ニューズレター
「個人資料保護法」改正
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立法院は2010年4月27日に「電脳処理個人資料保護法(「コンピューター処理による個人情報保護法」)」の改正を可決し、並びに法規名称を「個人資料保護法」(「個人情報保護法」)に改めた。これは「電脳処理個人資料保護法」が1995年に可決、施行されて以来、初めての、かつ大幅な改正である。今回の改正の主な内容には、全ての非公務機関を、その業種を問わず、「個人資料保護法」の適用対象に入れる、個人情報の範囲の拡大、当事者から提供されたものではない個人情報の処理方法を新たに規定、民事賠償額の制限、及び公益団体代表訴訟の導入などがある。 |
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新たに改正された「個人資料保護法」によれば、全ての公務機関と非公務機関はいずれも「個人資料保護法」の規範を受けなければならない。原「電脳処理個人資料保護法」では、公務機関、当該法に列挙されている調査会社などの8大業種、及び法務部が公布した非公務機関のみが、「個人資料保護法」の規範を受けていた。「個人資料保護法」の改正、可決後、全ての非公務機関(自然人、法人を含む)又はその他の団体が、「個人資料保護法」による拘束を受けなければならず、同時に、「まず事前にライセンスの取得と登記を行う必要がある」とする元来の規定を削除した。 |
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新たに改正された「個人資料保護法」では、個人情報の範囲を拡大し、パスポート番号、医療、遺伝子、性生活、健康検査、犯罪歴(前科)、連絡方法及びその他の直接又は間接的な方法で個人を識別することのできる情報は、全て個人情報の範囲に入れられている。法律の規定に合致する場合を除いて、何人も、医療、遺伝子、性生活、健康検査、犯罪歴(前科)などの個人情報を収集、処理又は利用してはならない。たとえ法により上記個人情報を収集、処理又は利用できるとしても、中央目的事業主務官庁及び法務部が定めた情報収集、処理又は利用の範囲、手続き及びその他遵守すべき事項に係る規則を遵守しなければならない。 |
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公務機関及び非公務機関が当事者から個人情報を収集するときには、その名称、収集の目的、個人情報の類別、個人情報を利用する期間、区域、対象及び方法、当事者が行使することのできる権利及び方法、並びに、情報不提供によりその権益に及ぼす影響を知らせなければならない。当事者から個人情報が提供されたわけではない場合、公務機関及び非公務機関は個人情報を処理又は利用する前に、上記の告知事項のほか、原則として、当事者の情報の入手先を知らせなければならない。個人情報の使用については、原則として、当事者の同意を得なければならないが、個人情報の使用が公共利益に関するものであり、又は個人情報は一般的情報源から入手したものであり、かつ当該情報の使用によって個人情報の保護よりも大きな利益が得られる場合には、この限りではない。この例外規定は報道の自由を保障するために定められたものである。 |
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もし不法な収集、処理、利用又はその他の当事者の権益を侵害する情況があれば、たとえ当事者がその実際の損害額を証明することができない場合でも、当事者は裁判所に対し侵害情況により、1人1事件につき500台湾元以上2万台湾元以下の範囲で損害賠償を算定するよう請求することができる。同一の理由や事実により多数の当事者の権利が侵害を受けた事件については、その合計損害賠償額は最高で総額2億台湾元であるが、当該事件に関わる利益が2億台湾元を超える場合には、当該利益をもって損害賠償額の上限とし、この場合1人あたりの最低賠償額を500台湾元とする制限を受けない。当事者の権利行使につき、当事者は、訴訟実施権を財団法人又は公益社団法人に与えて、当該これらの法人に「個人資料保護法」違反者に対して、訴訟を提起し、損害賠償を請求させることができる。 |
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改正された「個人資料保護法」の施行日は、行政院が定める。施行後、各企業は個人情報を保有する際、適切な安全措置を講じて、個人情報の窃取、改ざん、破損、滅失又は洩漏を防止しなければならない。したがって、各企業は、適切に個人情報を保有していなかったがゆえに、法律上の責任を負わなければならないような事態に陥らないためにも、個人情報の収集、処理及び利用について関連規定を定めるのが望ましい。 |