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2021年専利審査基準の一部改訂


Jason Chuang/ 游舒涵

智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は、審査実務のニーズへの即時対応及び審査の質の向上のため、2021年に「専利審査基準」第二篇特許の審査第1章~第6章、第10章、第11章、第13章、第14章、第三篇意匠の審査第1章、第5章、第四篇実用新案の審査第3章、第五篇無効審判の審理第1章の一部改訂を予告し、2021714日に施行された。今回大きく改訂された部分は以下のとおりである。 

一、第二篇第1章「明細書、専利請求の範囲、要約及び図面」 

改訂により、審査基準に請求項の記載形式に関する審査の注意事項3点を新設した。 

1、独立項は専利請求の対象を明記すべきで、あまりに簡略化し過ぎてはならない(「~である物品」、「~である装置」又は「~である方法」などの用語を記載するのみでは、請求の対象を明記したことにはならない)。 

2、独立項を二段式(two-part form)で記載する際には、「~を特徴とする」、「~を改良する」又はその他の類似する用語で明記すべきであるが、従属項は「~を特徴とする」、「~を改良する」などの記載形式を用いる必要はない。 

3、請求項の技術的特徴は図面中の対応する符号を引用し、当該符号が対応する技術的特徴の後ろに付し、括弧内に入れる場合、請求項が不明確とならない。 

二、第二篇第2章「いわゆる発明とは」 

改訂により、審査基準では、数学的方法自体は発明の定義を満たしていないが、当該数学的方法をコンピューターネットワークの負荷分散(ロードバランシング)の最適化に利用する発明は、それが数学的方法を含むからというだけで発明の定義を満たしていないと認定してはならないと明文化されている。 

このほかに、改訂後の基準には、専利法第24条で除外された人間又は動物の診断方法は、データの取得から診断に至るまでの全てのステップを含むことが明文化された。 

三、第二篇第5章「優先権」:グレースピリオド及びそれが適用される公開態様を緩和 

専利法及び専利法施行細則は2017年の改正で、特許及び実用新案のグレースピリオド(新規性喪失の例外期間)を「出願日前6ヶ月以内」から「出願日前12ヶ月」に延長した。このほかに、グレースピリオドが適用される公開態様も緩和され、それに係る公開方法について何ら制限せず、かつ、出願人の意に反して公開されたものか否かを問わず、いずれも適用される(ただし、特許出願により台湾又は外国の公報で公開されたものは除外)。 

審査基準第二篇第3章「特許要件」は、2017年の改訂時にすでに上述した改正条文を反映したものである。今回は第二篇第5章を併せて改訂し、グレースピリオドの延長及び公開態様に係る規制緩和を明文化した。 

四、第二篇第6章「補正」:「除くクレーム(disclaimer)」とする補正又は訂正の適用態様を限縮 

台湾の専利審査実務において、「除くクレーム」とする補正又は訂正に対する審査は従来、比較的寛容であった。出願人又は専利権者が「除くクレーム」とする補正又は訂正を濫用することのないよう、智慧局は今回の改訂で、それを適用できる態様を以下のように明文化した。 

1、新規性を否定するための引用文献を排除するため。 

2、拡大先願とした引用文献を排除するため。 

3、先願主義違反となる引用文献を排除するため。ただし、「同日出願」の引用文献には当該除くクレームとする補正は適用されない。 

五、第二篇第6章「補正」:請求項における数値限定の変更について、請求項における数値範囲の上限、下限の境界値を変更する場合、同時に以下の2つの条件を満たさなければならないことを明文化 

1、変更後の数値範囲の境界値が出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示されている。 

2、変更後の数値範囲が出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示されている数値範囲内に含まれる。今回の改訂で明確になるよう、2つの事例を新設した。 

六、第二篇第10章「出願の分割と変更」 

改訂により、審査基準では、原出願(親出願)で同一人が同一創作について同日にそれぞれ特許及び実用新案登録を出願したと申出、その後同一の創作を特許出願から分割し、分割出願(子出願)と実用新案の権利の接続を主張する場合、当該分割出願は原特許出願の申出を援用でき、かつ、一つの特許分割出願のみでの援用に限るが、分割出願時に申出を援用しなければならず、分割出願後に申出援用をしてはならないと明文化されている。 

七、第二篇第13章「医薬関連発明」 

改訂により、審査基準では、選択発明に係る出願対象の先行技術との相違点は、それが先行技術における既知の大きな群れ又は範囲の中から、特定的に開示されていない個別成分、サブセット又はサブレンジを選択した発明であることにあると明文化されている。 

八、第五篇第1章「専利権の無効審判請求」:3.3.2口頭審理(ヒアリング)を新設 

台湾の無効審判制度は従来から書面審理を採用してきた。当事者が無効審判の審理において意見を十分に陳述できるよう、また、当事者による後続の行政救済手続の簡素化を図るため、智慧局は2018330日付けで「専利無効審判請求口頭審理作業方案」の実施を公表したが、その後また201985日及び202128日に2度にわたり同方案の改訂を公表した。審査基準は今回の改訂で口頭審理の節を新設し、口頭審理の実施は「無効審判請求口頭審理作業方案」の規定に従うべきであると明文化した。 

九、第五篇第1章「専利権の無効審判請求」:行政救済段階において初めて新たな理由又は証拠が追加された無効審判請求事件について、その後、原処分が取消され智慧局に差戻し審査をやり直す場合、裁判所の判決主旨及び新理由、新証拠についての処理原則を以下のとおり改訂した。 

1、原処分取消の判決が、専利主務官庁に対して行うべき義務を課されない場合、無効審判事件が未審決の状態に戻り、無効審判請求人が無効審判の審理段階において提出していないが、その後の行政救済段階において初めて追加した新理由又は新証拠について、当事者双方の攻撃防禦が行政訴訟中にすでに十分尽くされているため、審理をやり直すときは、改めて答弁を通知する必要はない。 

2、原処分取消の判決主旨が、専利主務官庁に裁判所の見解に従って審理のやり直しを命じるのみである場合、当該判決の見解に従って審理をやり直さなければならない。当該判決の見解と関りがない事項については、原則的に再度調査する必要はない。ただし、裁判所の判決主旨に基づき関連証拠を明らかにすることが待たれる、又は再度調査が必要な場合、専利主務官庁は必要と認めた時、期限を定めて無効審判請求人に意見を陳述し、専利権者に答弁又は応答を補充するよう通知することはできるが、期限を過ぎても提出しなかった場合、直接審決できる。 

今回の改訂専利審査基準の詳細な内容は、智慧局ウェブサイトで公表された各章の改訂内容などを参考にしてください(https://www.tipo.gov.tw/tw/cp-85-894060-9c1aa-1.html)。

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