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智慧財産局が実用新案技術評価請求に関する審査基準を新設


簡秀如/Andy Hsieh

 現行の専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)第115条第1項、第116条及び第117条には、「実用新案技術評価書」(中国語「新型専利技術報告」、以下「技術評価書」と略称)の請求及び法的効果について、それぞれ「実用新案登録出願に係る実用新案の公告後、何人も、専利主務官庁に対し、当該実用新案の実用新案技術評価書を請求することができる」「実用新案権者は、実用新案権を行使する際に、実用新案技術評価書を提示しなければ警告をすることができない」「実用新案権者の実用新案権が取り消される場合、それが取り消される前に、当該実用新案権を行使することによって他人に与えた損害について、賠償責任を負わなければならない。ただし、実用新案技術評価書の内容に基づいて、かつ、相当な注意を払ったうえで権利を行使した場合には、この限りではない」と明文化されている。しかしながら、技術評価書の請求、内容、作成手続きの流れなどの詳細について、現行の専利審査基準には何も定められていない。技術評価書の請求人にそれに関する規範を理解してもらい、また審査官の実務作業の一致性を確保するため、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は2020731日に改訂実用新案審査基準を公表し、技術評価請求に関する規定を新設した。当該改訂審査基準は同年81日より適用した。
 
 新しく改訂された審査基準では、技術評価書の内容及び作成手続きの流れについて、以下2つの重要な変革がある。
 
一.   実用新案技術評価書を作成する際に、同時に訂正請求が係属している場合、訂正請求の決定を待って、訂正後の実用新案登録請求の範囲を基準とするものとする。
 
 技術評価の対比対象は、当該実用新案の公告で有効とされた実用新案登録請求の範囲であることは言うまでもない。しかし、同時に訂正請求事件が審査中の場合、智慧局は訂正前又は訂正後のどちらの実用新案登録請求の範囲を基準とするのかには疑義が生じている。現行の実務によると、技術評価書作成の迅速化を図るため、智慧局は原則として「訂正前」の実用新案登録請求の範囲を根拠としている。例外として、実用新案権者が技術評価書の請求後に「訂正後」の公告版を基準とすると明記した場合に限り、審査官は訂正請求の処分結果が出てからはじめて対比を行うのである。
 
 今回改訂された審査基準では、「係属中の訂正請求がある」という状況に対し、現在の実務とは反対のやり方が採用され、つまり、原則として訂正請求の決定が出てから、決定の結果を技術評価書の対比対象とするのである。しかし、例外的に「訂正前」の請求項を対比の基礎とする場合がまだ若干残されており、例えば同時に係属している無効審判請求事件の内容が複雑である場合、又は技術評価書の請求人が実用新案権者であって、非実用新案権者が商業上の実施をしたと主張した場合、又は技術評価書の請求人が実用新案権者ではなく、実用新案権侵害紛争に係る事情があると主張し、かつ事実を明記し関連の証明書類を添付した場合などである。
 
二.   智慧局は係争実用新案の新規性又は進歩性が欠如すると認めた場合、実用新案権者に説明の機会を付与すること。

 現行の実務において、技術評価書の法的位置づけは行政処分に属するものではないことから、実用新案権者は智慧局が技術評価書を作成する前には、通常、答弁の機会は付与されない。技術評価書の結論が権利者にとって不利な場合も、訴願又は行政訴訟を通じて救済を求めることができず、その手続及び実体的権利保護は完全ではない。
 

 実用新案権者の意見陳述の機会及び手続参与権を保障するため、今回改訂された審査基準では「技術評価書の引用文献通知書」という新制度が新設され、審査官がいずれかの請求項に係る考案が新規性又は進歩性などの要件を満たしていないと判断した場合、引用文献資料を提供し、違反した新規性又は進歩性などの要件を指摘し、さらに引用文献の対応する内容を示して、実用新案権者に説明し又は資料の補足をするよう通知しなければならない。実用新案権者は説明を提出するだけでなく、補足資料も提出でき、又は訂正請求を検討することもできる。しかし、効率性の観点から、上記意見陳述の新制度では、応答説明の延期又は面接の申請は認められない。

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