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権利者は、営業秘密として主張した情報に対して合理的な秘密保持措置をとるべきである



 営業秘密法第2条の規定によると、「営業秘密」とは、方法、技術、製造工程、調合、プログラム、設計 又はその他の生産、販売又は経営に用いられる情報であって、かつ、次の3つの要件を満たすものをいう。1一般に該類の情報に関わる人に知られているものではない。2、その秘密性により、実際的又は潜在的な経済価値を有するもの。 3、保有者が合理的な秘密保護措置をとっているもの。また、「合理的な秘密保持措置」とは、営業秘密の保有者が主観的に秘密保持の意思を有しており、かつ客観的に秘密保持について積極的な取り組みを行うことにより、その情報を秘密として管理しようとする意思があることを人々に理解させることをいう。

 訴訟では、保有者が合理的な秘密保持措置をとっているかどうかについて当事者間争いが生じることがよく見られる。情報の秘密性を維持するために、保有者がとる秘密保持措置は「効果的に」行わなければならない。実務上、「水も漏らさぬ」程の万全な秘密保持措置をとることは求められないが、保有者はその人的資源や財源を活用し、その情報の性質に応じ、一般的に利用可能な方法や技術で、当該専門分野に知られていない情報を、容易に触れないように管理しなければならない。そうすることで「合理的な秘密保持措置」の要件を満たすことができる。つまり、営業秘密の保有者は客観的に秘密保持について積極的な取り組みを行わなければならない。これについて、知的財産裁判所は2020623に下した108年(西暦2019年)度民営訴字第12号民事判決において、営業秘密の保有者が他方当事者といかなる秘密保持契約も結んでおらず、両当事者間の過去の業務提携の関係によってのみ他方当事者が秘密保持義務を負うべきであると推論できる旨主張したが、これは、営業秘密法で求められる「合理的な秘密保持措置」の要件を満たすことができない、との見解を示した。

 また、「合理的な機密保持措置」とは、他人の営業秘密の内容へのアクセスや使用を制限又は規制しなければならないことを指す。これに対し、知的財産裁判所は上記判決においても以下のような見解を示した。単に文書に「第三者に漏洩してはならない」などの用語のみが記載されたり、又は従業員の電子メールのみにパスワードが設定されたり、又はメール送受信の際にSSL/ TLSで通信内容が暗号化されたりするという取組みは、文書やメールの情報が郵送・配信中に漏洩することを避ける方法にすぎない。よって、保有者が他人(たとえば、従業員)と営業秘密の使用と制限について何らの約束又は規制もしない場合、保有者が主観的にこれらの文書に対して秘密保持の意思を有しているとしても、他人がその機密文書に自由にアクセスしてそれを使用することを可能にすると、客観的には合理的秘密保持措置がとられていると言えない。

 実務上、保有者が合理的な機密措置をとっていることを証明するために、営業秘密の保有者と主張する者は、内部管理資料(内部と外部の管理規則、文書が施錠可能な金庫、セーフティボックス等に施錠して保管されているか、営業秘密の情報を廃棄するための復元不可能な措置を講ずるか、各当事者と秘密保持契約を締結しているか、退職者や定年退職者発生時のパスワード変更を行うかなどの資料を含む)を裁判所に提出する必要がある。裁判所は、上記資料に基づいて個別案件の関連事実を斟酌して総合的に判断する。実務上営業秘密として保護を受けるための要件がますます厳しくなる中で、当事者が営業秘密という形で技術情報や経営情報を保護しようとする場合、今後の営業秘密保護の主張が困難になることを避けるために、必ず社内の営業秘密管理方針を見直し、その方針が現在の厳しい基準を満たしているか確認しなければならない。

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