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税関による商標権益保護措置に関する実施規則の改正案 商標権者が指定期限内に税関に権利侵害の疑いがある物品の写真ファイルを提供するよう申請した後、権利侵害有無の認定を行うことを税関に通知することを選択できるよう緩和を検討



「税関による商標権益保護措置に関する実施規則」(以下「本規則」という)は、商標権の水際保護措置を着実に実施し、税関が商標権の水際保護措置を実施する際に具体的な規則に従えるようにするため、商標法第78条第2項の規定に基づき定められたものである。 

しかしながら、本規則第7条第2項第1号では「航空便輸入及び船便輸出入貨物の場合、商標権者は24時間以内に税関で権利侵害有無の認定を行わなければならない」と規定されている。当該規定の24時間以内の税関への出頭義務は、これまでの実務において、多くの場合、商標権者にとって大きな負担となっている。例えば、商標権者の多くが海外におり、模倣品の判定は真贋鑑定に関わるものであるため、多くの場合、商標代理人より、国外にいる商標権者に連絡し、代理人に税関に出頭して鑑定を行う権限を与えるかどうかを決定するよう要求する。連絡の過程において、両地の時差問題、各国の祝日などの違いにより24時間では足りないことが常である。また、例えば、商標権者がたとえ台湾にいても、侵害の疑いがある物品が摘発された時間はバラバラで、税関職員が退勤する直前に商標権者が税関職員から通知を受けたこともある。しかしながら、この時、当該規定の24時間は既に起算しているため、商標代理人が国内の商標権者と連絡をとる時間と国内の商標権者が決定する時間がいずれも大幅に制限されることとなる。 

本規則はかつて20161230日に改訂され、第7条第5項に商標権者が24時間以内に出頭するか否かの判断に資するよう、「商標権者は税関から通知を受けた後、権利侵害有無の認定のために税関に出頭するか否かを判断する際の参考となるよう、権利侵害の疑いがある貨物の写真ファイルを提供するよう税関に申請することができる」と特に新設された。しかし、当時の改正では前述した商標権者の24時間以内に出頭するという時間制限の圧力を実際に緩和することはできなかった。 

これに鑑み、台湾財政部関務署(日本の財務省関税局に相当、以下「関務署」という)は最近、本規則第7条第2項第1号の改正案を提出し、現行の「航空便輸入及び船便輸出入貨物の場合、商標権者は24時間以内に税関で権利侵害有無の認定を行わなければならない」との規定に基づき、「又は税関に権利侵害の疑いがある物品の写真ファイルを提供するよう申請した後、権利侵害有無の『認定』を行うことを税関に通知する」ことを追加した。 

今回の改正案の改正理由は主に2つある。1つ目は「現代のテクノロジーの進歩に伴い、写真を撮る方式で鮮明でクリアな画像ファイルを取得し送信することが技術的に実行可能であり、また、実務上、輸出入貨物が商標権者が生産及び販売した商品などでない場合、写真のファイルを通しても権利侵害の有無を明確に判断できる」ことである。2つ目は、「米国、日本、ドイツ、韓国、インド及び中国等の国の税関実務を参考にし、これらの国ではいずれも権利侵害の疑いのある物品の写真を商標権者に提供することができ、かつ、商標権者に税関に出頭して権利侵害有無の認定を行うよう強制的に要求することもない」ことである。 

最新の本規則改正案の説明を見ると、商標権者に自ら出頭して権利侵害有無の認定を行う以外の方法、つまり、現代の精密かつ信頼できる撮影技術により、商標権者の出頭義務を軽減する方法も提供されている。これに対して改正案が肯定されるものと評価すべきである。 

しかし、注意すべき点としては、当該改正案第7条第5項では、「商標権者は第1項の通知を受けた後、『権利侵害有無の認定のために税関に出頭するか否かを判断する際の参考となるよう、権利侵害の疑いがある貨物の写真ファイルを税関に提供するよう申請することができる。『ただし、税関が提供した写真のファイルを、権利侵害有無の認定の根拠としてはならない』。」という現行規定を、「権利侵害有無の認定の判断の参考とするもので、権利侵害有無の認定の根拠としてはならない』。」に修正されたことである。これは、商標権者は税関職員が提供した権利侵害の疑いがある貨物の写真を「参考」に権利侵害の疑いがある貨物が権利侵害であるか否かを認定することができるが、権利侵害の疑いがある貨物が権利を侵害している認定の「根拠」としてはならないため、矛盾しているように見える。改正理由においては、現在のテクノロジーで撮影した写真は、権利侵害の疑いがある貨物の外観を忠実に示すことができ、実際に現場に出頭することと変わりはないことは肯定されているのに、税関職員が提供する写真は権利侵害有無の認定の根拠としてはならないと規定されているからである。 

実際に、裁判実務では、権利侵害有無の認定は証拠能力と証拠力等の証拠調べ手続を経らなければならないが、関務署が今回の改正案で商標権者の24時間以内の出頭問題の緩和を意図し、第7条第2項第1号の改正案を提出したとしても、依然として第7条第5項の「権利侵害の疑いがある貨物の写真のファイルを提供するよう税関に申請し権利侵害有無の認定の根拠としてはならない」という立場を維持することにより、写真によって鑑定を行う時に商標権者にできるだけあらゆる方面からの緻密な鑑定手続きを尽くすよう求めることになるだろう。  

今回の改正案の進捗については、関務署が現在、政府の各関連機関や民間の各関連組織の意見の収集に努めているところで、これらの意見を踏まえた後に現在の改正案を修正するか否かを決め、その後、予告手続に従い正式にこれを公表する予定である。

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