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プロアスリートの著名な芸名を含む商標は登録不可


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

一般視聴者に強い印象を残すために、芸能スター等の有名人はパフォーマンス活動の際に、本名ではなく「芸名」を使用することはよくあることである。これらの芸名は、有名人を表すものとして消費者に広く認識されている人の名前であるだけでなく、ひいては経済的利益を生み出すための重要な資産でもある。

 

他人が商品/役務の宣伝や販売に有名人の芸名を使用して、消費者に混同誤認を生じさせることのないよう、商標法第30条第1項第13号には、他人の肖像又は著名な氏名、芸名、筆名(ペンネーム)、字(あざな)を含む商標は登録することができないと明文化されている。しかしながら、本条文における「芸名」をどのように認定すべきかについて、実務上の解釈では、尚も疑義が存在している。これに対して台湾知的財産裁判所は、108年(西暦2019年)度行商訴字第78号行政判決では、商標の異議申立に関する具体的な個別事案において、参考に値する見解を示した。

 

本件で異議申立を受けた商標「Black Mamba(デザイン化した文字)」は、第25類の衣服等の商品での使用が指定されている。本件異議申立人は元NBAの故Kobe Bryant(コービー・ブライアント、以下「コービー」という)設立した会社である。「Black Mamba」はコービーの芸名であり、関連事業又は消費者に広く知られているもので、本件で異議申立を受けた商標「Black Mamba」は、商標法第30条第1項第13号に違反しているとして、登録すべきではないと主張した。

 

本件申立人の主張に対し異議申立を受けた商標の商標権者は、以下のように反論した。「Black Mamba」とは通常、アフリカに生息する「ブラックマンバ」というコブラ科の蛇の意味であり、その他の商品/役務において広く使用されており、コービーが専有する代名詞ではない。コービーはかつて自らのプレイスタイルを「Black Mamba」に例えたことがあるが、「Black Mamba」は台湾では馴染みのないニックネーム又は芸名である。よって、「Black Mamba」はコービーの「著名な芸名」ではなく、商標法第30条第1項第13号の規定は適用されない。

 

双方が提出した争点について、裁判所はまず以下のように述べた。スター選手の職業的性質は芸能スターと何ら変わりもなく、関連消費者である観衆はスター選手に声援を送る際に、本名以外の別名、ニックネーム等を呼ぶことがほとんどである。よって、スター選手の別名、ニックネーム等は性質上「芸名」に属するものである。

 

裁判所は本件事実についてさらに以下のように指摘した。申立人が提出した証拠資料から、「Black Mamba」は客観的にコービーだけを指し、それを見て台湾の消費者が直接コービーを連想することができ、台湾内での著名程度が十分であることを示している。また、本件異議申立を受けた商標の商標権者もかつてインタビューの中でコービーが「球場のブラックマンバである」等と言及していたことがあることから、商標登録出願前にすでに「Black Mamba」がコービーの著名な芸名であることを知っていたことが分かる。以上から、「Black Mamba」がその出願時点で、すでにNBAのプロバスケ選手コービーの著名な芸名であるため、本件商標は登録することはできない。 

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