつその発生がその本意に反しない(認容する)ことを指す。過失とは、注意すべきであって、かつ注意できるにもかかわらず、注意を怠ったことを指し、行為者が善良なる管理者の注意義務(以下「善管注意義務」という)を怠ったか否かによって判断される。また、善管注意義務を怠ったとは、取引上の社会通念に照らして、相当の知識、経験及び誠意のある者が尽くすべき注意義務を怠ったことを指す。行為者が善管注意義務を尽くしたか否かは、行為者の知識、職業、業務内容、侵害行為の態様、被害の重大性、被害法益の大小軽重、被害を防止・回避するための費用などによって異なり、それぞれの事案や特性に応じて個別に判断されるべきである。これにより、最高裁は、皮革製品会社Aと小売業者Bの上記主張は、両者の重要な防御方法であるにもかかわらず、原審はこれを無視して不利な判断を下し、原判決には理由不備の違反があるとして、これを破棄し差し戻した。

 

また、本件において、皮革製品会社Aは、係争製品の製造日は係争実用新案登録出願日より若干遅かったが、その製造準備に23ヶ月を要することから、少なくとも出願日前に製造に必要な準備が完了していたことは明らかであるとして、「先使用権」を抗弁として、係争実用新案権の効力はその行為には及ばない旨主張した。しかし、二審裁判所は、皮革製品会社Aが係争実用新案登録出願日前に台湾において実施していたことを立証できなかったとして、この抗弁を退けた。

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