ニューズレター
2014年6月に改正された行政訴訟法の改正要点
立法院は2014年5月30日に「行政訴訟法」及び「行政訴訟法施行法」の一部条文改正案を最終可決した。今回の改正で重要なものは、まず、司法院大法官釈字第708号及び第710号解釈(外国人及び中国・香港・マカオ住民に同等の身体の自由を保障する旨の解釈)に対応し、「収容申請事件手続き」の章を新たに追加している点であり、次に、交通法規違反事件の原告の訴訟代理人は、弁護士に限定しない旨規定されている点である。「収容申請事件手続き」章の条文は、「入出国及移民法」(「出入国及び移民法」)、「台湾地区與大陸地区人民関係條例」(「台湾地区と中国大陸地区人民関係條例」)及び「香港澳門関係條例」(「香港・マカオ関係條例」)などの関連改正に合わせたものであるため、まだ施行されておらず、施行日は別に定められる。その他の改正はいずれも2014年6月18日の公布日から施行されている。今回の法改正のポイントを、以下に略述する。
一、交通法規違反事件の訴訟代理人についての規制を緩和し、弁護士資格を具える者に限定しない。
行政訴訟は弁護士主義を採用していないが、もし訴訟代理人に委任するのであれば、原則として弁護士が訴訟代理人を務めなければならない。本法はもともと第49条において、税務行政事件、専利(※中国語の「専利」には発明特許、実用新案、意匠が含まれる)行政事件及び公務機関が当事者である場合に関してのみ訴訟代理人についての規制を緩和し、特定の資格を有する者が代理人を務めることができる、としていた。今回の法改正では、かかる規制緩和の対象に新たに交通法規違反事件を加えたが、これは、その性質がシンプルで、罰金額が軽微であるからであり、人民の訴訟コストが嵩み、訴訟救済に過度の負担が生じることのないよう、今回の改正で、交通法規違反事件につき、原告が委任する訴訟代理人は弁護士に限定しない旨明確に規定した。原告が自然人であるとき、その一定の親等関係の親族を訴訟代理人とすることができ、原告が法人又は法人でない社団又は財団であるとき、そこに属する者が訴訟事件と関連する業務を処理し、訴訟代理人を務めることができる。
二、「収容申請事件手続き」章を増補
今回の改正では行政訴訟法に第二編第四章として計8条からなる「収容申請事件手続き」章を増補し、外国人及び中国・香港・マカオ住民の収容に関する司法救済手続きを明確に規定した。
(一)収容申請事件の種類
今回の行政訴訟法の法改正は、主に、「入出国及移民法」(「出入国及び移民法」)、「台湾地区與大陸地区人民関係條例」(「台湾地区と中国大陸地区人民関係條例」)及び「香港澳門関係條例」(「香港・マカオ関係條例」)などの法律と合わせて、司法院大法官釈字第708号及び第710号解釈に対応するための一部改正であり、現在、立法院で審議中の移民法草案などの規定により、将来、収容期間は、移民署が作成する「暫定収容」処分(最長で15日)、裁判所が裁定する「収容継続」(最長で45日)及び「収容延長」(最長で60日)の3段階の期間に区分される。前記3段階の収容期間に合わせるため、本章を増補し、収容申請事件を、「収容異議申立」、「収容継続」、「収容延長」及び「収容停止」の4種類に分ける。
収容継続、収容延長の発動主体は移民署であり、当該署が収容継続の必要ありと認め、収容期間満了前に裁判所に申立てた場合を除いて、被収容者又はその一定親等関係の親族は収容異議申立という特殊司法救済制度により裁判所に対し審査及び迅速な決定を直ちに請求することができる。したがって、被収容者又はその一定親等関係の親族は暫定収容処分に不服であれば、当該制度により暫定収容期間中に収容異議申立を提出することができる。収容の停止については、被収容者又はその一定関係の親族に対し、裁判所が収容を継続又は延長する旨の裁定を下した後、収容理由が消滅した、収容の必要がない、又は収容しなくてもよい情況を有すると認めたとき、裁判所に収容停止を申し立てることのできる権利が与えられている。
(二)収容申請事件の管轄及び審理手続き
収容申請事件は収容者の所在地の地方裁判所行政訴訟法廷を第一審管轄裁判所とし、簡易訴訟手続きの規定を準用する。但し、立法理由には、「暫定収容処分に不服である場合については、本法では既に被収容者に、収容異議申立手続により裁判所に対して審査及び救済決定を直ちに請求することができる権利を与えているため、執行停止に係る制度を適用しない」と特に指摘されている。地方裁判所行政訴訟法廷の裁定に不服である場合、管轄の高等行政裁判所に抗告を提起することができ、二審制を採用し、並びに再審規定を適用する。
三、簡易訴訟手続きを適用する事件の種類を増補
上記の収容申請事件以外に、移民署のその他行政収容事件に不服である場合(たとえば、収容代替処分の決定、保証金没収などの処分に不服である場合)、若しくは、賠償請求事件の訴訟を合併するため、収容申請事件と密接に関連するため、且つ、証拠調査の便宜を考慮し、今回の法改正では簡易訴訟手続きの適用が明確に規定された。
このほか、行政機関が行う講習及び指導教育処分は、軽微な処分に属するため、今回の法改正では、これらについても簡易訴訟手続き審理を適用する旨明確に規定した。