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著名商標の識別性と信用の保護、その著名性は「一般消費者の普遍的な認知度」に達するべき


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

学理上の「商標希釈化」(Trademark Dilution)理論は、「著名商標」と特定の商品又は役務の出所との連想を弱めたり分散したりすることによって、著名商標の独特性を低減させることを防止することを目的としている。この理論では、「著名商標」の保護範囲は、一般的な登録商標よりも広く、同一又は類似の商品/役務の使用に限定されるべきではない。

 

商標法第70条第12号は、これらの理論に近い具体的な規範である。商標法第70条第12号により、次の各号のいずれかに該当する場合は、商標権侵害とみなされる。

 

一、他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、同一又は類似の商標を使用して、当該商標の識別性又は信用を損なうおそれがある場合。

二、他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、当該著名商標の中の文字を、自らの会社、商号、団体、ドメインネーム又はその他営業主体を表す名称とすることによって、関連する消費者に混同誤認を生じさせるおそれがある、 又は当該商標の識別性又は信用を損なうおそれがある場合。

 

過去の実務では、上記条文にいう「著名商標」の「著名性」の判断について見解が一致していなかった。しかし、近年多くの見解は、商標法第70条第12号により保護される「著名商標」は、「一般消費者に普遍的に認知される」という高い著名程度に達するべきであるとしている。この議題について、知的財産裁判所は107年(西暦2018年)度民商訴字第43号民事判決では、商標権侵害の具体的個別案件において、再度同じ見解を表明した。

 

本件原告は大手書店チェーンであり、被告は引越し業者である。被告は、原告の商標と同一の名称を、引越サービスに使用される商標として使用し、また同時にその名称を自分の会社名の要部(識別機能を有する部分)として使用していた。原告は、被告が設立される前に、原告の商標はすでに著名商標であり、被告の行為は商標法第70条第12号に違反していると主張した。

 

これに対して裁判所は、まず、商標法第70条第12号で保護されている著名商標の著名性は、「関係消費者」を超えて「一般消費者」に普遍的に認知される程度に達することが必要であると解すべきであるとした。裁判所はさらに、原告が提出した証拠は、本件商標の書店や文化クリエイティブ産業における使用実績に限定されており、商品や役務のカテゴリーを跨いで一般公衆に普遍的に認知されるに至ったものであることを証明するには不十分であると指摘した。また、過去に主務官庁が本件商標は関係消費者に熟知されている程度にしか達せず、一般公衆に普遍的に認知される程度にはまだ達していないと判断した。以上から、本件について裁判所は、被告の行為について、商標法第70条第12号の規定は適用しないとした。

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