ニューズレター
「専利法」改正中
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我が国の経済力及び産業競争力を向上させ、バイオテクノロジー、グリーンエネルギー及び精密農業などと大いに関連する国内の重要な産業の発展を推進し、専利(※中国語の「専利」には発明特許、実用新案、意匠の意味が含まれるため、以下、「専利」と原文表記する)審査の質の向上というニーズを満たすため、智慧財産局(※台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当)は数年前から各項の専利改正議題を検討しており、2006年から次々と15回の公聴会を開いて各界の意見を広く集めてきた。これらの意見をとりまとめた結果、現行の専利制度は再改正の必要ありと認め、智慧財産局は2009年2月から再度、8回の公聴会を開き、並びに「専利法(※日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)改正草案」を作成し、2009年8月3 日、経済部に提出して審査を要請した。本草案の改正要点は次のとおりである。 |
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一、 |
創作の定義を明確に規定 |
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創作は、発明、実用新案及び意匠の上位概念であり、創作が「実用新案」又は「意匠」であると誤解されるのを避けるため、且つ現行法において「創作」という用語の使用が統一されていないという問題を解決するため、発明、実用新案及び意匠を創作の類型として並列する。(改正条文第1条) |
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二、 |
意匠の名称を「新式様専利」から「設計専利」に変更 |
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各国の立法例を参考にして、現行の「新式様」という言葉を「設計」に修正する。(改正条文第2条及び第123条) |
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三、 |
発明、実用新案及び意匠の「実施」の定義を追加規定 |
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「実施」には「製造、販売の申し出、販売、使用又はこれらを目的として輸入する」などの行為が含まれており、「使用」の上位概念に属する。そこで、現行法における「使用」及び「実施」の用語不一致という問題を解決するため、「実施」の定義を追加規定し、並びに関連条文の「実施」及び「使用」という用語を修正する。(改正条文第22条、第58条、第89条、第124条及び第138条) |
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四、 |
優遇期間の適用範囲の修正並びにその事由を追加規定 |
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自らの意思により刊行物に発表した場合、優遇期間の事由として主張できることを新たに追加し、並びに、新規性及び進歩性(意匠は創作性)を含むように優遇期間の適用範囲を修正する。(改正条文22条及び第124条) |
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五、 |
特許請求の範囲及び要約を明細書外に独立 |
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国際社会における立法動向に合わせて、現行の「明細書には特許請求の範囲及び要約が含まれる」という規定を、「特許請求の範囲及び要約は明細書外に独立させる」と改める。(改正条文第23条及び第25条) |
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六、 |
動植物特許の出願を開放 |
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国内のバイオテクノロジー産業の発展を促進するため、発明特許の標的として動植物を全面的に開放し、現行の条文、第24条第1号を削除する。 |
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七、 |
明細書、特許請求の範囲及び図面を外国語の文書で提出する場合の関連規定を追加 |
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「外国語で文書を提出する場合、当該外国語の文書を修正することはできない」旨明確に規定するとともに、誤訳訂正制度の規定を導入する(例:誤訳の訂正を除き、修正は、出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示されている範囲を超えてはならない。誤訳の訂正は、出願時の外国語の文書に開示されている範囲を超えてはならない)。また、外国語の種類の限定及び明記すべき事項を規定する規則の制定は、智慧財産局に授権する。(改正条文第25条、第43条、第44条、第69条、第108条、第112条、第127条、第135条、第141条及び第147条) |
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八、 |
復権関連メカニズムを導入 |
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創造革新を奨励し且つ研究開発の成果を保護するため、出願人又は専利権者が故意にではなく出願時に優先権を主張しなかったために優先権を主張しなかったと見なされた案件、或いは、期限内に専利年金を納付しなかったために専利権を失った案件につき、その権利回復の申請を認める。回復した専利権の効力は、もとの専利権が消滅してから専利権の回復が許可・公告される前に、善意で実施した者又は既に必要な準備を完了した者には及ばない。(改正条文第29条、第52条、第59条及び第72条) |
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九、 |
出願を分割する時点に関する制限を緩和 |
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発明特許の特許査定後の分割制度を採用し、出願人は初審の特許査定後30日以内に分割出願の申請をすることができる旨の規定を追加する。(改正条文第34条) |
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十、 |
審査中の補正制度の完備 |
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「補充、修正」という言葉を「修正」と改めて、出願人が自発的に修正を提出する場合の時間的制限を削除する。審査期間を長引かせることのないように「最終通知」制度を追加規定し、出願人は、専利主務官庁(智慧財産局)が最終通知を行った後は、通知された期間内においてのみ修正することができる。また、最終通知を受けた後に特許請求の範囲を修正する場合には、特定事項(請求項の削除、特許請求の範囲の縮減、誤記の訂正又は不明瞭な記載の説明)についてのみこれを行うことができる。違反した場合、専利主務官庁は直ちに審定することができる。(改正条文第43条) |
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十一、 |
医薬品又は農薬品の専利権権利存続期間の延長に関連する規定を修正 |
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医薬品又は農薬品の専利権権利存続期間の延長申請に関する制限を緩和し、現行の「許可証を取得するために発明を実施することのできない期間が、公告後2年以上でなければならない」とする制限を削除する。専利権権利存続期間満了前に延長が認められなかった場合、その専利権の効力は、もとの専利権権利存続期間満了日の翌日から既に延長されていると見なされる。発明特許の権利存続期間延長を認める範囲は、許可証に記載されている有効成分及び用途が限定する範囲のみである。(改正条文第53条、第54条及び第56条) |
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十二、 |
専利権効力の制限規定の改正及び追加、並びに国際的消耗原則採用の明確化 |
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専利権効力の制限については、改正後も、当該効力の及ばない事項として(1)商業目的からではない未公開の行為、(2)専利権者が第72条第2項の規定により専利権効力を回復し、公告前に善意で実施していた又は既に必要な準備を完了していたもの、(3)薬事法が定める薬物検査登記許可又は国外薬物販売許可を取得することを目的として従事する研究、試験及びその必要な行為、が含まれる。権利消耗の原則が結局のところ、国際論又は国内論のいずれを採用するのかという点については、国際的消耗原則を採用することを明確にするよう改正する。(改正条文第59条及び第60条) |
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十三、 |
専用実施権に関する規定を明確に規定 |
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授権につき、専用実施権又は非専用実施権とすることができる旨明確に規定する。専用実施権者は当該許諾を受けた範囲内において、発明特許権者及び第三者が当該発明を実施することを排除することができる。但し、発明特許権者は実施することができる旨の約定がある場合には、その約定に従う。専用実施権者は、その許諾を受けた権利につき、第三者に再度、使用許諾を行い(以下、「再使用許諾」という)、実施させることができる。但し、契約に別途、約定のある場合には、その約定に従う。非専用の使用許諾を受けた者は、発明特許権者又は専用使用許諾を受けた者の同意を得ずに、その使用許諾を受けた権利につき、第三者に「再使用許諾」を行って実施させることはできない。「再使用許諾」は、特許主務官庁に登記を行わなければ、第三者に対抗することができない。(改正条文第64条及び第65条) |
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十四、 |
無効審判関連規定を改正 |
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職権による審査の制度を廃除する。無効審判請求を提起することのできる事由を修正し、並びに無効審判請求事由は専利許可査定時の無効審判請求規定による旨明確に規定する。分割、出願変更又は補正の結果、出願時に開示した範囲を超えた場合、或いは補正が公告時の専利権範囲を実質的に拡大又は変更した場合については、第1項の新たに追加した無効審判請求事由であるものの、当該これらの事由は本質的要件に属するため、今回の改正施行前に許可査定を受けた専利案にも適用される。手続き規定の部分については、一部の請求項につき無効審判請求を提起できること、無効審判請求の審査は職権により調査できること、合併審査、合併査定、及び無効審判の審査前に取り消すことができること、などの規定を追加し、且つ、職権による補正通知に関する規定を削除する。(改正条文第73条、第75条、第77条及び第80条から第84条) |
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十五、 |
特許実施の規定を改正 |
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「特許実施」の名称を「強制授権」に修正し、並びに、申請の事由、要件(例:品種権者が品種権を利用する際、必ず他人のバイオテクノロジー特許を実施しなければならず、且つ、当該他人のバイオテクノロジー特許と比較して、かなりの経済的意義を有する重要な技術改良である)を含む、その関連規定を修正し、また、強制実施許諾の処分を作成するときは、同時に補償金を査定しなければならない旨明確に規定する。(改正条文第89条から第91条) |
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十六、 |
公衆衛生の議題に関する強制実施許諾関連規定を追加 |
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WTOに合わせて、開発途上国及び低開発国が国内の公衆衛生面の危機を解決することができるよう、必要な特許医薬品を入手するのをサポートするため、必要な医薬品を強制実施許諾して生産し、並びに本メカニズムが適用される強制実施許諾を申請できる範囲を明確に規定する。(改正条文第92条及び第93条) |
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十七、 |
専利権権利侵害に関する規定を改正 |
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専利権権利侵害の主観的要件(専利権者は故意又は過失でその専利権を侵害した者に対し、損害賠償を請求することができる)を明確に規定し、並びに損害賠償額に関する計算方式を修正し(権利金の金額を以って損害を計算する方式を追加)、且つ専利表示方式に関する規定を修正した(「専利物上に標示することができない場合には、ラベル、包装又はその他の他人の認識を惹起する顕著な方式でこれを表示することができる」旨の規定を新たに追加)。(改正条文第98条から100条) |
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十八、 |
実用新案登録制度につき、全体的に修正 |
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実用新案の補正が出願時の範囲を明らかに超えている場合は、実用新案登録を認めない事由に属する旨の規定を追加する。同一人が同日に同じ創作を以って、それぞれ発明特許及び実用新案登録出願を提出する状況については、「発明特許査定前にいずれか1つを選択するよう通知する」旨の規定を追加する。発明を選択する場合、その実用新案登録は最初から存在しないものとし、実用新案を選択する場合、その発明に特許を付与しない。 |
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立証責任の分配をさらに明確にするため、関連規定を特に修正し、実用新案技術報告の内容に基づいて権利を行使しなければならないと規定するほか、相当の注意義務を尽くすよう規定する。実用新案の補正は形式審査を採用する旨の規定を追加するが、無効審判請求案と併せて審査する際は、実質審査を採用し且つ併せて審定する。(改正条文第32条、第114条、第119条、第120条) |
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十九、 |
意匠制度の改正 |
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部分デザイン、コンピューターアイコン(Icons)、使用者の図形インターフェイス(GUI)及びセット物品の意匠登録出願を開放する。派生意匠制度(即ち、 同一人が2以上の類似するデザインにつき、意匠登録及びその派生意匠登録を出願することができる)を新たに設けるとともに、連合意匠制度を廃止する。(改正条文第123条、第129条及び第131条) |
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二十、 |
過渡条項を追加 |
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今回の改正のポイント(動植物特許の開放、優遇期間を主張できる事由の追加、発明特許の初審査で特許査定を受けた後に分割出願を提出できること、実用新案についての単純な補正申請には形式審査を採用すること、無効審判請求、補正及び意匠登録に関連する規定の改正及び追加など)は、その多くが専利制度の重大な改革に属するため、新旧の法律の過渡期間に関する規定を新たに設けて、これら新旧の法律の適用に役立てる。(改正条文第151条から第160条) |
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二十一、 |
本法の施行日は行政院が定める |
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今回の改正に対応して、実務作業手続も合わせて調整、修正しなければならず、また、多くの専利制度の重大な変革事項については、準備及び対応するための十分な期間が必要であるので、新たに改正された専利法の施行日は行政院がこれを定める旨明確に規定する。(改正条文第162条) |
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