ニューズレター
使用許諾を受けた製造業者が製造した不良品の販売は商標法に違反せず
|
商標権者はその業務上の信用を守るため、商標権者の品質管理要件を満たさない不良品について、自ら比較的低価格で市場に流通させるほか、通常、かかる不良品が不用意に市場に出回ることのないよう、自ら又は特定の業者に依頼して、かかる不良品を破棄する。しかしながら、破棄されるべきであるにもかかわらず破棄されずに、あろうことか、市場に出回ってしまったという情況を耳にすることがある。破棄されるべきであるにもかかわらず破棄されなかった不良品の販売が商標法に違反するか否かについては、裁判所の見解もかなり分かれる。 |
|
士林地方裁判所1994年刑事判決(83年度易字第1733号)は、「商標使用許諾を受けた製造業者の製造したもので、破棄されるべきであるにもかかわらず破棄されなかった不良品を販売することは、商標法に違反しており、商標権侵害を構成する」と判示している。 |
|
しかし、台北地方裁判所2004年刑事判決(93年度易字第1667号)は、「商標権者の同意を得て商標を商品に使用しており、商標権者が事後、当該商品の販売に同意しているか否かにかかわらず、当該商品が商標権者の同意を得ずに商標を使用する権利侵害商品ではない以上、たとえ当該商品が不良品であろうとも、当該商品の販売は決して商標権侵害を構成するものではなく、商標法第81条の『使用許諾を受けずに商標を使用する罪』又は商標法第82条の『使用許諾を受けずに商標を使用する商品を販売する罪』に係る規定に違反しない」と判示している。 |
|
基隆地方裁判所2009年刑事判決(98年度易字第414号)も、台北地方裁判所の前記の2004年刑事判決と同じ見解を採用し、並びに、「いわゆる『真正品』であるか否かは、当該商品が商標権者又は商標権者に代わって商品を製造する製造業者の生産ラインによって製造、生産された商品であるか否かをもって判断しなければならず、当該商品が既に商標権者又は工場の内部チェックを通っているか否かに至っては、外部の者が商品の外観から知り得るものではない以上、問われるべきではない」と強調している。 |