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智慧財産局がマスク製造技術に関する特許分析を発表


Jason Chuang

経済部智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は、20204月に「マスク製造技術に関する特許分析(https://www.tipo.gov.tw/tw/dl-273781-3f3befaa3c1a48fd9081040d159c1a8d.html)」を発表し、マスクの製造技術の概要説明だけでなく、関連特許のポートフォリオの統計分析も提供している。概要は以下のとおりである。

 

一、  マスク製造技術の概要

マスクの製造技術には、少なくとも原材料(撥水層、ろ過層、親水層、耳掛け部等)の製造、マスク本体の製造及びマスク本体と耳掛け部との熔接が含まれる。マスク本体を製造するステップには、材料の搬入(マスク本体製造機械の連続生産に利するよう、ロール方式で撥水層、ろ過層、親水層等の原材料をマスク工場に運送する。)、熔接(撥水層、ろ過層、親水層及び鼻当て部を互いに熔接固定する)及び裁断成形(熔接が完了したマスクの連続した半製品を11つのマスクに裁断する)が含まれる。

最後に、一つ一つのマスク本体が耳掛け部溶着装置に入れて、本体の両側に熔接し耳掛け紐を裁断した後、平面タイプのマスクがほぼ完成する

 

二、  マスク製造技術とそれに対応する国際特許分類

マスク製造に関する国際特許分類は以下のとおりである。

 

項目

技術別

関連する国際特許分類

A

マスク製造加工技術

積層体と製造加工技術

A41H-37~A41H-43 衣服に止め具を取付ける機械、器具若しくは方法又はその他の器具若しくは方法

B32B-1~B32B-9, B32B-23, B32B-33 積層体製品

B

材料の搬入、搬出装置及び方法

B65G 運搬又は貯蔵装置

B65H 薄板状又は線条材料の運搬

C

折り畳み、シーラー装置及び方法

B31 紙、板紙又は紙と同様の方法で加工される材料からなる製品の製造

D

熔接装置及び方法

B23K ハンダ付又はハンダ離脱(超音波熔接)

B32B-37~B32B-43 積層の方法と装置、例えば、硬化結合又は超音波結合によるもの

E

予備成形品の接合方法

B29C-65 予備成形品の接合、そのための装置

F

切り離し装置及び方法

B26 切断手工具、切り離し、切断

 

三、  マスク関連の特許ポートフォリオ

智慧局の特許出願受理国に関する統計データによると、1990年から2019年までの間に、上記技術(A項、B項、D項及びF項)に関するマスク特許権者のポートフォリオのうち、75%以上の割合で中国で特許出願することにしており、C項及びE項に関する技術は、米国及び中国を主なポートフォリオ展開の市場とし、そのうちのC項に関する技術は、米国で特許出願する割合が最高であった。

 

智慧局が各項目のマスク製造技術の出願件数の年別推移を分析したところ、A項に関する特許の出願件数は2013年から大幅に増加し、2016年にピークを迎え、B項に関する特許の出願は2015年にピークに達し、2017年までの出願件数はいずれも横ばいに推移し、C項、D項、E項及びF項のこの10年間の出願件数はあまり変化していないことが分かった。

 

上記各項目の技術の主要特許出願人を分析すると、マスク製造の主要出願人は中国企業と米国企業であることが分かる。中国籍出願人にはメーカーと教育機関が含まれるが、米国籍出願人は大手有名企業である。中国企業からの出願件数が多く、その技術内容は上記各項目の技術分野をカバーしているが、米国企業からの出願内容は主にC項とE項に集中している。

 

また、出願件数全体に占める各主要特許出願人の割合はいずれも高くないことから、マスク業界では技術が一つの企業に集中するという状況にはなっておらず、その関連する革新技術が異なる特許権者間に分散して保有されていることが分かる。また、中国企業の出願はほぼ自国に集中しており、欧米での特許ポートフォリオの構築は比較的に少ない。この状況は、中国が世界最大のマスク製造国であるという現状と一致している。一方、米国企業の出願は世界の主要国に広く分布していることからも、米国企業の海外展開と運営の規模がうかがえる。


 

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