ホーム >> ニュース、出版物など >> ニューズレター

ニューズレター

搜尋

  • 年度搜尋:
  • 專業領域:
  • 時間區間:
    ~
  • 關鍵字:

専利権の帰属を約定した契約の解釈について



 専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)では、契約自由の原則に基づき、雇用者の職務上の発明又は出資して他人を招聘する関係において完成した発明は、専利法第7条の規定により、当事者がその専利権の帰属を自ら約定することができる。しかしながら、双方の専利権帰属の約定が明確でない、又は前後に矛盾がある場合には、専利権の帰属について大きな問題が生じることとなる。例えば、最高裁判所109年(西暦2020年)度台上字第8号と第9号の民事判決の認定は、知的財産裁判所106年(西暦2017年)度民専上字第9号判決と異なる。

 知的財産裁判所は当該事件において、以下のように認定した。当該事件の原告会社と被告はかつて、被告が技術を提供し原告が技術以外の資源を提供してダイヤモンド製品の生産提携と販売提携を行う旨の合弁契約(Joint Venture Agreement、以下「JV契約」という)を締結していた。双方はその後、業務及び雇用契約を結び、被告が原告会社のダイヤモンド科技センターの総経理を担当することとなった。その後、原告会社が出資して某大学に研究案件を委託し、被告が原告会社の代表として、当該大学と提携契約を結び、ダイヤモンド工具の新技術を開発し、さらに、提携契約で生じた知的財産権と専利の所有はいずれも原告会社に帰属するとして、その専利について双方のプロジェクトリーダー又は共同ーダーの共同名義で出願することができることを約束した。知的財産裁判所は関連する技術文書、成果報告書を対比した後、係争専利はいずれも上記提携契約で生じた専利に属するもので、上記提携契約の約定に基づき、原告会社の所有に帰属すべきで、被告は真正の権利者ではなく、被告が自己名義で又は某大学のプロジェクトリーダーと共同で係争専利を出願したことは、原告会社の専利出願権と専利権を侵害しているとして、原告会社は不法行為、契約、不当利得等の関連規定に基づき、係争専利の移転を請求することができると認定した。

 しかしながら、最高裁判所は以下のように指摘した。原告会社と被告が締結したJV契約において「本JV契約によって開発された製品又は技術の知的財産権の所有権は被告名義で登録され、原告は優先使用権を有する」、「原告会社が上記知的財産権を製品又は技術の開発に使用する際には、原告会社は当該知的財産権の三分の二の権利利益及び価値を有する」、「双方は原告会社の知的財産権の譲渡とライセンスに合意する場合、相手方に支払われる対価から必要なコストを差し引いた後、その三分の二は原告会社の所有に帰属し、三分の一は被告に帰属する」と約定してあった。言い換えると、係争専利には原告会社と被告が締結したJV契約の適用がないのか、適用できるのであれば、係争専利について契約に従い原告会社、当該大学のプロジェクトリーダーが共同名義で出願することもできると認めないのか。被告を係争専利の登録名義人としたが、実は原告会社、被告は21の割合で当該権利を所有する場合、被告は自己名義又は当該大学のプロジェクトリーダーとの共同名義で係争専利を出願し、係争専利権者として登録されることは、契約違反になるのか。原告会社所有の係争専利権の侵害と言えるのか。被告は原告会社との委任契約に違反したか。被告を係争専利権者とする登録は、法律上の原因なく利益を受けたものであるのか。これらについて尚も疑義があり、明確にすべきである。

 本件から分かるように、双方の専利権帰属の約定が明確でない、又は前後に矛盾がある場合、専利権の帰属について大きな問題が生じることとなる。特に複数の契約を締結した場合、解釈上は矛盾が発生する可能性が高くなることから、専利権の帰属の約定について特に注意を払い、それを契約書に明確に定めておく必要がある。

回上一頁