ニューズレター
「専利師法」一部改正案
智慧財産局(※日本の特許庁に相当)は2014年1月3日及び1月27日に「専利師(弁理士)法一部改正案」について公聴会を開いた。現在、検討されている主な改正部分は、以下のとおりである。
1. 専利審査官の試験の一部を免除する規定を新たに設ける。関連する国家試験に合格し、実際に専利実体審査に8年以上携わった審査官は、弁理士試験の一部科目の免除を申請することができる。
2. 弁理士試験合格後も、職前訓練を受けなければならず、訓練を受けてはじめて弁理士証書を取得できる旨を規定。
3. 弁理士の就業方式に関して、これまで事務所設立又は専利業務を行う事務所での勤務に限定されていたが、「法人での勤務」という就業方法を新たに設けた。但し、弁理士はこの種の情況においてはそれが勤務する法人のためにのみ弁理士業務を行うことができ、自ら案件を受任することはできない。
4. 業務範囲については、これまであった3種類の専属業務(専利出願、無効審判、及び専利権の譲渡、信託、質権の設定、実施許諾及び強制実施の申請)以外に、専利侵害鑑定及び専利コンサルティングを新たに追加する。但し、これら二つの業務類型は弁理士の専属業務とはしない。
5. 弁理士の在職訓練制度を新たに設け、弁理士は在職者研修に継続的に参加しなければならず、2年ごとに専利主務官庁へ在職研修終了の証明書類を提出しなければならない旨を定める。弁理士会(専利士公会)が定める最低時数又は科目を満たさない場合、専利主務官庁は6ヶ月以内に補習を終了するよう当該弁理士に通知しなければならず、期限を過ぎても補習を終了していない場合、当該弁理士の弁理士職務の執行を停止or禁止する。職務執行が停止or禁止された場合、補習終了後に、申請書面に証明書類を添付して専利主務官庁にその職務執行の資格回復を申請することができる。
6. 違法就業の罰則強化
(1) 刑事罰に処する行為の態様
(a) 弁理士証書を持たない者が、営利目的で自ら又は弁理士を雇用して弁理士専属業務を行った場合、3年以下の懲役、拘留に処する、又は40万新台湾元以上200万新台湾元以下の罰金を併科する。
(b) 弁理士証書を他人に提供して使用させた場合、2年以下の懲役に処し、20万新台湾元以上100万新台湾元以下の罰金を併科することができる。
(c) 弁理士証書を持たず、業務勧誘する行為は、期限を定めて当該行為者に当該行為を停止するよう命じ、期限を過ぎてもその行為を停止しない、又は停止後再び違反行為を行った場合は、30万新台湾元以上150万新台湾元以下の罰金に処し、期限を定めて当該行為者に行為を停止するよう命じる。更に期限を過ぎてもその行為を停止しない、又は停止後再び違反行為を行った場合、1年以下の懲役、拘留に処し、又は40万新台湾元以上200万新台湾元以下の罰金を併科する。
(2) 行政制裁に処する行為の態様
(a) 弁理士が弁理士会に加入していない又は業務停止処分を受けているにもかかわらず、弁理士専属業務を続けている場合、専利主務官庁は6万新台湾元以上30万新台湾元以下の罰金に処し、期限を定めて当該行為者に当該行為を是正又は停止するよう命じる。更に期限を過ぎてもその行為を是正しない、又は停止しない場合、引き続き期限を定めて当該行為者に当当該行為を是正又は停止するよう命じることができ、当該行為を是正又は停止するまで回数に応じて処罰することができる。
(b) 資格がないにもかかわらず、弁理士又は専利代理人の名称を使用した場合、専利主務官庁は3万新台湾元以上15万新台湾元以下の罰金に処し、期限を定めて当該行為者に当該行為を停止するよう命じる。期限を過ぎてもその行為を停止しない場合、当該行為を停止するまで回数に応じて処罰する。弁理士証書又は専利代理人証書が廃止された場合も同様とする。
今回の改正案は民国97年(西暦2006年)の「専利師法」施行、民国98年(西暦2007年)の改正以来、最大の改正といえるものであったため、公聴会では幅広い討論及び議論が交わされ、弁理士の業務に対し若干の影響を及ぼすと同時に、専利サービス業務利用者の権益もより確保されることになる。当事務所は、今後も引き続き上記法改正の進捗状況を注視し、随時報告する。