ニューズレター
FTCがCD-Rライセンシーによる市場地位濫用を決議
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行政院公平交易委員会(「公正取引委員会」。Fair Trade Commission、以下「FTC」)は先日、当該委員会が以前に行った処分、即ち、オランダ企業フィリップスエレクトロニクス社(以下「フィリップス」)、日本企業ソニー株式会社(以下「ソニー」)及び日本企業太陽誘電株式会社(以下「太陽誘電」)らが権利金価格を不当に維持し、「公平交易法」(※日本の「不正競争防止法」、「独占禁止法」の要素が含まれる。)に違反するとして下した処分が、2001年11月に行政裁判所によって取り消され、2009年には、最高行政裁判所によって同委員会の上訴及び再審請求が却下された案件につき、重ねて立案処理を行い、依然として「フィリップスなど3社は、『オレンジブック』標準規格を制定し、共同ライセンス方式で、CD-R光ディスク市場において独占的地位を獲得し、市場の事情が著しく変化した状況においても、権利金計算方式を不当に維持し、ライセンス契約の対象に関する重要な取引情報を提供することを拒み、メーカーが特許の有効性について異議を申し立てることを禁止している。かかる行為は市場地位を濫用する行為に属し、『公平交易法』第10条第2号及び第4号の規定に違反する」と決議し、フィリップスに350万台湾元、ソニーに100万台湾元、太陽誘電に50万台湾元の罰金をそれぞれ科した。 |
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FTCは、「本案は8年余りもの行政救済手続きを経て、FTCの処分を取り消す台北高等行政裁判所の判決を最高行政裁判所が最終的に維持し、FTCの再審請求を却下した。しかし、台北高等行政裁判所及び最高行政裁判所の判決主旨によれば、FTCがフィリップス等の地位濫用・独占の事実に関し行った調査については、その多くを認めている。台北高等行政裁判所がFTCの処分を取り消し、最高行政裁判所がFTCの提起した上訴及び再審請求を却下する判決を下した理由は以下の3つである。 |
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一、 |
フィリップスなど3社がFTCの特定する『CD-R光ディスク技術市場』において提供する特許技術は代替性を具えないため、競争関係が存在せず、『公平交易法』第14条の規定違反は成立しない、 |
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二、 |
フィリップスなど3社は、1999年2月5日の『公平交易法』第10条第2項の刪除改正発効前に、FTCによって独占的事業者として公告されておらず、当該3社の違法行為の一部は1999年2月5日より前の行為であり、地位濫用独占行為の禁止に係る非難を受けない、 |
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三、 |
罰金の裁量には、瑕疵がある。 |
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しかしながら、FTCは、「フィリップスらは、1999年~2001年初めにかけて、世界のCD-R光ディスク市場の規模が大幅に成長し且つ市場の需給が著しく変化していた状況においても、権利金の計算方式の調整を求めるライセンシーからの請求を拒絶しており、フィリップスらのかかる行為は、『公平交易法』第10条第2号の規定に違反する。また、フィリップスらがライセンシーと締結したCD-R光ディスク技術ライセンシング契約は、係争ライセンシング契約の対象の内容、範囲及び特許の有効期限等の重要な取引情報について全く開示しておらず、また、メーカーが特許の有効性について異議を唱えることを禁止するなど、市場における優位な立場を濫用する行為は、『公平交易法』第10条第4号の地位濫用独占を禁止する規定に違反する」と認め、その違法行為の動機、目的及び予期され得る不当な利益、並びに違法行為が取引秩序に及ぼす危害の程度、違法行為が取引秩序を害した継続期間、並びに違法行為によって得られた利益、並びに事業の規模、経営状況及びその市場における地位、並びにその違法の形態がかつて中央主務機関によって指導修正又は警告を受けたものか否か、並びにこれまでの違法形態、回数、その時間的な間隔及び受けた処罰、並びに違反後の改悛の状及び調査協力等の態度、並びにその他の要素を斟酌し、同法第41条前段の規定により、フィリップスに350万台湾元、ソニーに100万台湾元、太陽誘電に50万台湾元の罰金をそれぞれ科した。FTCが本案について2001年に当該3社それぞれに科した罰金は、フィリップスが800万台湾元、ソニーが400万台湾元、太陽誘電200万台湾元である。 |
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