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商標権者が他人による登録取消審判請求を知り、その請求前3ヶ月以内に使用を開始した場合、商標使用の事実があったとしてもその登録を取消すべき


Ruey-Sen Tsai/Celia Tao

 商標法第63条の規定により、商標権者は登録商標を使用する義務を負う。商標権者が連続して3年以上使用しておらず、又はその中の一部のみを使用し若しくはそれに変更や注記を加えて使用した場合、いずれもその登録商標は取り消されるべきでる。商標の機能は実際の使用を通して初めて関連する消費者に商標と商品又は役務とのつながりを認識させることができることを考慮し、台湾商標法では登録主義の不足を補うものとして、上述の補充制度を設置した。これにより、商標の価値向上を図るものである。

 

取消請求人による商標権者の使用状況に関する調査により、商標権者が危機感を持ち、商標権を維持するために、訴訟対応のため商標の使用証拠を作成する可能性がある。このような状況に対し、商標法第63条第3項に「第1項第2号に該当し、登録取消審判請求時には当該登録商標が使用されている場合、他人による登録取消審判請求を知り、当該請求前3ヶ月以内に使用を開始した場合を除き、その登録を取消しない。」と規定されている。言い換えると、商標権者が他人による登録取消審判請求を知り、その請求前3ヶ月以内に使用を開始した場合、商標使用の事実はあったとしても、その登録は依然として取消されなければならない。最近の知的財産裁判所による107年(西暦2018年)行商訴字第50号行政判決では、本規定の個別案件における具体的適用が示されている。

 

本件の参加人は商標区分第3類の「化粧品、パーマ液、ヘアカラー剤、人体用洗浄剤」を指定商品として係争商標登録を受けた。原告は参加人の係争商標が商標法第63条第1項第2号の規定に違反するとして、経済部智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)へ登録取消審判を請求した。その取消審判請求手続において、参加人はSPA館、サロン等の顧客への出荷リスト、統一発票(台湾財政部認定の公的領収書)等の使用証拠を提出したが、智慧局は参加人は「化粧品」商品において商標を使用していると認め、「化粧品」部分については、取消審判請求不成立の審決(登録維持審決)を下した。原告はこれを不服として訴願を提起したが、訴願も棄却されたため、知的財産裁判所へ訴訟提起した。

 

知的財産裁判所はまず、商標権者が取消審判請求前3ヶ月以内に商標の使用を開始した場合、その目的は商標の取消しを避けるためだけにあり、この法律規定を回避する行為は当然、保護する必要はない。裁判所はさらに本件の事実及び証拠について、参加人が提出した出荷リスト、統一発票等の証拠を取り調べると、その期日は20169月~同年11月までで、原告による取消審判請求日である20161130日の3ヶ月以内であると指摘した。原告は201610月に調査会社に参加人の商標使用について調査を委託したことがあり、参加人が第三者による係争商標の使用状況の調査を知ったため、係争商標が取消されないよう、取消請求前3ヶ月以内に係争商標を使用し始めたものである。よって、商標法第63条第3項の規定により、係争商標は取消すべきである、と判示した。

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