ニューズレター
最高裁判決-全取締役の任期満了前の改選は特別決議を経る必要がない
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「公司法」(「会社法」)の規定によれば、株主総会は取締役の任期満了前に、決議を経て取締役全員を改選することができ、かつ、取締役は任期満了となってはじめて解任される旨の決議をしなかった場合、任期満了前の解任と見なされる。決議方式について、経済部は解釈通達で「株主総会がこの規定により行う決議は、全取締役の任期満了前の改選に係る議案であり、全取締役の解任に係る議案ではないため、特別決議を経る必要はない。したがって、その株主出席の定足数は一般の取締役選挙と同じであり、発行済み株式総数の過半数を代表する株主が出席し、取締役選挙規定によりこれを選任しなければならない」との見解を示している。 |
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しかしながら、高等裁判所2009年判決上字第446号は、経済部の解釈通達とは相反する見解を採用し、「会社が任期満了前に取締役、監査役を改選する場合、株主総会の特別決議を経なければならない」と判示している。この高等裁判所の判決は多くの議論及び紛争を引き起こしたが、最高裁判所が2009年民事判決台上字第2261号で前記高等裁判所判決を破棄し、「会社が任期満了前に取締役、監査役を改選する場合、特別決議を経る必要はない」ことを確認して、ようやくこの論争に決着がついた。最高裁判所の主な見解は次のとおりである。 |
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一、 |
全取締役の任期満了前の改選に係る規定の立法趣旨は、株主総会が取締役の任期満了前に取締役を改選するときの、新旧取締役の任期の問題を明らかにするためであり、取締役の選任又は解任の方法を規定するものではない。また、任期満了前の改選は、より慎重な特別決議を経なければならないことを強調するものではなく、又は株主総会で全取締役の改選を決議する場合には、まず先に取締役解任の決議を行う必要があることを強調するものでもない。 |
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二、 |
立法体系から見ると、本件につき「公司法」は、任期満了前に全取締役を改選する場合の現任取締役の任期最終日を規定するものであり、任期満了前に全取締役を改選する場合、その解任に際しては特別決議を経る必要があるとする決議方法の規定を遵守しなければならないことを規定するものではない。 |
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三、 |
会社と取締役、監査役との関係は委任関係であり、取締役、監査役の任期が満了すれば、会社との委任関係は既に存在しない。また、「公司法」には、取締役の解任に関して、「決議解任」及び「当然解任」の2種類が設けられている。「公司法」に「任期満了前の解任と見なす」と明確に規定されている以上、当然、全取締役の改選前に、まず全取締役の解任を決議する必要はなく、その解任の性質は法定の「当然解任」の1種であり、「決議解任」ではない。 |
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四、 |
全取締役及び監査役の改選は取締役及び監査役の解任と意味合いが異なり、当然、改選前に、まず先に特別決議を経て全取締役、監査役を解任する必要はなく、ただ、全取締役及び監査役を選任する方式をもって、発行済み株式総数の過半数を代表する株主が出席してこれを選任する必要があるだけである。株主総会が取締役の任期満了前に、全取締役及び監査役の改選を任意で決議した場合については、任期満了前に解任されたと見なされる取締役、監査役はなお民法の委任規定により損害賠償を請求することができないわけではない。 |
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