ニューズレター
所得税法に租税回避条項2条が新たに追加され2015年から施行予定
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立法院が2013年4月1日に「一読」(※台湾の立法手続。一読、二読、三読と続く)で通過させた所得税法改正草案には、財政部から提案された2条の租税回避条項が新たに追加されている。その重点について、以下に説明させていただく。 |
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1. |
所得税法第43条の3:被支配外国法人(Controlled Foreign Corporation、CFC) |
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2015年会計年度から、台湾の会社が税負担の低い地域(法人所得税率が5.1%以下の法域)で登記している外国の関係企業を直接又は間接的にコントロールしている場合、当該関係企業の当年度利益を台湾の会社が保有する資本比率に応じて、台湾の会社の当年度の投資収益に計上し、当年度の課税対象所得額に加算しなければならない。また、関係企業とは、「会社法」(「公司法」)関連規定により認定する。 |
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2. |
所得税法第43条の4:実際管理場所(PEM) |
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2015年会計年度から、外国の法律に基づいて設立されるものの、実際の管理場所(PEM)が中華民国国内にある外国の会社は、本社が中華民国国内に設立されている営利事業者とみなされ、所得税法の関連規定に基づいて所得税が徴収される。実際の管理場所(PEM)とは、当該会社が主要な管理及び商業上の決定を実際に行う場所を指す。 |
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3. |
当所の現時点での分析・評価 |
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外国子会社条項に関し、現行の法規によれば、台湾の会社は、その外国関係企業が実際に配当を行うときに、それを課税所得額に計上しなければならない。したがって、いくつかの台湾企業は、その国外所得を外国関係企業に留保することによって、台湾での納税負担を繰り延べている。但し、今回の改正草案で追加された条項の施行に伴い、台湾企業はその国外所得につき台湾での所得税負担を繰り延べることができなくなり、これらの国外所得を当該所得の生じた年度にその課税所得額に計上しなければならなくなる。これにより、台湾企業の所得税負担は増加することになる。 |
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実際の管理場所(PEM)条項について、現行法では、外国企業はその中華民国由来の所得部分についてのみ中華民国所得税法の規定により所得税を納付する。しかし、新条項の施行に伴い、外国企業の実際の管理場所(PEM)が台湾に設けられているとみなされれば、当該外国企業は所得税法適用上、中華民国営利事業者とみなされることになるため、その世界中の所得について中華民国所得税法の規定により所得税が計算され、これを納付しなければならなくなり、その税引き後の純利は減少することになる。 |
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上記2つの条項は、立法院の「三読」で可決されて、はじめて立法手順が完了し、正式に所得税法に追加規定される。「一読」は通常多くの時間が費やされ、また追加規程の内容も変更される可能性があるため、当所では本件の今後の展開ならびに各機関や部門から出される情報を注視していく。 |
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