ニューズレター
「声明不専用審査基準」及び「依職権声明不専用例示事項」公告
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2004年5月1日に改正、施行された「声明不専用審査要点」(「専用権放棄声明審査要点」)は施行から現在に至るまで既にかなり時間がたっており、且つ箇条書きの方式で記され、内容が簡素化されているため、商標審査官は実務運営時に常々、あまり参考にならないと感じていた。そこで智慧局は2009年11月16日に「声明不専用審査基準」(「専用権放棄声明審査基準」)を公布し、並びに、当該基準は、長年実施されてきた「声明不専用審査要点」に代わって、2010年1月1日から発効した。また、新たに施行された「声明不専用審査基準」と抱き合わせて、智慧局は2009年12月20日に「依職権声明不専用例示事項」(「職権により専用権放棄を声明する事項の例示」)を公布し、国際分類第1~45類でよく見られる専用権放棄声明事項を例示した。審査官は、審査時にそこに記されている関連例示事項を参照して、職権により商標登録出願者のために当該部分につき専用権放棄の声明を行うことができるか否か認定し、且つ登録公告に注記することができる。 |
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「声明不専用審査基準」は「声明不専用審査要点」を基礎とし、並びに、近年、専用権放棄声明制度の我が国での実際の運用情況及び国際商標理論と実務の進展を参酌して、専用権放棄声明制度の理論の内容を充実させ、専用権放棄を声明すべきか否かの情況を明記し、例示する事例の具体的な説明を強化し、声明形式を明確に定めることによって、実務作法の合理化及び一致を図った。また、専用権放棄声明の規範目的が主に商標権の権利範囲をめぐる紛争の防止にあることを考慮すると、紛争を引き起こさない情況下で、智慧局は職権により専用権放棄を声明する方式を通して、審査手続きを簡素化し、効率を高める。 |
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「声明不専用審査基準」の主な内容は次のとおりである。 |
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1. |
専用権放棄声明制度は、審査手続きにおいて商標権紛争が生じ得る情況について、かかる紛争を予防する行政措置にしかすぎず、登録商標が特定の事項について専用権放棄を声明するか否かは、後日、それが識別性を具えるか否かを判断する唯一の依拠ではない。 |
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2. |
「文字がデザインされている場合、デザインされていないもともとの文字について専用権放棄を声明しなければならない」という統一された声明形式を修正し、「商標図案中」などの文字を刪除し、且つ「デザインされていない」という用語を使用せず、文字のデザインの程度を問わず、専用権放棄を声明するものはいずれもデザインされていないもともとの文字である。 |
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3. |
商標全体が識別性を具えないとき、それは商標図案全体が商品又は役務の供給元を識別する標識とすることができないことを意味し、たとえ図案全体又は図案中のある一部分の専用権放棄の声明をしたとしても、商標全体は依然として供給元を識別する機能を具えないため、専用権放棄は認められない。例:「72%SOAP SHOP手工皂坊」(「72%SOAP SHOP手造り石けん工房」)。 |
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4. |
商標中に公衆に商品又は役務の性質、品質又は産地を誤認・誤信させるおそれのある事項が含まれる場合、出願人がたとえかかる事項につき専用権放棄を声明したとしても、消費者が当該商標を目にした際には依然として誤認・誤信を生じることを免れないため、専用権放棄を声明することによって登録を受けることはできない。但し、もし、公衆に商品又は役務の性質、品質又は産地を誤認・誤信させる虞のある部分を削除しても、商標の実質的な変更を構成せず、且つ商標の同一性に影響を及ぼさないのであれば、申請人に当該部分を削除するよう要求し、当該部分が削除された後、登録を許可することができる。 |
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5. |
®及びTMのロゴは、それ自体は商標の一部分ではないため、削除されなければならず、これらのロゴが削除されてからはじめて登録を受けることができる。 |
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6. |
1つの商標で複数の分類について商標登録出願を行う出願案につき、もし商標図案中の特定事項が一部の分類においてのみ説明的である又は識別性を具えないのであれば、かかる特定の分類について専用権放棄を声明することができる。その場合、特定の分類において専用権放棄を明記する。 |
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7. |
商標図案中の一部の事項が説明的であるか否か又は識別性を具えない情況を有するかは審査時を判断時点とするものである。もし、後から出願された商標登録出願案(以下「後願」と略称する)が、既に商標登録されている文字を商標図案の一部分とし、且つ先行出願は当該文字を説明的である又は識別性を具えないことを理由に専用権放棄を声明していないものの、「後願」の審査時の客観的な事実証拠によれば、当該文字は確かに説明的である又は識別性を具えないという情況を有し、或いは当該文字が「後願」においてその他の文字と結合して一緒に使用され、当該文字自体は既に商標図案の主要な識別部分ではなく、商品又は役務の関連説明でしかない場合には、「後願」は依然として専用権放棄声明の方式を以って登録を受けることができる。商標権者又は第三者は、先行出願が既に登録許可を受けている又は専用権放棄を声明していないという事実のみを以って争うことはできない。これに反して、説明的又は識別性を具えない部分が先行出願において専用権放棄を声明することによって登録を受け、その後、もし当該部分が使用を通じて識別性を獲得し、商標権者が別案でこれを商標として出願を提出するのであれば、商標法第23条第4項の規定により登録を受けることができ、先行出願の専用権放棄声明の拘束を受けない。 |
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8. |
商標の類似を判断する際、商標図案につき、全体的に観察する必要がある。専用権放棄を声明する部分が含まれた場合、判断時に当該部分につき若干注意が払われるか又はほとんど無視されるが、依然として、個別案の具体的な情況によっては、混同誤認の虞を有するか否かの判断に影響を及ぼす可能性がある。故に、専用権放棄の部分があったとしても、、当該部分は商標が類似するか否かの判断に影響を及ぼす可能性がある。 |
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