ニューズレター
「中国地区住民による台湾地区での投資許可に関する規則」改正
経済部は2013年11月14日に「中国地区住民による台湾地区での投資許可に関する規則」(「大陸地区人民来台投資許可弁法」、以下「許可規則」)第8、9及び11条を改正し(経審字第10204606270号)、第8条第2項の規定を除き(経審字第10204606280号)、その他の条文はいずれも即日施行された。今回の許可規則の改正内容は、今後の中国資本による台湾での投資方式に極めて大きな影響を及ぼすものである。今回の改正の重点を以下に要約する。
1. 許可規則では、第8条第2項が追加され、「(中国資本の)投資家が自由経済モデル地区のモデル事業に投資する場合、国家の安全に関わらないものについては、主管機関が中央目的事業主管機関及び関連機関と協議し合意を得れば、その投資する業種別項目、限度額及び投資比率はポジティブリストの規定による制限を受ける必要はない。主管機関は投資家のモデル地区における投資申請案件に関し、中央目的事業主管機関及び関連機関、学者、専門家を招集して会議を開き、審査することができる」と規定された。この改正条文は、自由経済モデル地区を推進する行政院の政策方針に合わせ、経済部に特別に権限を移譲し、その他の中央目的事業主管機関と協議して、自由経済モデル区について、経済部が2012年12月25日に公布した「中国地区住民による台湾地区での投資の業種別項目(「大陸地区人民来台投資業別項目」)」の業種基準分類(「行業標準分類」)及び会社商会営業項目コード対照一覧表(「公司行号營業項目代碼對照一覽表」)とは異なる投資項目リストを独自に制定することができるようにするものであり、中国資本投資家の台湾での投資項目に係る規制を緩和するとともに、プロジェクト審査の方式を通じて中国資本投資家の自由経済モデル地区における投資申請の審査速度を加速する。
2. 許可規則では第8条第3項が改正され、主管機関に権限を委譲し、中国資本投資家の投資運営が経済面において独占、寡占、壟断的な地位を占め、台湾の政治、社会、文化面におけるデリケートな部分にかかわり、国家の安全に影響を及ぼし、又は国内の経済発展若しくは金融の安定に不利な影響を及ぼす場合、経済部はその投資許可を取り消すことができる、と規定された。この規定は、当初誤って許認可した中国資本による台湾での投資案件を事後に取り消すことができるよう経済部に権限を与え、新たに法的な管理・規制手段を追加するものである。
3. 許可規則では第9条第3及び4項が追加規定され、「投資家がその投資を譲渡するとき、譲渡人及び譲受人は共同で、第1項規定の書類を添付して、主管機関に許可を申請しなければならない。投資家による譲渡が国家の安全又は公共の利益に影響を及ぼすと主管機関が認める場合は、当該譲渡を許可しないことができる。投資家が台湾地区に住所又は営業所をもたない場合、第1項及び第4項の申請は、公認会計士又は弁護士に委任して処理しなければならない」とされている。第9条第3項には、中国資本投資家が投資を譲渡するとき、譲受人と共に経済部投資審議委員会(以下「投審会」)に許可を申請する必要がある、と明確に規定されている。また、第9条第4項には、中国資本投資家が台湾に住所又は営業所をもたない場合は、投審会が当該投資家と連絡を取ることができないという問題が生じないよう、公認会計士又は弁護士が代理で申請しなければならない、と規定されている。
4. 許可規則第11条第1項には「払込資本額が3000万新台湾元以上に達する中国資本投資事業者は、毎会計年度終了後6ヶ月以内に、公認会計士による監査済み財務諸表、株主名簿その他指定された資料を主管機関に提出し、検査を受けなければならない」と規定されている。これまで投審会は「原許可規則第11条第1項は、中国資本投資企業を台湾企業よりも優遇している」との批判を常に受けていたため、経済部2001年12月12日商字第09002262150号解釈通達の「我が国の会社で、払込資本額が3000万新台湾元以上に達するものは、その財務諸表につき、まず公認会計士による監査を受けた後、株主の同意又は定期株主総会の承認を求めなければならない」とする規定を参考に、払込資本額が3000万新台湾元以上に達する中国資本投資事業者に対しても、その財務諸表につき公認会計士による監査を受けるよう規定した。
5. 許可規則第11条第2及び3項には「主管機関は、必要があれば、投資家が投資する事業者に、前項の財務諸表、株主名簿その他指定された資料を提出するよう命じることができる。主管機関は、投資家が投資する事業者の経営状況又は活動を定期的に調査することができる。主管機関は、前2項の資料を調査するため又は投資家が投資する事業者の経営状況又は活動を把握するため、必要があれば、単独で又は関連機関と共同で、調査のために人員を派遣することができ、投資家が投資する事業者はこれを回避、妨害又は拒絶することができない」と規定されている。前述の規定は、投審会に行政調査権を付与することで、中国資本による台湾での投資事業の実際の運営状況を確実に把握し、中国資本企業が許可を受けた営業範囲を超えて事業活動を行うリスクを低減する。