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知的財産裁判所が公平交易法における商品外観の「著名表徴」についての参酌要素を判示


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

 台湾の現行法規範に照らすと、商品外観のデザインは、商標、意匠及び著作権等の知的財産権として保護されている。これ以外に、まだ商標権を取得していない商品外観デザインについては、尚も公平交易法(日本の「不正競争防止法」及び「独占禁止法」に相当)第22条第1項第1号の「著名表徴」に関する規定により権利を主張することができる。

 

201524日に改正された後の現行の公平交易法第22条第1項第1号によると、事業者がその営業において提供する商品について、他人の著名な氏名、商号若しくは会社名称、商標、商品容器、包装、外観又はその他の他人の商品を示す表徴と同一又は類似するものを、同一又は類似の商品において使用することにより、他人の商品と混同誤認を生じさせることはできず、又は、当該表徴を使用した商品を販売、運送、輸出又は輸入してはならない。しかしながら、前述の商標、意匠及び著作権等の知的財産権と比べると、公平交易法第22条第1項第1号の「著名表徴」の保護範囲を特定することが難しいから、実務上において争議が比較的生じやすい。「著名表徴」の認定判断について、近年、知的財産裁判所は107年(西暦2018年)度民公上字第2号民事判決の具体的個別案件において、参酌要素を示している。

 

本件原告は、ドイツのスーツケースメーカーで、「凹凸構造のリブ加工」を施したデザイン(以下「リブ加工」という)のスーツケースで有名である。原告は、被告が製造したスーツケースにも同一又は非常に類似したデザインが採用されており、これは既に公平交易法第22条第1項第1号の規定に違反し、消費者に混同を引き起こし、そのスーツケースは原告が生産販売したものであると誤認させ、さらにはその取引決定にも影響するものであると主張。これに対して、本件被告は、原告が主張する「リブ加工」は実用性又は技術機能を持った機能的な形状であり、公平交易法により保護され表徴ではないと抗弁した。また、被告は、原告は「リブ加工」について米国、欧州連合(EU)、ドイツ等の国又は主権団体において登録された立体商標の登録資料を提出したが、原告の立体商標の登録出願は、台湾智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)の審査を経て認められないという判断を受けた後、その出願を取り下げた。このほかに、被告は、台湾では十数年以上すでに多くの業者が同一又は類似の平行ラインのリブ加工を施したデザインのスーツケースを販売しており、かつ、本件が係属する前にすでに30数社の企業及び個人が「リブ加工」に類似した意匠登録を出願済みである、とも指摘した。

 

双方の主張に対し、知的財産裁判所は先ず、公平交易法第22条の「著名商品の表徴」について、その制度設計の目的は消費市場における公正競争の環境を保護し、業者が商業的信用へのフリーライド(ただ乗り)又は高度な模倣の方法により、正当な取引秩序を破壊することを避けることにあり、技術とは関係のないものである、と示した。

 

裁判所はさらに次のような見解を示した。いわゆる「著名表徴」とは、表徴が表彰する識別性と信用が関連事業者又は消費者に普遍的に熟知されたもので、商品又は役務の出所を区別するに足りる標識であることを指す。本件の具体的個別案件においては、表徴が著名か否かの判断について次の要素を斟酌することができる。(1)「リブ加工」スーツケースの概念の強度(2)原告は終始一貫してリブ加工」の概念を伝達していたか否か(3)「リブ加工」スーツケースの広告マーケティング(4)「リブ加工」スーツケースの営業状況及びブランドイメージ(5)メディアの「リブ加工」スーツケースについての報道(6)「リブ加工」のアジアの国における「著名な商品表徴」としての肯定(7)「リブ加工」のその他主要国と主権団体における商標登録状況(8)被告はその他の案件において「リブ加工」の「著名な商品表徴」としての地位には争いがない。上記要素を総合的に判断したところ、裁判所は、本件スーツケースの外観の「リブ加工」は商品の出所を区別する機能を果たす「著名表徴」であると認めた。

 

これに関して以下の点に特に注意すべきである。智慧局が本件原告の商標登録出願を認めなかったことについて、裁判所は本件において、原告は自ら上記出願を取り下げたことから、智慧局は当該商標出願について行政処分(拒絶査定)を下していなかった。たとえ「リブ加工」の商標出願が拒絶査定となったとしても、それは最終確定の結論ではなく、それについて尚も引き続き行政救済を進める可能性がある。よって、智慧局が立体商標登録出願を認めるか否かの判断は、「リブ加工」が著名表徴であることを否認するのに十分な根拠とはならない。

 

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