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意匠審査基準の改訂:開示要件及び分割出願の規定の緩和


David C. L. Chen/Andy Hsieh

 経済部(日本の経済産業省に相当)は2020929日に専利(特許、実用新案、意匠を含む)審査基準第三篇意匠の実体審査基準の一部改訂を公表し、改訂審査基準は同年111に適用した。

 

 今回の改訂には、主に「明細書及び図面の開示要件の緩和」「建築物や内装を意匠の保護対象として明文化」「意匠の分割出願に関する規定の緩和」「画像意匠に関する規定の改訂」「その他」の5つが含まれる。

 

 ここでは、特に「説明書及び図面の開示要件」と「意匠の分割出願」の改訂について、改訂前後の規定を対比して説明する。

 

1.        明細書及び図面の開示要件の緩和

 

現行専利法施行細則第53条第1項及び第2項では、「意匠の図面は、主張する意匠の外観を十分に開示することのできる図を備えなければならない。意匠が立体である場合、斜視図を含まなければならない。意匠が連続した平面である場合、ユニット図を含まなければならない。」「前項にいう図は、斜視図、正面図、背面図、左側面図、右側面図、俯瞰図、底面図、平面図、ユニット図又はその他補助図とすることができる。」と規定されている。

 

改訂前の意匠審査基準第3-1-9ページでは、「十分な図とは、意匠登録出願に係る意匠の全体の外観を構成できるように、図面に含まれた図が当該意匠の各面を十分に開示することのできるものを指す。」と規定されている。したがって、(1)各図の間に同一、対称のことがある場合(2)意匠登録出願に係る意匠の一部の面が一般的な消費者が購入時又は使用時に注意を払わないものであるか、又はそれが完全に平面であるため意匠の特徴を有さないものである場合(3一部の物品の厚さが極めて薄く、その極めて薄い面が一般的な消費者が購入時又は使用時に注意を払わないものであるか、又はそれが簡単な断面であるため意匠の特徴を有さないものである場合に限り当該面の図を省略することできる。それ以外の場合は、図面の開示が不十分であると認められる。

 

今回の改訂では、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当)は部分意匠の概念を採用してこの原則を緩和し、原則として、開示されていない図は意匠を主張しない部分(意匠登録を受けようとしない部分)」とみなされ、その主張する意匠は部分意匠となる。したがって、出願人にとって有利である。ただし、各図の間に同一、対称のことがある場合、又は一部の物品の厚さが極めて薄いため、その図が省略された場合は、そのことについてやはり意匠の説明において明記しなければならない。

 

また、部分意匠とみなされた場合でも、図面に表示される図は、「意匠を主張する部分(意匠登録を受けようとする部分)」の全ての内容を十分に開示しなければならず、図面に含まれる図が「意匠を主張する部分」の外観を十分に開示していなかったり、その主張する範囲を明確に特定できないものであったりする場合、当該意匠の属する技芸分野における通常の知識を有する者は、これらの限られた図のみから意匠登録出願に係る意匠の具体的な内容を理解し、かつそれに基づいて実施することができないため、実施可能要件を満たさないと判断される可能性がある。

 

2.        意匠の分割出願に関する規定の緩和

 

改訂前の意匠審査基準では、出願時に1つの物品に応用される1つの意匠のみが開示され、その他の参考図又は使用状態を示す図がない場合、それは実質的に2つ以上の意匠として明確に開示できていないことから、「意匠を主張しない部分(意匠登録を受けようとしない部分)」で開示された内容について、別途分割することはできない、と規定されている。

 

補正及び出願変更と一致した「原出願の出願当初の明細書又は図面に開示された範囲を超えているか」という要件で分割出願の可否を判断するために、今回の基準では、上記規定を以下のように改訂した。分割前の原出願の明細書又は図面に開示された内容が実質上2以上の意匠であるとき、一意匠一出願の要件を満たしているが、出願人が出願当初の明細書又は図面に開示された意匠、例えば、図面の「参考図」に明確に開示されているもう1つの意匠又は図面に明確に開示されているその1つのコンポーネント若しくは異なる範囲の主張内容について、そのうちの1つ又は複数の意匠を分割して、もう1つ又は複数の意匠登録出願とすることができる。

 

新規定により、出願人は、原出願の図面に開示されている意匠の一部の実線を破線に、又は一部の破線を実線に補正することで、原出願の審査期間中に分割出願することが可能となる。これは出願人にとって有利である。ただし、分割出願はやはり「原出願の出願当初の明細書又は図面に開示された範囲を超えてはならない」という基準を満たさなければならない。

 

 上記の説明から、今回の基準の改訂により、出願人の製品の外観設計に対する保護がより一層完全なものになることが分かる。

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