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台湾公平交易委員会のパテントプール(Patent Pool)に対する態度に変化



現代のハイテク産業で、競争上の優位を確保するため、研究開発資源を大量に投入し、ライバルに先駆けて「キラー製品」を創造することを望まない者はない。しかしながら、往々にして、必ずしも研究開発した技術が商品化に成功するとは限らないため、産業界は時に企業間の資源を整理統合して共同研究開発を行うことによって、リスクの低減をはかる。このほか、技術が密集する現代の競争環境下において、1つのの最終製品には往々にして数百件の特許が含まれており、製品メーカーは数多くの特許権者と効率的にライセンス契約を締結することを求めているため、業界ではしばしばパテントプール(Patent Pool)方式で特許使用許諾が行われている。

いわゆるパテントプールとは、多数の特許権者が特定製品の製造に必要なエッセンシャル特許(essential patents)を集めて、一括して使用許諾を行うことをいう。このような取引モデルは、特許権者及びライセンシーの双方にとって、取引コストの削減という目的を達成することができるため、各産業界で広く行われている。たとえば、MPEG LA及びVIA Corporationはいずれも有名なパテントプール管理会社であり、MPEG LAは現在さらに8つもの異なるパテントプールを管理している。

しかし、台湾の競争法主務官庁である公平交易委員会(※日本の公正取引委員会に相当)の、パテントプールについての競争法上における見解及び処理方式は、最初から開放的な態度というわけでは決してなかった。2001年に公平交易委員会は、CD-R特許についてフィリップス(Philips)、ソニー(Sony)及び太陽誘電のメーカー3社間で形成されたパテントプールに対し、「公平交易法」(※日本の「不正競争防止法」、「独占禁止法」の合体である)第14条の連合行為及び第10条の違法独占の禁止規定に違反すると認め、行政処分を行っており、10年近くもの間、当該案件はある意味ずっと、台湾政府筋のパテントプールに対する基本的な態度、即ち原則として許可しないとする傾向を体現してきた。

但し、このような趨勢は、20124月に公平交易委員会がBlu-ray Disc製品に関するパテントプールを処理したときに変化した。日立製作所(Hitachi)、パナソニック(Panasonic)、フィリップス、サムスン電子(Samsung)、ソニー及びサイバーリンク(CyberLink)などの6社が、台湾でBlu-ray Disc製品を製造するのに必要なエッセンシャル特許に関する管理・サービスを行うOne Blueという名のパテントプールを公平交易委員会に申請し、公平交易委員会はこれに対して肯定的な見解を示し、One Blueパテントプールの運営を許可した。このほか、2012年末、フィリップス、パイオニア(Pioneer)、ソニー及びLGは、台湾でDVD関連製品に必要なエッセンシャルエッセンシャル特許を扱うOne Redという名のパテントプールを公平交易委員会に申請し、公平交易委員会は20131月に速やかに審決を下し、台湾におけるOne Redパテントプールの運営を許可した。

パテントプールが許可された最近のこれら2事例に基づいて、公平交易委員会がパテントプールに関する申請案を処理する際に開示した関連する審査基準をまとめ、分析する。

1.    

使用許諾特許はエッセンシャル特許でなければならず、かつ、独立した専門家による審査メカニズムにより確認する

    

公平交易委員会は、パテントプールに含まれる使用許諾特許はエッセンシャル特許でなければならない、と認めている。しかし、1つのパテントプールがかかわる使用許諾特許リストはややもすれば百件、千件を数え、しかも技術の不断の発展、進化に伴い、この数百件、数千件の特許は常に変化し入れ替わっており、古くなった又は期限切れの特許は取り除かれ、新しい特許が随時組み込まれている。したがって、誰が、いつ、どのような手続き又はメカニズムに基づいて、これらの絶えず変動し続ける使用許諾特許について、エッセンシャル特許であるか否かの評価を行うのかは、重要な課題である。特に、主務官庁である公平交易委員会は、パテントプール申請案を審査するとき、エッセンシャルエッセンシャル特許評価の過程に自身も関わるのか? もし行政主務官庁が自ら審査する必要があるのならば、何千という特許11つを全て審査するのか? あるいは抽出して審査するのか? もし抽出して審査するのならば、どのように抽出するのか? 抽出比率はどのように決定するのか? かつ、新しい特許が絶えず生み出されてパテントプールに組み入れる必要があるとき、既に主務官庁の許可を受けているパテントプールは、新しい特許が新たに組み入れられたことを受けて、改めて主務官庁に書類を送り審査を受ける必要があるのか? このように、パテントプールの運営が不確定で流動的な情況は、パテントプールの効率に影響を及ぼし、かつ、パテントプール形成の目的を阻むのではないか?

    

以上のことから、使用許諾特許を全てエッセンシャル特許とするようひとたび要求すれば、これに伴って関連する行政審査問題が浮上してくることがわかる。幸運にも公平交易委員会はこれら2つのパテントプールの案件において、アメリカ及びドイツの制度を参考に、「行政主務官庁は、プール内の特許が必須性を備えているか否か自ら審査する必要はなく、単に、パテントプール内部の自らエッセンシャル特許を選択する内部審査メカニズムを審査するにすぎない」と認めた。審査の客体を各「特許」自体からパテントプールの内部審査「メカニズム」に変更したことは、確かに公平交易委員会の審査効率を大いに高め、パテントプールの運営にそれが本来有すべき活性及び弾性を与えた。これは、我が国のパテントプール実務見解に関する重要な進展と言える。具体的な個別案において、公平交易委員会がエッセンシャル特許審査のメカニズムをどのように認定するかについて、前記2つの案件における経験は重要な参考価値を有する。公平交易委員会は、「審査する者は独立した専門家であり、独立した専門家の意見は会社経営者の決定よりも高いステータスを有し、独立した専門家の報酬は時間で計算され、かつ、その報酬の支給はそれが作成する意見の結論と無関係である、といった要素は、公平交易委員会がパテントプールの内部審査メカニズムを認めるプラス要素となる」と認めている。

2.    

パテントプールは開放型でなければならず、閉鎖型であってはならない

    

競争制限の懸念を減らすため、パテントプールはエッセンシャル特許を保有する特許権者全員に開放しなければならず、特定の特許権者のみに限定してはならない。したがって、パテントプールの関連内部契約は、段取り上、開放型の設計を特別に維持しなければならない。

3.    

使用許諾特許中の、既に期限が切れた又は無効認定を受けた特許を定期的に削除しなければならない

    

パテントプールは、使用許諾特許リストの健全性を定期的に審査し、整理しなければならず、期限が切れた及び無効認定を受けた特許を削除することによって、ロイヤリティを受け取る正当性を維持する。

4.    

パテントプール内のライセンサー間で機密情報を交換してはならない

    

異なるライセンサーは市場及び特許使用許諾業務についてもとより異なる程度の機密情報を所有している可能性があり、競争制限の懸念を生じることのないよう、ライセンサーはパテントプールに加入したからといって機密情報を交換してはならない。

以上をまとめると、公平交易委員会は前記2件のパテントプールに係る案件を処理することによって、客観的で予測可能な審査手続及び基準を既に確立しており、台湾におけるパテントプールの運営についての重要な意思表示、示唆といった意義を有していることは間違いない。しかし、前記2つの案件はいずれも結合申請の法律義務を有するため、結合案件申請の方式で公平交易委員会に提出することによって、同時に、結合事業者が将来運営する予定のパテントプールの業務についても審査を受けることができる。将来、結合申請と無関連のパテントプールについてどのように処理すべきかは、依然として公平交易委員会のさらに一歩踏み込んだ事例展開を待たなければならないようである。

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