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専利権の後日無効は、権利濫用を構成しない



米国法における重要なテーマであり、米国の実務では、これまでに数多くの専利権濫用に関する判例の蓄積がある。専利権濫用を主張する情況として実務上よく見られるものには、実施許諾の拒絶、無効の専利権又は権利存続期間が既に満了している専利権をパテント・プール(patent pool)に組み入れる、悪意による訴訟提起などが含まれる。広義での悪意に基づく訴訟には、専利出願戦略の濫用、濫訴、訴訟前保全手続きの軽々しい利用、仮差押や仮処分などの保全処分の不当請求などが含まれる。
 
近年、専利権者がますます知的財産権の保護及び保障を重視するようになってきたのに伴い、専利権侵害訴訟の被告も、たとえば無効審判請求を提起する、専利権侵害訴訟において専利無効の抗弁を提出する、別訴又は反訴を提起して権利濫用又は公正競争の妨害を主張するなど、様々な防御方法を採るようになってきている。専利権侵害訴訟における被告が提起した別訴又は反訴のなかで実務上よくみられる主張は、「専利権者は、専利権が無効である、又は侵害鑑定結果が誤っていることを明らかに知りながら、なお、仮の地位を定める仮処分又は仮差押などの保全手続きなどを裁判所に請求している。このような行為は既に権利濫用を構成しており、民法第184条に規定される権利侵害行為又は『公平交易法』(※日本の『不正競争防止法』、『独占禁止法』に相当)に規制される不正競争行為に属するため、損害賠償責任を負わなければならない」というものである。
 
類似の主張について、台湾台北地方裁判所は93年(西暦2004年)度智字第7号判決のなかで、「権利者の仮処分又は仮差押の請求が不当であるか否かは、本来、仮処分、仮差押及び抗告それぞれの裁判所の審理事項に属する。当該権利者が仮処分又は仮差押を申し立てていることのみを以て、当該権利者のこのような行為が不当な権利行使であるとはいえない」「仮処分又は仮差押の決定の申立ては、もとより、鑑定報告の提出を必要とするものではなく、かつ、係争の鑑定報告の鑑定意見を採用するか否かは、仮差押、仮処分に係る裁判所がその職権で決定するものである。しかし、専門鑑定機関が異なれば、たとえ同一の基準に基づき検証したとしても、鑑定結果が異なる情況は生じ得る」と述べ、「専利権者が専利権濫用の意図を有し、仮処分や仮差押の申立てなどの司法手段を以て権利侵害被疑者の権益を侵害している情況であると直接に結論づけるには至っていない」と示している。
 
知的財産裁判所は99年(西暦2010年)122日付99年度民公上字第3号判決のなかで、「当該事件の特許権者が仮の地位を定める仮処分を申し立てる行為には、権利侵害被疑者の権利を侵害する過失がある」と判示したことがあるものの、その主な理由は、専利権者が仮の地位を定める仮処分を申し立てる際に提出した鑑定報告が文言の比較を完全にはしていなかったことにある。しかし、専利権者による専利権濫用を指摘する権利侵害被疑者のその他の主張について、裁判所は明確に意見を示していない。
 
専利権侵害訴訟に係る被告が専利権者による権利濫用を主張する際に、どのような立証責任を果たすべきかという点に関して、知的財産裁判所は101年(西暦2012年)921日付100年(西暦2011年)度民公訴字第3号判決のなかで、「それ(即ち権利侵害被疑者)は、専利権者が仮差押申立時に、その権利がある程度限定されている、又は権利侵害疑義者に対し権利を主張できないことを確かに、かつ、明らかに知っていたことを証明しなければならない」と判示している。知的財産裁判所は同判決のなかで、「たとえ事後の判決で、係争専利が進歩性を具えないと認定されたとしても、かかる認定に基づいて『専利権者は、仮差押申立時に当該専利には取り消すべき理由が存在することを明らかに知っていた』と推論することはできない。よって、これに基づき『専利権者に権利侵害の故意又は過失がある』と主張することはできない」とも指摘している。
 
前記同100年(西暦2011年)度民公訴字第3号判決は、知的財産裁判所の第二審判決(101(西暦2011)度民公上字第5号判決。判決日は2014122日)によって維持された。二審判決において、知的財産裁判所は、「係争専利は今日に至るまで有効であり、たとえ後日、行政訴訟によって取り消すべき理由があると認定されたとしても、かかる認定に基づいて『専利権者は、仮差押申立時に専利に取り消すべき理由が存在することを明らかに知っていた』と推論することはできない」と重ねて言明している。
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