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地理的名称からなる商標も他人のブランドへのフリーライドとなる可能性あり


Cathy C. W. Ting/Sophia Chen

 参加人は、係争登録商標第158031号「約克夏茶York shiretea及び図」(以下「係争商標」という)が第42類の役務への使用を指定したことは、現行商標法第30条第1項第8号、第11号の規定に違反しているとして、係争商標に対し無効審判を請求した。被告たる智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当)は、係争商標の登録を取り消すべき旨の審決を下した。原告はこれを不服とし、経済部訴願委員会に訴願を提起したがそれも棄却された。そして法により、知的財産裁判所に行政訴訟を提起し、知的財産裁判所は108年(西暦2019年)度行商訴字第109号行政判決において以下の見解を示した。

 

一.     係争商標の外国語「York shire」と中国語「約克夏(中国語の発音:yue ke xia)」は、消費者の注意を惹きつける主要な識別特徴であるため、係争商標は消費者に、外国語「York shire」、「tea」の組合せと中国語「約克夏」、「茶」の組合せからなるものと認知させ、かつ、「約克夏」と「茶」は外国語「York shire」と「tea」の中国語翻訳である(その逆も同様)という印象を与えるものである。

 

二.     係争商標における外国語「York shire」は地理的名称であり、当該地域は文化遺産及び自然景観が豊富なところとして広く知られていることから、係争商標の登録査定時(200221日)に、台湾の消費者が「York shire/ヨーク郡は英国の著名な歴史的地名であると知悉していたはずである。

 

三.     原告及びその前の登録者はいずれも台湾法人で、原告もまた係争商標を使用する指定役務は実際に英国ヨーク郡から来たものである又は英国ヨーク郡と関連があることを証明する証拠を提出していなかったことから、係争商標とその指定役務の間に名実相伴う関連性がなく、消費者に商品の原産地を誤認混同させるおそれがあることが明らかである。

 

四.     参加人から提供された、原告がかつて主要ネットショップサイトで「YORKSHIRE TEA」(約克夏茶)商品を販売していたことから、原告による係争商標の使用は参加人と連結関係を有するブランドと地理的名称の名声にフリーライドし、公衆に原産地が台湾である係争商標付きの商品を「YORKSHIRE」(ヨーク郡)で生産されたものであると誤認誤信させるおそれがあることは明らかである。

 

 本件の裁判官は、係争商標については商標法第30条第1項第8号の規定が適用されるとして原告の訴えを棄却した。原告はこれを不服とし本件の知的財産裁判所の判決に対し上告し、最高行政裁判所は109年(西暦2020年)度裁字第1384号の裁定にて上告は不適法として本件上告を却下する旨の裁定をした。

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