ニューズレター
「公平会」が国内三大工業用紙供給業者による連合行為を処罰
国内の工業用紙価格が最近何度も値上げされたことについて、行政院公平交易委員会(「公正取引委員会」に相当。以下、「公平会」)は、先ごろ、この件について自発的に立案し、職権で関連調査を行った。そして、2010年4月14日の第962次委員会議において、「国内三大工業用紙供給業者である正隆股份有限公司、栄成紙業股份有限公司及び永豊餘工業用紙股份有限公司が2009年11月~2010年3月までの間に連合して工業用紙価格の値上げを行い、『公平交易法』(※日本の「不正競争防止法」、「独占禁止法」の要素が含まれる)第14条の連合行為の禁止規定に違反する」と認め、正隆股份有限公司に500万台湾元、栄成紙業股份有限公司に300万台湾元、永豊餘工業用紙股份有限公司に200万台湾の罰金を科す旨の決議を行った。 |
「公平会」は「これら3社の工業用紙業者の一級工業用紙原紙の供給市場における市場占有率は合計で90%にも達している。最近、古紙の価格上昇により、工業用紙価格もコスト上昇を理由に調整されたが、当該3社が足並みを揃えて工業用紙価格の引上げ調整を行ったことは、古紙価格のコスト上昇を反映したものを超えており、これは、明らかに「国際競争価格」から見た上げ幅の趨勢から背離している。しかも、今回の価格調整は、前回2007年の調整方式、速度及び上げ幅などとは、いずれも異なっており、これまでの産業界の慣習とは異なっている。このほか、今回の価格調整期間の当該3社の古紙の実際買い付けコストと営業比率を比較すると、そのコスト上の圧力及び国内、国外販売比率には、明らかに一定の差異があるにもかかわらず、当該3社の価格調整が調整時点も上げ幅も同じで、かつ、いずれも今回の工業用紙の価格に対する調整という点で一致したことを説明できる合理的な事由を提出することができない。これは、価格競争を回避するために工業用紙価格の引上げ調整に共同合意し、不当な連合による利潤確保を共謀して図ったものにほかならない」としている。 |
また、「公平会」が工業用紙の下流である段ボールシート製造会社から関連資料を取り寄せて比較した結果、当該3社が同時に下流の段ボールシート製造業務、及び更に下流の段ボール箱製造業務を運営する、高度な垂直統合業者であることを発見した。また、正隆と栄成所属の下流工場の段ボールシート生産量の計算によれば、下流の段ボール箱業者の市場全体の使用量は、依然として約20%の段ボールシートを正隆と栄成所属の段ボールシート工場からの供給に頼らなければならず、垂直統合業者は市場競争において統合による経済利益を有するべきであるのに、、正隆と栄成所属の段ボールシート工場の毎月の付け値時点は互いに近く、価格にもほとんど差がなく、しかも、その他の同業者の価格と比べて、明らかに競争性を具えないほど高すぎる。正隆と栄成の段ボールシートの価格、量を見れば、2社がその上下に統合された優位な連合を利用して段ボールシート価格を操作し、市場価格及び需要供給機能に影響を及ぼしていることがわかる |
「公平会」は、さらに一歩踏み込んで、処分を受けた者の資力、行政法上の義務に違反する行為が受けるべき非難の程度、生じた影響及び行政法上の義務に違反して得られた利益などを考慮して、正隆公司に500万台湾元、栄成公司に300万台湾元、永豊餘公司に200万台湾元の罰金を科した。このほか、「公平会」は、連合行為が市場に及ぼす害は、その他の違法類型に比べてより確実に証明することができるため、工業用紙産業の各階層の業者は市場メカニズムを尊重し、公正な競争を維持するよう、注意を促した。 |